ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

医薬品の副作用にならない副作用

2022-04-13 10:27:34 | 
このブログでは少し前に「病気を治すのは薬ではなく自分自身」として、薬についてと正常に戻す機能について持論を述べてきました。

ここでは医薬品の添付文書には出てこない副作用と認められていない、効能に付随する作用についてです。最近ベルギーの大学の運動生理学の研究チームが面白い研究結果を報告しました。

ヒスタミン受容体抑制の薬を飲んでいると、筋肉の毛細血管の形成が少なくなり、内皮細胞の形成に不可欠な内皮型一酸化窒素合成酵素の上昇がみられなかったという内容です。

ヒスタミン受容体拮抗薬というのは、最も使われているのは花粉症のアレルギー性鼻炎の薬や、胃の粘膜を修復する胃薬として使用されています。

この研究内容の詳細は省略しますが、本来は運動をすると一酸化窒素が多く生成され血管がしなやかになるのですが、こういった薬を飲んでいるとその作用が阻害されるというものです。つまりせっかく運動をして筋肉を活性化しようとしても、この薬で効果が出なくなるようです。

こういったアレグラなどの花粉症治療薬は、ヒスタミン受容体をいわば蓋をしてヒスタミンと結合させないようにするものです。今回の報告のように、ターゲット以外の受容体や酵素に何らかの影響が出るかという研究はほとんどありません。

それはある薬剤が無数にある酵素のどれかを阻害するかを調べるのは、現実的ではないからです。また今回のような作用は、当然副作用とは記載されていませんし、今後も副作用となることはなさそうです。

つまりタイトルの「副作用とはならない副作用」です。このブログでは降圧剤のアンジオテンシン合成阻害剤をよく例に出していますが、アンジオテンシンは血管収縮作用があるためこれを作らなくさせると血圧が低下します。

アンジオテンシンの作用は温度が低下した時毛細血管を縮小させ熱を逃がさないようにしたり、ぞっとした時に鳥肌が出たりする作用があります。これがなくなっても重篤な副作用は出ないのですが、何らかの影響は当然あるような気がします。

そのひとつとしてこの降圧剤を飲み続けていると、半年ぐらいで効かなくなってしまいます。これはこの薬剤でブロックされないルートでヒトの身体はアンジオテンシンを作り出すようになるのです。

つまりヒトが恒常性を維持するため、あるいは健康を維持するためにはアンジオテンシンは必須の化合物といえるようです。血圧を下げるためにアンジオテンシンという犠牲を払うわけですので、血圧は下がっても副作用として表面化しないような影響は出ていると考えるべきでしょう。

多くの薬はこのように何かをブロックすることで、目的とする薬効を出しています。当然重篤な副作用などは出ないのですが、副作用とは認識されないような軽微な影響はあるはずですので、医薬品は必要な時だけと限定すべきと考えています。