
[画像]東京電力福島第一原子力発電所の汚染水をめぐる対応について、全会一致で警告を受け、謝罪する宮澤洋一経産相、2015年6月29日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【平成27年2015年6月29日(月)参議院決算委員会】
「平成25年度決算」が是認、「平成25年度予備費使用総調書」が承諾されました。
質疑は、先週の全閣僚・NHK入り総括質疑をもって終局していました。
平成25年度は、前年の政権再交代による補正予算と「15か月予算」として編成され、アベノミクス第2の矢「公共事業バラマキ」(機動的財政出動)が盛り込まれました。
討論では、民主党の石橋通宏さんが反対。 「15か月予算による公共事業の増加で、建設資材が高騰し、国債の利払いだけで8・1兆円になっており、財政健全化の道筋が遠のいた」と語りました。
[画像]討論する、石橋通宏さん、同日、同。
共産党の井上哲史さんは「公共事業が大幅増で、大企業の内部留保が増えた」としました。
平成25年度決算は、民共社の反対、自公維の賛成多数で是認しました。
平成25年度予備費使用調書。一般会計予備費は3500億円を計上し、補正で3000億円に減額。ところが、254億円しか使わなかったようです。共産党の井上さんは討論の中で「予備費は東京電力福島第一原子力発電所への国費投入に使われており、予備費から使うのは、国会審議回避であり、東京電力などの大資本に負担させるべし」としました。
ただ、凍土壁は、民主党の馬淵澄夫元総理補佐官の持論で、衆議院経済産業委員会の閉会中審査でも指摘があったので、予備費支出はやむをえないでしょう。
それよりも、予備費が254億円だけで済んでしまう、他の費目の融通の利き方が財政民主主義の観点から問題に感じます。
平成25年度予備費使用調書は、民共社の反対、自公維の賛成多数で承諾されました。
次に、政府に対する警告決議。事前に机上に配布され、全会一致で可決しました。
東電福島原発の汚染水に対する不適切な対応について、宮澤洋一経産相が警告決議に従うとして謝罪しました。望月義夫・内閣府原子力防災担当大臣も同様にしました。
研究費の不正使用については、総務省、文科省、厚労省、農水省、国交省が警告をうけ、各々の大臣が頭を下げました。
中谷防衛相は「防衛装備品をめぐる不適切な調達」を謝罪。山谷防災相は「火山の監視観測活動」について。
太田国交相は火山、研究費に加えて、JR北海道の事故多発について。
塩崎厚労相は研究費のほか、キャリアアップ助成金の執行率が低いことを謝りました。
震災後の国会では、「予算の執行率が低い」ことが問題になることが増えています。
【同日 衆議院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】
先週から法案名を「2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインの国内実施のための安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)と、当ブログでは表記しています。
それを裏付ける発言が先週から増えました。先週金曜日のNHK入り集中質疑では、中谷防衛相が「2015年ガイドラインで日米が密接になり、(米海兵隊)第7艦隊とともに、シームレスでグローバルになった」ことが、立法事実とされる「安保環境の変化」だと答弁。
きのう、2015年6月28日放送のNHK日曜討論では、自民党の谷垣幹事長が「日本が過去70年間にわたって平和を保ってきたのは日米同盟の存在であるから、その安保法制のすきまを埋めないといけない」と語りました。続けて、公明党の井上幹事長も「おおかたの党で共通した認識だと思うが、日米防衛協力の抑止力で紛争を未然に防ぎ、米艦防護をすることができないというすきまがあったので、きちっと埋めていくのが今回の法案だ」としました。
このように、今回の安保法案が2015年ガイドラインの国内実施法案であることを、政府・与党も認め出しました。
きょうの一般質疑では、維新の党の小沢前国対委員長が「新ガイドラインは日米安保条約を超えているのではないか」と問うと、岸田外相がいつものように、「日米安保の構造は変わらない」と、3世議員特有のはぐらかし。小沢さんは「程度問題が大事なんですよ」と語りました。
こういうのも、そんなの分かっていたよ、という反応をする人もいるかもしれませんが、自民党政府の閣僚からはっきりした言葉で言わせないと国会の意義がありません。
各委員から、先週の自民党本部内での経団連にお願いしてテレビ局のスポンサーを引き上げさせてしめつけろ、といった趣旨の言論弾圧発言事件を問いました。
民主党の緒方林太郎さんが、山谷えり子大臣の歴史認識を問いました。「答弁を差し控えさせていただきます」と答え、同僚である特別委員長も首をかしげる場面がありました。山谷大臣は理事にうながされて再び答弁し、「海洋政策担当大臣として答弁を差し控えさせていただきたいという意味だった」と釈明し、「父は傷痍軍人だった」とし、過去の発言と現在の閣僚としての認識は違うと強調しました。
現在、衆・内閣委で、「内閣官房・内閣府スリム化法案」(189閣法54号)がかかっていますが、官僚による組織の肥大化に、与党経験が長いはずの自民党議員もがんじがらめになっているようです。
このようなダブりは、現在最大の議題になっている、重要影響事態(周辺事態法あらため重要影響事態法をつくりたいとする改正条文)と存立危機事態(武力攻撃事態法に書き込みたいとする改正条文)にもつながっているようにも思います。
切れ目のない安保法制でなく、ダブりある安保法制。
民主主義の要諦は、シンプルさにあります。国会議員はそのために国民から国会に送られているといっても過言でないと考えます。
以上
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015
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