【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

枝野幸男経産相がマイクで反撃!「嫌がらせは誇り」 東京10区江端貴子さん応援 

2012年11月25日 20時07分30秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

 池袋西口駅前で開かれた民主党東京都第10区総支部(総支部長=江端貴子・前衆院議員)の街頭演説会に「民団」を自称する男たちが妨害活動をし、応援弁士の枝野幸男経産大臣がマイクを持って反撃しました。

 演説会は地元地方議員さんの司会で和やかに始まり、まずピンクに身をまとった江端さんがマイクを持ったところ、定刻より6分早く、枝野さんが登場。ここで、聴衆から「(枝野さんの話を先に聞きたいので)枝野にしゃべらせろー!」とのヤジもあり、すぐに枝野さんがマイクを持ちました。演説会の聴衆は当ブログ調べで200人~500人~2000人(乗降客含む)。

 枝野さんは「自民党の安倍総裁は日銀に圧力を加えることで景気を良くしようとしています。この中に5人ぐらい株を持っている恵まれた方がいらっしゃるかもしれませんが、その方には申しわけない。政権交代後に日経平均が下がったのは事実です」と和やかに問いかけながら、経済政策を語りました。演説の内容は後述します。この後、江端貴子さんが演説しましたが、このころ、プラカードを持った男が現れ出しました。内容は「民主党はシナ中共のパシリ」「忌中」など。この後、大韓民国の国旗とおもわれる旗を持った男ら10人が集まりました。





 枝野さんが会場を去り、演説会が終わった後には、「民団」とかかれたネームカードをぶら下げた男などが道路上の構造物に乗り上がり、警察官に制止される場面がありました。 







[画像]「民団」と首からぶら下げ韓国旗によく似たフラッグを振る男たち。

 この男たちは、私が見た限りでは、弁士や運動員に触れることはなかったので、公職選挙法225条「選挙の自由妨害罪」にはならない見通し。そもそも公示前です。

 が、公示前なのに「俺たち民団は投票権がないから、お前たち日本人はかならず民主党に投票してくれよな」と呼びかけていました。

 この行為は、公選法129条の選挙運動期間ではないのに、投票を依頼した行為、すなわち事前運動になるかもしれません。とはいえ、まあ警視庁がどうこうするような話ではなく、基本的にはどうでもいい話ですね。

 自称「民団」が自民党の回し者かどうかは不明

 このようにプラカードに関係なく、演説終了後に支援者と話す江端さんの姿がありました。「シナ」とか言って、石原さんは教育に悪いですね。まあ、こんなのは大した話ではありません。

 ◇

 こんなやつらのことは放っておいて、演説会の冒頭に時計を戻します。 





 枝野さんは開口一番「みなさんのご期待に十分にこたえられたとは思っていません」と謝りながら、「しかし十分でないにしても私たちの歩み出した方向性と(自民党が打ち出している)そうでない方向性のどちらが正しいかをみなさんに判断していただきたい」と演説すると、聴衆から「よし!」と声が上がりました。この時点ではまだ「自称・民団」は来ていません。

 「衆議院が解散されたので、自分自身の(埼玉5区=旧大宮市など)ビラをつくるために、過去の3回のビラを見比べてみたが、国直轄の公共事業3割削減と書いてあった」とし、実際には35%減らした実績をアピール。「減らした3割を何に回したか。医療に回しました。医療崩壊を食い止めて、まだお医者さんは大変な思いをされているが、それでも改善の方向に向かいました。実際に、妊婦のみなさんが医師不足でなくなるというニュースを最近聞いたことがありますか(ないでしょう)」と語りました。「天下りの削減。まだゼロにはできていません」とし、独立行政法人通則法案を提出したものの、成立していないことを「それを食い止めたのは自民党です。民主党の方向性と自民党の方向性とどちらが正しいか、冷静に判断していただきたい」と語ると、聴衆から「冷静に!」と合いの手。これは第3極をもてはやすマスコミ報道にだまされないよう国民に念を押した合いの手だと考えられます。

