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ガン悪化原因の細胞を発見

2017-06-02 10:38:31 | 健康・医療
ガンや腸炎などの病気の原因となる細胞を発見したと、東京医科歯科大学の研究チームが発表しました。

白血球は本来体を守る免疫機能を持つ細胞で、白血球の一種である「単球」は、細胞内で傷ついた組織や異物を取り除く働きをします。単球は最も大きな白血球で、マクロファージや樹状細胞に分化することができます。これはアメーバのような外観で顆粒を細胞内に持っています。

単球の役割としては、通常の条件下で常在マクロファージを補充することや、組織内の感染部位からの炎症に応答し移動していくことが上げられます。単球は白血球の3-8%を占め、成人では半数が脾臓に備蓄されているようです。

単球が分化したマクロファージは、微生物や粒子など異物を消化および破壊する作用を持ちますので、単球は免疫機構中での破壊細胞の前駆体とも言えます。しかしこの単球がガン細胞の中に入ると、「TAM」という細胞に変化し、ガン細胞の増殖をうながし病気を悪化させることが分かっていました。

このTAMは、腫瘍随伴マクロファージと呼ばれ、多くのガンの増殖を促進するようです。このTAMの免疫染色を行うと、マクロファージの浸潤が高い症例ほど悪性度が高く、患者さんの予後が悪いことが分かっています。

また抗炎症性因子の産生や制御性T細胞の浸潤をうながすことで抗腫瘍免疫を抑制したり、新生因子の産生によって新生血管を誘導することで、ガン細胞の増殖に都合のよい微小環境を提供していることもわかりました。

またTAMとガン細胞は密着しており、ガン細胞はマクロファージを自分自身に都合が良いように変換していることも知られています。しかしTAMのもとになる単球が、体内でどのように作られているかは分かっていませんでした。

研究チームは人の臍帯血や骨髄細胞から、単球だけを数多く作り出す「cMoP」という細胞を発見しました。研究チームは、cMopの働きを止めると単球が作られなくなり、その結果ガン細胞の増殖や炎症の悪化を止められかもしれないとしています。

しかしこれも細胞ですので、直接この働きを止めるのは難しいと思われます。この辺りのメカニズム研究が進み、作成に関与する遺伝子やタンパク質が特定できれば、それを阻害する化合物の探索は可能かもしれません。

この新たに発見した細胞は、ガン細胞に入って変化するTAMとの関わりは触れられていませんが、ガンやその微小環境についてはいろいろ解明が進んでいるようです。