ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆・予算委「裁量労働答弁」撤回も労政審過程も問題化、衆・財金委は大臣所信聞き取り

2018年02月14日 18時54分20秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]橋本龍太郎首相(赤丸左側)、筆者・宮崎信行(赤丸右側)ら、1998年2月中旬、首相官邸内。

 本文とは関係ありませんが、20年前の、いわゆる「バレンタインデー」の写真。これは首相官邸(当時・現首相公邸)の2階にある、首相執務室隣の応接室です。ふだんは、首相番記者は、外国首脳との会談のアタマ取りのときしか入れない部屋です。覚えていませんが、日程の段取りは江田憲司政務秘書官が整えてくれたはずです。女性記者3名が、バレンタインデーのチョコレートを買いに行き、首相に渡したところ。ちなみに、チョコレートは3万2000円だったと思います。ずいぶん物価高な時代でした。この場には、番記者を中心に、ちゃっかり入った先輩記者と含めて女性3名、男性32名が参加。私が幹事役となって、男性記者から1名1000円で、女性記者が立て替えた代金を回収しました。私は1時間程度で集めて、毎日新聞の上野央絵記者から「すごい幹事力」と言われましたが、私は、逆に、32名が後からのお願いなのに、1000円札を渡してくれる、「社会」に驚きました。私はそういう「社会」を知らなかったです。橋本首相は「きょねんの番記者にもそうしたと思うけど、君ら入るかい?」と言って、首相執務室を見せてくれました。これは、その場でお返しすることで貸し借りをオフセットする橋本さんらしい考え方だと思います。側聞するに、同期同派閥同い年で後継者の小渕恵三首相はその1カ月後のいわゆるホワイトデーに、わざわざ女性記者にお返ししていたようです。橋本さんはホワイトデーはありませんでした。お二人とも若くして亡くなりましたが、その辺は対照的です。ただ、上の写真を見ると、まず、なぜ女性記者3名のうち2名はパンツスーツなのに、なぜ中央になってもらっていないのかという疑問があります。せっかく女性の参画が圧倒的に進んでいる業種なのにこれではいけません。そして、私の顔色の悪さ。遡及して、この3か月前にうつ病にり患していたと、社会保険庁から認定されています。仮に、この日で会社を辞めていても、統一地方選まで1年2カ月もあったので、なかなか辞めるわけにもいかなかった時期です。労働基準法36条裁量労働制で月360時間も働かせられ、首相官邸記者クラブ内で先輩の犬童文良記者を殴って抵抗していましたが、今でも鶴田卓彦代表取締役と牧久常務取締役労務担当、岡崎守恭編集局政治部長を鯖折にしてやりたい気持ちを拭い去れません。自己責任とはいえ忸怩たる思いです。

 ◇

 衆議院予算委員会では、働き方改革関連法案(未提出)をめぐり、先月29日の予算委員会で安倍晋三首相(自民党総裁)の答弁「それと、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもあるということは御紹介させていただきたいと思います」が撤回されました。但し、3年前の答弁でもその調査が使われており、労政審の審議過程でも使われていた懸念があり、話が広がりそうです。

【衆議院財務金融委員会 平成30年2018年2月14日(水)】

 麻生太郎財務大臣(兼)金融担当大臣の所信表明がありました。

 法案に関しては、前日の本会議で趣旨説明と代表質問があった「所得税法改正案」(196閣法1号)「国際観光旅客税法案」(196閣法2号)に加えて提出済みの「関税定率法改正案」(196閣法13号)。そして、先の特別国会で唯一継続審査となった閣法、「保険業法改正案」(195閣法4号)の4法案をお願いしたいと説明がありました。

 麻生財務相はまず、アベノミクスで「経済の好循環をより確かなものにする」と語り、昨年12月の「新しい政策パッケージ」にもとづき、人づくり革命と生産性革命を二本柱で進める、と表明。そして、人づくり革命は、消費税10%増税が前提であり、そのため、プライマリーバランスの達成が後ずれするとしました。この辺の財務省の論理はもうやめたほうがいい。20年前の橋本内閣以降の、財務省の経済失政を深く反省すべし。麻生大臣の所信は続いて、平成30年度予算案、平成30年度税制改正を説明。

 ●財務大臣が所信で、国有財産の手続きの明確化に言及。

 そして、麻生大臣は所信で、例年はあまり言及しない、国有財産について。国会から指摘があったとして、国有財産の手続きの明確化や文書管理の徹底をはかるとしました。

 金融庁マターでは、金融処分庁のイメージから金融育成庁のイメージへの以降をはかるとしました。そういえば、仮想通貨への言及は無かったようです。最後に上述の4法案の可決をお願いして、終わりました。次回はあさって16日(金)午前9時から一般質疑。その後に、税制改正が審議入りするでしょう。一年前の大臣所信に関する一般質疑(2月15日)では共産党の宮本岳志さんが初めて「森友」の名前を初めて出し、通常国会、衆院選、そしてことしの通常国会まで1年間にわたり、与野党の対決構図を大きく変える潮目を演出しました。

