【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

パリ協定は参本会議で承認後、衆・外務委で審議入り、重要影響事態に応じた日米ACSA先送り、TPP衆通過は11月に追い込む[きょうの国会]

2016年10月28日 17時03分32秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会


●重要影響事態の後方支援の条約化は先送り、パリ協定が参・本会議で可決、衆・本会議で代表質問し、衆・外務委員会で趣旨説明

【参議院本会議平成28年2016年10月28日(金)】

 「パリ協定の承認を求めるの件」(192条約1号参先議)が採決されました。投票総数234、賛成234、反対0の全会一致で承認。衆に送られました。

 これに先立つ会議の冒頭では、大勲位、崇仁親王殿下への弔詞が朗読されました。

 次に、「外国人技能実習生機構法案」(189閣法30号衆修正)が金田法相から趣旨説明されました。代表質問に対する答弁では、官房長官、外相、厚労相、経産相らも答弁しました。

【衆議院本会議平成28年2016年10月28日(金)】

 委員会で可決されて本会議に上程された「上がり法案」の処理から。

 「宇宙活動法案(人工衛星打ち上げ管理法案)」(190閣法41号)と「衛星リモートセンシング法案」(190閣法42号)は共反対、自公民維賛成多数で可決し、参に送られました。

 「独立行政法人鉄道・運輸機構法改正案」(192閣法2号)も、共反対、自公民維賛成多数で可決し、参に送られました。

 この後、参から送付を受けた「パリ協定の承認を求めるの件」(192条約1号)を岸田外相が趣旨説明。民進党の神山洋介さんらの代表質問に対して、山本環境相らが答弁しました。 

 会議の冒頭では新議員の紹介として、鳩山二郎さんが大島理森議長から紹介されました。

【衆議院外務委員会平成28年2016年10月28日(金)】

 「パリ協定の承認を求めるの件」(192条約1号) が付託され、岸田外相が趣旨説明をし、散会しました。

 これにより、3月施行の平和安全法制による重要影響事態法に対応して、日米が地球の裏側で弾薬など後方支援する段取りを定めた、新しい日米ACSAの承認を求めるの件(192条約2号)はずれ込むことになりました。

【衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会(衆TPP特)平成28年2016年10月28日(金)】 

 「TPP承認案」(190条約8号)と「国内法案」(190閣法47号)

 午前中は一般質疑で、政府参考人として公正取引委員会審査局長らが呼ばれました。

 質疑に立った、民進党の篠原孝さんは「これからしっかり質疑をしていこう」と語りました。篠原孝筆頭理事が率いて、あたかも「篠原学校」の風情で、徹底審議を求めたため、衆通過は11月にずれ込むことになりました。2016年11月という米大統領選と同じ月にずれ込んだことで、歴史の検証に耐えやすくなったと考えます。

 金曜午後2時半からという珍しい日程で、テレビ入り総理入り集中審議。次回は週明け月曜午前9時から。

【衆議院内閣委員会平成28年2016年10月28日(金)】

 内閣の重要施策に関する件外5件に関する国政調査として、一般質疑がありました。給与法案は審議入りせずに、散会しました。

【衆議院経済産業委員会平成28年2016年10月28日(金)】

 「JOGMEC独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法改正案」(192閣法8号)が採決され、共反対、自公民維賛成多数で可決しました。附帯決議付き。

【衆議院文部科学委員会平成28年2016年10月28日(金)】

 「教育公務員特例法などの一括改正法案」(192閣法17号)は野党の質疑になりました。

 私は相変わらずこの改正法案の意図が見えないのですが、民進党は少人数学級の必要性や、教育以外の雑務が多いことをただしました。相変わらず日教組目線の教員の待遇しか考えない質問を繰り返しました。きょうだけ見ても、民進党は、篠原孝さんら政権をめざす議員と、そうでない議員の二極分化が進んでいるように感じました。社民党の吉川元さんは徹底審議を要求しました。教員免許更新制のもと、研修の回数を増やそうという方向性について、大きな反対は無いような雰囲気です。

【衆議院財務金融委員会平成28年2016年10月28日(金)】

 「消費増税延期法案」(192閣法3号)。質疑をして、散会しました。

【衆議院厚生労働委員会平成28年2016年10月28日(金)】 

 既に別エントリーに書いた通りですので、書き写します。

 「年金加入期間25年から10年短縮法案」(192閣法6号)に加えて、民進党提出の修正案、それとは別に共産党提出の修正案の、合計3案をならべて審議を始めました。

 厚労委は、「危険ドラッグ禁止法」など民共が一緒に提案することが多いのですが、今回の修正案は、民進党と共産党の足並みが乱れました。

 この背景には、共産党の志位和夫委員長らが、連合の神津里季生会長から共産党と離れるよう干渉を受け、煮え切らない態度をとる、蓮舫代表・野田佳彦幹事長率いる民進党との距離を取っているんだろうと、推測されます。

 修正案の提案理由説明では、民進党の井坂信彦さん、共産党の高橋千鶴子さんはともに、「施行日を前倒すことに賛成」と語りました。ただ、高橋さんはこれに加えて、「一体改革をやめて消費税増税の延期せずに、やめるべきだ。法案の中にある財源規定を削除する」と加えてました。野田佳彦内閣が自民党と公明党と結んだ「3党合意」を破棄するよう求めたもの。

 報道によると、共産党幹部は、前日の蓮舫民進党代表の定例記者会見を聞いて、「どっちつかずだ」と連合との関係を批判。「岡田克也代表時代は表立って共闘できない問題でも、水面下で説明があった」とし、不満を募らせていました。

 この後、質疑は終局。採決では、共提出の修正案では、共賛成、自公民維反対で否決。民提出の修正案では、民共賛成で、自公維反対で否決。政府原案は全会一致で可決しました。政府原案通り、来年10月13日(金)振り込み分から、10年以上が加入資格として年金が支給される内容。次の衆議院本会議で可決し、参議院へ送られ、今国会中に成立するはこび。 

【衆議院法務委員会平成28年2016年10月28日(金)】 

 給与関係3法案があったはずですが、他の議員立法が審議されました。別エントリーにも書いた通りですが、採決は阻まれたものの、怒りでいっぱいです。 

 「差別解消推進基本法案」(190衆法48号)の審議を再開しました。この法案は、自民党の二階俊博幹事長らが提出し、5月20日(金)に趣旨説明されましたが、6月1日に会期が切れたため、継続審査となっていました。

 共産党の藤野保史さんが正論を展開し、解放同盟による威圧的な自治体への干渉を懸念しました。

 採決はなく、散会しました。

 後で、補えたら、藤野さんの質疑をここに書き加えようかとも思いますが、このような法案を審議入りさせる行為に対して、怒りでいっぱいです。

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い 

このブログは以下のウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

日本法令索引(国立国会図書館)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]



最新の画像もっと見る

コメントを投稿