【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政治改革国会、羽田孜「普通の言葉の通じる政治」森喜朗「磔にされ拷問に遭ってもないものをあるとは言えません」

2024年05月10日 22時13分08秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
 「ミスター政治改革」羽田孜首相は所信表明演説で「私の出身地信州の文豪、島崎藤村が郷里、馬籠で語った中に「血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと」という味わい深い言葉があります。私はかねてこの言葉を言いかえまして、「血につながる政治、心につながる政治、普通の言葉の通じる政治」を心がけてまいり幸した。改革を進めるに当たって、私が大切にしたいのは、お互いに普通の言葉で率直に議論し、理解を深め、ともに歩んでいくことであろうと思います」と語りました。

 時代は変わりました。1943年に没した島崎藤村さんが、平成の市町村合併で、岐阜県出身の人物となりました。が、「普通の言葉の通じる政治」は、歳費をもらって生活している国会議員全員が心がけるべき姿勢です。

 けさ発売の文藝春秋の内容は、発売前に全文を読んだ永田町イチ有名のフォトジャーナリスト・堀田喬さんから全部聞いていました。

 森喜朗さんは「私自身、仮に国会の証人喚問に呼ばれても、知らないものを知っているとは言えない。磔にされ、拷問に遭っても、ないものをあるとは言えません。むしろ、もし国会に呼ばれたら、「森が裏金作りを始めたと言っているのはいったい誰なんだ」と言いたいです」

 「磔にされ、拷問に遭っても、ないものをあるとは言えません」は普通の言葉ではありません。

【参・政治改革特別委 きょう令和6年2024年5月10日(金)】
 豊田俊郎委員長は「本委員会は、去る4月12日の本会議におきまして、その目的を政治改革に関する調査のためと、また名称を政治改革に関する特別委員会と改められました」と宣言しました。

 そして、「本日は政治資金規正法改正に関する考え方について各会派の意見表明を10分以内で行います。意見のある方は順次ご発言を願います」として、岸田内閣で初代の参院枠官房副長官だった磯崎仁彦さんが発言しました。

 磯崎さんは「与党の実務者協議を精力的に行い、きのう5月9日、政治資金制度の改革に関する取りまとめを行いました。今国会において、政治資金規正法改正案の成立に万全を期していく決意でございます」と語りました。
 概要は次の通り。

(1)代表者、政治家の責任強化です。政治家が収支報告書について、会計責任者が法律に基づき、事務処理を行っていくことを監督する責務を有することを明確にします。そして確認したときは、その旨の確認書を会計責任者に交付しなければならない。政治資金収支報告書を提出するときは、会計責任者はこの確認書を併せて提出しなければならないものとします。政治家に罰則を課し、公民権の停止を行うこととします。そして不記載収入は相当する額を国に納付させるための措置を講ずるものといたします。

(2)外部監査の強化です=当サイトでは以下略。
(3)国会議員関係政治団体の政治資金はオンライン提出を義務化します。
(4)政治資金パーティーの公開基準の引き下げです。政治資金パーティーの支払い者氏名等の公開基準は現行の20万円超から引き下げるものとし、改正法案に盛り込んでまいります=当サイト注・金額は明示せず。
(5)政治資金パーティーの対価の支払い方法の制限です。
(6)いわゆる政策活動費の使途公開です。いわゆる政策活動費については、支払いを受けた者が報告し、収支報告書に記載することといたします=当サイト注・詳述はなし。
(7)国会議員関係政治団体から寄付を受けたその他の政治団体の透明性確保
です。特定の国会議員に係る国会議員関係団体から年間で1000万円以上の寄付を受けたその他の政治団体は、その寄付を受けたとし、およびその翌年において、国会議員関係大臣と同等の支出公開に係る規制の適用を受けるものと
します。
(8)個人寄付者等の個人情報、プライバシーの保護
(9)第三者機関の活用等、政治資金の透明性を確保する措置についての検討ーーの9項目を説明しました。衆議院より先に参議院での公開となりました。

【参・本会議】
 「プロ責法及び発信者情報開示法を改正する法律」(213閣法34号)は衆議院修正通りに可決し、成立しました。
 「雇用保険法を改正する法律」(213閣法10号)は衆議院修正通りに可決し、成立しました。
 「防衛省設置法及び自衛隊法を改正する法律」(213閣法14号)は政府原案通り可決し、成立しました。なお、自衛隊法のドイツの相互融通の実施規定の前提になる条約承認案はいまだに衆議院で審議入りしていませんので、それを待ってから魂が入ります。
 セキュリティークリアランス身辺調査2法。「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」(213閣法24号)は衆議院修正通り、「経済安保推進法」(213閣法25号)は政府原案通りに可決し、成立しました。
 これに先立ち「育児・介護休業法改正案」(213閣法54号)が審議入りしました。橋本行革法施行後の厚生労働省では参議院出身の大臣が2名います。一人は尾辻秀久現議長で、もう一人の現職大臣の武見敬三さんが答弁に当たりました。

【衆・内閣委】
 「公益法人認定法改正案」(213閣法44号参先議)と「公益信託に関する法律案」(213閣法45号参先議)を政府原案通りに可決すべきだと決定しました。45号の採決時に、立憲の筆頭理事や委員がやや立ち遅れました。

【衆・外務委】
 「GIGO設置条約」(213条約1号)を承認すべきだと決めました。討論で、日本共産党の宮本徹さんが「死の商人国家に堕落する」と批判しました。

【衆・財務金融委】
 「事業性担保融資法案」(213閣法57号)の対政府質疑を行い、次回も続けることにしました。

【衆・国土交通委】
 「都市緑地法改正案」(213閣法18号)を可決すべきだと決めました。公明党が集会を開いた建設業法はまだ審議入りしていません。

【衆・環境委】
 「温対法改正案」(213閣法42号)に関して質疑終局が宣言されました。採決は次回へ。

【衆・法務、厚生労働連合審査会】
 「入管法改正2法案」(213閣法58・59号)と「それに対する立憲対案」(213衆法10号)を審議しました。

 以上です。