 そして、冒頭に触れたように「安倍総裁は日銀に圧力をかけようとしています。この中に5人くらい株を持っている恵まれた方がいらっしゃるかもしれませんが、その方には申し訳ありません。政権交代後に日経平均株価が下がったのは事実です。しかし、1万円札をどんどん刷れば景気が良くなるならば、日銀は政権交代前には(年間)35兆円お札を刷っています。今は91兆円まで増やしています(から現時点で景気が良くなっているはずだがなっていない)」「競争をすれば、お札を刷れば景気がよくなるという政治に戻してはいけない」と述べました。

 そして、「昨年3月11日、内閣官房長官として東日本大震災を経験し、日本に原発は無理だと確信した」とし、「(発電後の廃棄物を)どこで処分するかも決めないで、自民党政権は原発を進め、(野党としてのマニフェストでも)今も改めていません。青森には、再利用を前提にして預かっていただいている。(民主党政権として2030年代に)原発をやめるのなら、青森に預かっていただいている再利用を前提としたお約束を検討し直さなければならず、困難な道が横たわっています。原発をやらなくても今の生活ができる日本経済をつくる。それは簡単な道ではありません。10年後、20年後の日本のエネルギーを支えるのがクリーンエネルギーだと考えており、そこにあらゆる資源を投入します」と脱原発と成長戦略を絡めて訴えました。

 そのうえで、「みなさんが100メートル進むと期待していたところが、1メートル、2メートル、10メートルしか進んでいないけれども、あべこべの道に進んではいません。なぜできていないんだ、もっと早く進め、とどうか厳しい声を下さい。しかし、あべこべに進んではいません。背中を押してほしい。この3年3ヶ月の経験の中で、政権交代直後に比べれば10倍のスピードで前に進む力を付けています。事業仕分けのような大がかりのことをしなくても、行政事業レビューのようにたった2枚ぐらいのシートでできるようになり、インターネットで公開しています。2倍も3倍も進めるようになりました。どうぞみなさん、前に進める力をください」としました。



 東京10区(池袋など豊島区および練馬区の3分の1)には、民主党から江端孝子さん、自民党公認で公明党推薦の小池百合子さんの一騎打ちになる公算です。

 江端さんは「1年目に衆議院文部科学委員として、高校授業料無償化法案の代表質問に立ち、法案成立にかかわってから、2年余り。経済的に厳しくて進学できないお子さんが減っています」とアピール。実はこの当選直後の代表質問では、奨学金の充実も必要ではないかと質問し、第44期衆議院での民主党の議論と違うと自民党からヤジられる一面もありましたが、最後の通常国会で江端さんは特例公債法案の賛成討論に立つところまで成長し、やはり、江端さんは経歴王だけに国会でも吸収が早いのだなと私は感じていました。

 江端演説に戻ります。「私が政治家を志したきっかけは、今の介護制度をなんとかしたいとの気持ちでした。介護は子ども子育てとは違って、先が見えません」とし、党の介護制度改正ワーキングチーム事務局次長として、「介護の職員のみなさんは安い報酬でがんばっておられます」として、「介護報酬の外付け」というものを改善し、「介護報酬の中に取り込んだ」と実績を訴えました。ちょっと私はこの分野は不案内なのですが、これは、介護報酬について、毎年度予算要望をする必要があった追加分が介護報酬のなかに内包して恒久化した、ということのようです。

 江端さんは続けて、障害者や母子家庭など「子どもの居場所」を増やす政策にとりくんだとしました。以上3点の実績をPRしたうえで、最後に「民主党は開かれた党です。民主党でなければ私が候補者になっていませんでした。民主党はバラバラだと言われますが、1期生には20代後半から上は76歳まで、女性は2割、さまざまな経歴の多様な人材が集まりました」「私たち前に進まないといけないんです。時計の針を戻してはいけないんです。私自身民主党で議席をいただき、そして、民主党だから議員になれたとの自負があるからこそ、私は民主党の看板を掲げて、次の選挙もシッカリと戦い抜いていきたい」と訴えました。

