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ミステリ感想-『東京結合人間』白井智之

2015年12月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
人間が生殖を捨て男女で結合する世界。
結合人間の中には絶対に嘘をつけないオネストマンが時として生まれた。
彼らを集め孤島での生活を追う映画の撮影が企画されるが、そのさなかに殺人事件が起こる。
殺したのはオネストマンか、それとも。


~感想~
人肉食が肯定される世界でのデビュー作「人間の顔は食べづらい」も問題作として騒がれたが、それをもやすやすと飛び越えるさらに異形のミステリが爆誕。いやもう本当に作者は頭おかしい。
設定はもちろんのこと物語も完全に頭おかしく、話の区切りには超展開と呼ぶしかない事態が待ち受け、そのくせ提出される論理は恐ろしいほどに緻密で、一語一句もおろそかに出来ない膨大な伏線と手掛かりにあふれており、そこまでちゃんと読み込んでいない自分がなんだか申し訳なくなるほど。
終盤は論理の飛躍・逆転・爆発が繰り返され、それこそ結合人間の8本の手足に弄ばれ、もみくちゃにされているような心地で呆然とするばかり。
頭おかしい世界で頭おかしい物語が頭おかしい論理で信じられないほど緻密に解かれる、この頭おかしい作者にしか描き得ない、とんでもない本格ミステリである。


15.12.25
評価:★★★★ 8

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