ごっとさんのブログ

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インフルエンザワクチンのはなし

2015-11-14 10:24:03 | 健康・医療
先日喘息の吸入薬をもらいに、かかりつけのクリニックに行きましたが、土曜日だったこともあり多くの親子連れの患者さんで満員でした。

そこの看護師さんによれば、これからインフルエンザの季節になるので、ワクチン接種に来ている人が多かったようです。今年はワクチンの値段が値上がりしたり、どこかの新聞がインフルエンザワクチンは、ある年齢には効果がないという報道をし、そのため問い合わせが非常に多いようです。帰ってからどんな報道だったのか探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。

私は数年前にワクチン接種をしたこともあるのですが、このブログでも書いたように、インフルエンザについては、基本的にワクチンの意味がないと考えています。今年のワクチンはいろいろ問題があったようですので、改めて取り上げてみます。

まず今年からワクチンが3価から4価になったとのことでしたが、単純に入っているウイルスの型が3種類から4種類に増えたようです。これが値上がりにどう関与しているのかわかりませんが、このためか若干値上がりしたことは確かなようです。このワクチンは接種後2週間程度で効果を発揮し、5か月ぐらい有効とされています。この有効期間が5か月というのが問題です。

ワクチンは、弱毒化したウイルスの表面抗原といわれる糖たんぱく質を認識し、それに対する抗体を作るものです。本来こういった抗体は、一度できればいわば一生保存されています。そのためウイルス性疾患であるはしかや風疹などは、一度かかればもう発症しない、ワクチンも一回接種すれば十分となるわけです。人間の体内には数千以上の抗体が準備されており、病原菌などの異物が入ってくれば、それに対応する抗体が働き、免疫システムによって除去する仕組みが出来上がっているわけです。

ですから一旦できた抗体が、短期間で消えてしまうことはまずないことになります。しかしインフルエンザは、毎年感染してしまう人もいます。前の年にかかったインフルエンザの抗体が消えてしまうことはありませんので、次にかかったのは表面抗原の異なるインフルエンザということになり、このウイルスは非常に変異が早いということになります。たぶんワクチンの有効期限が5か月というのは、その程度の時間でウイルスのほうが変異してしまうということと思われます。

インフルエンザワクチンは、当然最新型のウイルスを使って作るはずですが、何か月かの時間がかかってしまいます。ですから今年の冬に、違う型に変異したウイルスが流行れば、ワクチンには何の効果もないということになるわけです。インフルエンザはそれほど重症化することは少ないので、発症したら運が悪かっと寝ているのが一番良いような気がします。