 ここで、拍手と同時に、バンザイならぬ、「マンセー!マンセー!マンセー!」(韓国語や朝鮮語で万歳の意味合いのようです) がわき上がり、エントリー冒頭にふれたように枝野さんが再びマイクを持ち、反撃開始。

 「もう一度マイクを握らせていただきました経済産業大臣の枝野幸男でございます」と官職をアピール。

 「私どもこの3年3ヶ月古い政治、既得権益と闘ってきました。既得権益と闘う中ではさまざまな嫌がらせを受けました。この1年ちょっと経済産業大臣として原発依存からの脱却をめざす。私のところには、どうもこわいのか、ありませんが、国家戦略大臣をしていた古川さん(古川元久)のところにはたいへんな嫌がらせや圧力がありました。事業仕分けのときには、蓮舫さんのところにさまざまな嫌がらせや圧力がありました。まさに嫌がらせをされているということは、私たちが既得権益と闘っている証拠だと思います。きょうもこの場でさまざまな嫌がらせを受けておりますが・・・」と語ると、待ってましたとばかりに「マンセー!!」の声。枝野さんはひるまず「既得権益と闘っているからこそこうしたさまざまな嫌がらせを受けているんだと、私は誇りに思っています 私は負けずに古いしがらみや既得権益と闘っていくことこそが私たちに課せられた役割だと確信をいたしております」とマイクで反撃しました。

 そして、枝野さんは「江端貴子さんは、そのど真ん中で、エンジンとなってがんばれる人であることを申し上げて、私、経済産業大臣枝野幸男からのお訴えといたします」と強調。私の周りの聴衆の方数人と握手して、拍手の中、去っていきました。

 演説中のいやがらせには、与党時代の自民党政治家は「反応しない」。あるいは「君たち!ここは動物園じゃないんだ!」と叱り付ける党人派もいました。あるいは森総裁のように裏で止めさせる皇民党事件もありました。

 民主党は示威運動をうけとめたうえで、マイクで反撃し、聴衆から大きな拍手を受けるというパターンです。まさに、背広を着たインテリヤクザ、民主党。ぜひ、こういった妨害活動を、私たち一般の有権者はより大きな拍手で守り抜きましょう。各々の可能な範囲内で態度で示しましょう。



 とはいえ、枝野大臣が去った後、警官と「自称民団」がにらみ合っている間も、江端さんは平然として支援者と語らっていました。

 ここ池袋西口は丸井、東口はサンシャインがあり、たくさんの恋がはぐくまれる街。日曜日の午後4時半、東北大出の弁護士の枝野大臣がマイクで防護してくれるたら女性をホロッときちゃいそうな感じです。サンシャイン通りを通りましたが、かなり人が出ていました。一時「街に人がいない不況」がありましたが、最近は「街に人は出ている不況」ということで、節約で足腰の強い消費生活を当たり前のこととして受け止める、日本の強さを感じられます。

 ただ最近になってようやく分かってきたんですが、ある一定の年齢になったり、母になったりした以降は、女性の方が強いです。震災の避難所でも、平然としているのは女性の方だったそうです。その女性力をいかせるのは自民党ではなく、わが党ですし、そのトップランナーが江端さんであることは言うまでもありません。

 第45回衆院選は江端貴子さんが47・2%、小池百合子さんが43・3%と、1万票以内の僅差で江端さんが勝ちました。今回は風は逆です。もはや小選挙区の女性対決は珍しくもなく、テレビカメラもありませんでした。その軍配を上げるのも、女性が持つ「人を見抜く力」なのかな。そう興味がわいた池袋のゆうべでした。



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