
~あらすじ~
中学生の息子が誘拐され、身代金を要求された。犯人は受け渡し場所に山手線を指定。犯人は警察の組織捜査をあざわらうように翻弄してみせる。やがて終息したかに見えた事件は、意外な展開を見せ――。
本編は前・後編に分けられ、間には中編『ジャングルの虫たち』を収録。
~感想~
誘拐事件が思いもかけない方向へとシフトしていく、異色の作品。
思いもかけないと言ってみたが、島田作品ではおなじみのアレである。
アレと誘拐ミステリを組み合わせた、社会派ミステリの佳作に仕上がった。
前半は謎めいた誘拐犯と警察の頭脳戦を描き、意外な決着からアレの方向へとずれていく後半まで、怒濤の筆さばき。
間には本編と全く関わらない中編を収め、物語と本の重量に厚みを持たせている。
丁寧に描かれた一人の凡人に注がれるまなざしは暖かく、ささやかな幸せを高らかに謳いあげる結末はさすが。
このところ古きよき本格を連続でものしてきただけに、久々の社会派・島田荘司全開の物語にはおなかいっぱい。
中編集ながら社会派・島田荘司の集大成のような貫禄すらただよう一冊。
ファンはぜひともお買い求めあれ。
……ところで蛇足だが、本作の時代設定は10年前なのだが、こんなに携帯・メールは普及してたっけ?
06.6.10
評価:★★★★ 8
中学生の息子が誘拐され、身代金を要求された。犯人は受け渡し場所に山手線を指定。犯人は警察の組織捜査をあざわらうように翻弄してみせる。やがて終息したかに見えた事件は、意外な展開を見せ――。
本編は前・後編に分けられ、間には中編『ジャングルの虫たち』を収録。
~感想~
誘拐事件が思いもかけない方向へとシフトしていく、異色の作品。
思いもかけないと言ってみたが、島田作品ではおなじみのアレである。
アレと誘拐ミステリを組み合わせた、社会派ミステリの佳作に仕上がった。
前半は謎めいた誘拐犯と警察の頭脳戦を描き、意外な決着からアレの方向へとずれていく後半まで、怒濤の筆さばき。
間には本編と全く関わらない中編を収め、物語と本の重量に厚みを持たせている。
丁寧に描かれた一人の凡人に注がれるまなざしは暖かく、ささやかな幸せを高らかに謳いあげる結末はさすが。
このところ古きよき本格を連続でものしてきただけに、久々の社会派・島田荘司全開の物語にはおなかいっぱい。
中編集ながら社会派・島田荘司の集大成のような貫禄すらただよう一冊。
ファンはぜひともお買い求めあれ。
……ところで蛇足だが、本作の時代設定は10年前なのだが、こんなに携帯・メールは普及してたっけ?
06.6.10
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