【衆議院予算委員会 同日】

 平成30年度予算案。合計9日目で、そのうち集中審議2日目。タイトルは「外交・安全保障等についての集中審議」。

 民主党を裏切って自民党(二階派)に移った山口壮さんは日米安保旧条約の極東条項は、交渉過程でアメリカに騙されたものだとあかしました。それが岸信介首相の改定で改善されたものの、日本本土防衛は駐日米軍の「義務」ではないとしました。集団的自衛権を「権利だけど行使しない」としていた2014年7月1日以前の我が国の見解(昭和47年1972年見解)と同じ考え方をしている国が他に有るかとの問いに、外務省外交政策局長はおそらく無いと答弁しました。

 自民党政調会長代理の一人、江渡聡徳さんは、のっけから、「きのう予算委員会であれっ?と思った」とし、首相や厚労相の「裁量労働制の方が平均的な労働時間は短くなる傾向がある」との答弁の撤回を求めました。首相はあっさり「撤回する」としました。

 首相が過ちを改むるに憚ることなかれ、であっさり撤回したことで、最大野党、立憲民主党の枝野幸男代表は肩透かしを食ったようです。枝野さんは質疑の冒頭から「裁量労働制のデータを撤回したが、労政審(労働政策審議会)でもこのデータを基にして法案(の要綱)を作成したのではないか」と問いました。

 ここまでだと肩透かしでしたが、この後、希望の党の井出庸生さんの指摘で潮目が変わったような気がします。井出さんは、3年前にも、当時の塩崎恭久厚労相が同じ調査に基づいて答弁していると指摘。これにより、労政審の審議過程が歪んでいた疑念が生じ、加藤働き方相も「労政審は様々な観点から議論してもらっている」とかわし切れない状態になりました。野党6党はさっそくチームをつくり午後5時からヒアリングをしたようです。

 枝野代表に戻り、「憲法改正発議案(未提出)」をめぐって、枝野さんは「後法は前法を破るが、内閣法制局長官が言うように、一概には言えない」とし、「憲法9条に3項を追加しても、具体的な条文を示さないと、後法が前法を破るかどうか判断できない」とし、具体的な条文を明示しするよう、首相を挑発しました。


 小熊慎司さんは来年度の概算要求も予想される、外相専用機構想で河野太郎外相をただしました。原口一博さんは、アメリカの軍需産業から調達するFMS調達について、不具合の金額や未納金の多さが安倍内閣で目立っているとしました。下地幹郎さんは自衛官の自殺が平均年80人前後になると問題視しましたが、自民党の石破茂委員から野次を浴び、気色ばみました。

【参議院国際経済・外交に関する調査会 同日】

 77歳の鴻池祥肇参議院議員(兵庫県選挙区、来夏改選)が前回に続いて今回も会長を欠席し、自民党の他の議員が代理をつとめました。まず、国境をめぐる諸問題に関して参考人質疑。その後、メキシコなどへの同じ委員派遣団について、自民党の酒井庸行さん、民進党の藤田幸久さん、沖縄の風の糸数慶子さんが、それぞれ別々に報告する珍しい展開。3名に対して、他の議員から「アメリカのシンクタンクの人は日本外交をどう評価していたのか?」というやりとりがありました。

【参議院資源エネルギーに関する調査会 同日】

 まず、再生エネルギーなどについて参考人の話と質疑。その後、フランス、モロッコなどへの再生エネ委員派遣について、自民党の高階恵美子さんが1人で報告し、それに対する質疑は無く、散会しました。

【参議院国民生活・経済に関する調査会 同日】

 働き方に関する著書が多い元朝日新聞記者の竹信三恵子さんらが参考人として発言。この後の質疑で、就職氷河期と引きこもりなどに関して、議員と議論がありました。海外派遣の報告はこの調査会では前回終っていました。

【参議院本会議 同日】

●国会同意人事は8分類の採決で両院同意

 国会同意人事だけが、ありました。
 
 野党会派が乱立したからでしょうが、8つに分けて、押しボタン式で採決されました。

 まず、(1)つめの採決では、会計検査院の森田検査官の続投案が、投票総数234、賛成228、反対6の賛成多数となり、両院同意。続投が決まりました。そして(2)杉本和行・公正取引委員長が233、211、22の賛成多数で両院同意となり、5年間の続投が決まりました。財務省出身。(3)つめの分類の人は、234、217、17で両院同意。(4)234、221、13で両院同意。(5)国家公安委員に、読売新聞グループ本社の小田さん、NHK経営委員に充てる2名の採決は、投票総数234、賛成207、反対27の賛成多数で両院同意。やはり、マスコミ関係者の起用に反発があるようでこの分類がきょう一番反対が多かったです。(6)その他のNHK経営委員に佐藤女史ら、労働保険審査会、社会保険審査会の人事同意案は、232、232、0の全会一致で両院同意されました。(7)その他のNHK経営委員に森下さんらの同意案は234、213、21で両院同意。(8)中央更生保護審査会委員に加藤さんを充てる人事案は234、226、8の賛成多数で両院同意。以上すべてで、両院同意され、散会しました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki



最新の画像もっと見る

コメントを投稿