

~あらすじ~
アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは、30年前にハイズマン・レポートが予言した未来を意味するのか?
イラクで戦う傭兵イエーガーと、父を亡くしたばかりの薬学生・研人。
二人の運命が交錯した時、未曾有の冒険が始まる。
11年日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、このミス1位、文春1位、直木賞候補、吉川英治文学新人賞候補、本屋大賞候補、東西ベスト(2012)94位
~感想~
高野和明が欧米人であるか、本作が欧米で出版されていれば、今頃は間違いなくハリウッド映画化されていただろう。
自作のドラマ化も手掛けた作者だけに読書中は終始、脳裏に映像が展開されていた。間違いなくこれを邦画で描くことはできないし、して欲しくもない。
月並みな言葉で言おう。息もつかせぬ展開、予想だにしない壮大な物語、SFの知的興奮、凄絶なサバイバル……どんな陳腐な形容詞でも当てはまるし、どんな形容詞でもこの作品を言い表すことはできない。
あらすじを書くのももったいない。SF、サバイバル、戦争、科学、そしてミステリ。どのジャンルのファンも受け入れる懐の深い作品だ。
少しでも興味があるなら迷わず読むべし。読み終えた自分が、まだ読んでいない誰かに言うべきことはそれだけである。
上巻15.3.27
下巻15.4.1
評価:★★★★★ 10
以下10点作品
綾辻行人:時計館の殺人
鮎川哲也:五つの時計、下り“はつかり”
有栖川有栖:双頭の悪魔、女王国の城
泡坂妻夫:11枚のとらんぷ
伊坂幸太郎:ゴールデンスランバー
石崎幸二:首鳴き鬼の島
乾くるみ:イニシエーションラブ、スリープ
歌野晶午:葉桜の季節に君を想うということ、ずっとあなたが好きでした
江戸川乱歩:江戸川乱歩集
京極夏彦:魍魎の匣、狂骨の夢、嗤う伊右衛門、巷説百物語、続巷説百物語
倉知淳:猫丸先輩の推測
古泉迦十:火蛾
島田荘司:ひらけ!勝鬨橋 、涙流れるままに、ねじ式ザゼツキー、写楽閉じた国の幻
高野和明:ジェノサイド
竹本健治:匣の中の失楽
辻真先:完全恋愛
辻村深月:冷たい校舎の時は止まる、子供たちは夜と遊ぶ、凍りのくじら、スロウハイツの神様、名前探しの放課後
七河迦南:アルバトロスは羽ばたかない
二楷堂黎人:人狼城の恐怖
西澤保彦:七回死んだ男
福井晴敏:亡国のイージス、終戦のローレライ
舞城王太郎:九十九十九
麻耶雄嵩:鴉
道尾秀介:骸の爪、シャドウ、カラスの親指
三津田信三:首無の如き祟るもの
宮部みゆき:模倣犯
山口雅也:生ける屍の死
横山秀夫:第三の時効、クライマーズ、ハイ
米澤穂信:満願
連城三紀彦:戻り川心中
せっかくだから9点以下は自分で数えて、点数分布の一覧でも作ろうかな……。
オルゴーリェンヌは通勤のお伴に便利な文庫本にどんどん抜かされているので、50番目の栄誉を守れるのか見ものですよ。