この前酒のこんちきたいで見かけたのだが、実は菊姫の別ブランドと教えてもらい、驚いた。その時は鶴乃里と吉田蔵を買うのでいっぱいだったので改めて今回購入。
2023年11月13日に新発売。
菊姫伝統の醸造思想と異なるため、敢えて別の銘柄を冠したという。
これも意外だったが、菊姫には吟醸はあっても純米吟醸と呼ぶ酒はなかったのだという(純米吟醸レベルの酒はあったと思うが)。
2500円と、少し高め。高級な箱に入っている。酒のラベルは値段に比して安っぽいという口コミがあるが、上品で堅実な感じでいいと思う。
注ぐ。
気のせいか菊姫らしく、やや濃いめの琥珀色。
香りはこれも吟醸香ではなく、菊姫らしいカラメルを予感させる熟成香に感じられる。フレッシュ感はあまりない。
飲む。
一言では言い表せられない。多くの味が次々に現れる。
吟醸香はほぼない。
灰っぽい味がある。
そして菊姫らしい味が全体にある。それらを丸く軟らかくした感じ。
さすが菊姫らしく単にワインのような吟醸酒は造らない。
カラメル風味を感じさせつつ一歩手前で軟らかくまろやかにさせる。
後半から甘い砂糖のようなコクとも言える味覚が出てくるが、強すぎず、これも優しく通りすぎる。そうすることで風味として味を加えている。
よくこんな酒ができたものだ。
菊姫の伝統の味を固守しつつ、優しい、まろやかでスッキリした味にリモデルした。
マグロの切り落としと合わせる。これが合う。両方合わさってそれぞれが濃いめの味になる。酒の味が際立つ。際立つと行っても、菊姫らしい米のコクが。鶏肉、酒の苦味がやや強くなる。
青椒肉絲と合わせると、なんと青椒肉絲がより中華風になる。つまり青椒肉絲の味を引き立てる。面白い。
とにかく合わせるツマミに逆らわない。ツマミを引き立てつつ、どこかで自分(酒)もアピールする。つまり負けていない。決して酒本体の味は淡白ではない。
華やかさはないが、穏やかに、ツマミに合わせる酒。
20240320追記。
色々考えたが、やはりこれは菊姫だ。
悪い意味ではない。
菊姫らしさがある。新しい味を追求する感じではない。菊姫の範疇で新たな方向性を探したと言える。
20240322追記。
千代鶴純米酒生酒のようなスッキリした酒からすると、やはり米の酒だと感じる。炊いた米の風味。重厚とも言える風味。これは紛れもなく菊姫ではないか?
いくら、これまでの思想にない新機軸といっても、菊姫の味わいはやはりあるのだ。
これを熟成させたら、結局は定番の菊姫の山廃純米になるのではないだろうか。