内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夏休み日記(5)「近江朝崩壊と人麻呂歌」、無常観とノスタルジー

2019-08-07 23:59:59 | 雑感

 今回の帰国中、これまで五人のそれぞれに異なる分野でお仕事をされている大学の先生方にお目にかかり、お話を伺う機会があった。旧知、初対面、それぞれに楽しくお話しすることができ、いろいろと勉強になり、刺激され、啓発された。今後何らかの企画にご一緒に参加する機会が生まれてくるかも知れない。
 その中で、一つ、二年後のことでまだその通り実現するかどうかは不確定だが、大変に取り組み甲斐のあるご提案をいただいた。「崩壊と世界文学」という研究テーマが話題になったとき、すぐに私の頭に思い浮かんだテーマは「近江朝崩壊と人麻呂歌」であった。そうお話しすると、そのテーマで話してほしいということになった。思いもかけぬことではあったが、これはこれから二年間掛けてそのテーマに取り組んでみよという課題をいただいたのだとも自分には思え、喜んでお引き受けすることにした。近江朝崩壊という歴史的経験が人麻呂歌においてどのような歴史認識・時間意識・世界観とともに表現されているかという問題を、無常観とノスタルジーというテーマともリンクさせつつ、ゆっくりと熟成させながら考えていきたい。