ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「黒い時計の旅」スティーヴ・エリクソン

2012-03-31 05:00:16 | 読書

黒い時計の旅 (白水uブックス) 黒い時計の旅 (白水uブックス)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2005-08

以前に図書館で借りて、少しだけ読んだか読んでないか、それくらい読んだという記憶がなかった。ところが今回読むと何か既視感がある。そうだとしたら、それは記憶には残らないが潜在意識に対しては強烈にインパクトを与える、まさに幻視力のなせる技だろう。開始からわずかの物語のなかでさえ溢れんばかりの不思議なエピソード。
1/3まで読んでも黒い時計とは何かわからない、そして内容紹介の「仮に第二次大戦でドイツが負けず、ヒトラーがまだ死んでいなかったら~」という事が全く出てこない。ここまではバニングジェーンライトの狂気が延々語られる。この狂気、そして時間感覚を超越した思考、現時点において既にそれが未来である。未来が見えているのである。それは年単位であり、ごく近い未来でもある。近い未来の方がよく出てくる。すなわち極近未来と現在という短い感覚があたかも同じ時間感覚で表現されているのだ。これがエリクソンの幻視の本質なのだろう。初めの1/3のさらに1/2はジェーンライトは登場しない。その息子であろう、が主体となる話だが、それこそが前述の通り幻想的な話、奇妙な話である。

読んでいると幻想的という喩えよりは、シュールなというのがいいのではないだろうか。
同一と思われる人物が、その時(時代)によって全く異なる名前と人格を持つ。このように人物が時間の流れを完全に無視して出現し、まともに時間軸に沿って理解しようとしても混乱してしまう。○年と具体的に数字が出てきて、さも意味がある如く感じるのだが、これも深く考える必要はないだろう。この物語は別に推理小説ではないのだ。ただ全体を楽しめばいい。
終盤は時間の超越も落ち着き、主要人物とも言えるZをつれ回し、何かをさせよう(何かしてやろう)と思わせる
ように話は進んでいくわけだが、何とも呆気なく役目を終える。呆気なくというよりは、(この物語において大きな役割を与えられているはずなのに)完全に無視されるが如く役割を終える。そしてそれ故に何の意味も与えられず、その後も話は進む。
(途中)


「一九八四年(新訳版)」ジョージ・オーウェル

2012-03-31 04:57:45 | 読書

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) 一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
価格:¥ 903(税込)
発売日:2009-07-18

全体主義を題材としたディストピア小説と言われる名作だ。

ビッグブラザーを指導者とし、人々は常に監視され、さらには隣人、家族同士で監視し合う社会。しかも、行動を監視されるだけでなく、思考でさえ監視されている。現在の我々からすれば、非常に窮屈な社会だと思う。

誰しも全体像を知らないし、知らされることはない。その時々において、その人に合った指示だけが来るて、その指示に従うだけ。横の繋がりはない。つまり、それに対して何も疑わず、意味も見いださず、盲目的に従うこと。ただそれがより大きな、全人類的な目標に参加、貢献できているという。そのように洗脳されている。ちょっとでも疑問を持てば思考警察により捕まり粛正される。
突き詰めれば誰か1人指導者がいて、指示を出す。聞いたもはそれを自分のクラスターに伝言する。横の繋がりはないので秘密が漏れることはない。安全である。そして誰か違反行為をしたり、反逆的行動をとったとしても、そのクラスタを粛正、壊滅させるだけで済む。誰がどんな行動をしたか?他の者が知ることもないし、なぜ粛正されたかも知られることはない。

トップ一人が命令したら次々伝わり、命令されたものはそれに従うだけ。それがどんどん下に伝わる。つまり1人の命令によって大規模な人数が動くということ。ただ、それを誰が正しいと証明できるのか?みんな信じれば正しいと言えるのか。そのトップが全く正しいと言えるのか?証明できるのか?そのトップは何ゆえトップになれたのか?間違ったことをいっていれば、そもそもトップにはなれない。独裁者は何故トップになれたのか?そもそもトップは実在するのか?

主人公は、こんな社会に少し嫌気がさしている、過去は今よりもっとすばらしい世界だったのではないか?と感じている。その証拠を見つけるため、その(あったかもしれない)時代から生きていたであろう老人と接触したり、もしかしたらこの世界のアンダーグラウンドでは全体主義に抵抗してすばらしい生活をしている世界があるのではないか、その世界につながる(つながっているのではと妄想しているわけだが)人物に接触しようとする。いずれも違法行為だ。そんな危険を冒してまで、いやもう粛正されてもいいと言う気持ちにさえなっている。

悲しいかな、自分が素晴らしい方の世界の窓口だと思っていた人物は結局政府の幹部であった。そして粛正が始まる。恐ろしいのは、ただ始末されるだけではなく、まず思考から強制され、政府にとって理想的な考え方に矯正された上で始末されるのだ。表面上従ったフリをしてもだめなのだ。

この点は恐ろしいことだと思う。仮に誰かに服従する必要があったときに、100%その考えを受け入れることは出来ないことも多々あるだろう。しかし必要とあらば受け入れるだろうし、少なくとも嫌々ながら受け入れようとはするだろう。それは歩み寄りということで前向きな行動だと思う。しかし、心の底から受け入れてくれないと許せない、といわれても、思考から変えることは出来ないのだ。受け入れようと努力することは寧ろ悪になるのだ。


銀河高原ビール「白ビール」

2012-03-28 00:33:33 | ビール

Dsc00097

缶のタイプは初めて見ました。

グラスに注ぐと、本当に酵母で白濁し、ともすれば黄緑色にも見える。

泡立ちがよく、クリーミーな泡と言うより、粘度のある細かな泡。

口に含んだときの香りと味は確かに白ビール。しかし全体的に濃厚さが少ない。水っぽいともいえる。酵母によって旨味がすべて消費されたのだろうか?

口に含んで飲み込むまでは確かに濃厚さっぽいものをかんじるが、余韻が非常にあっさりしている。そこが白ビールと異なる。


アビィビール

2012-03-25 20:11:59 | ビール

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ゆめタウンで売っていました。フランス原産。軽く、ジュースのよう。飲み込んだ後は苦味が残るのでビールと言えよう。泡立ちはよく、缶の色とはうらはらにやや濃い黄金色。重厚感や重みといったものは少なく、伝統的なアサヒのビールのような味であろうか。渋味はないので全体的にフルーティーというのか薄いと言うかそんな感じ。
SAINT-OMERと書いています。フランス語が読めないのでそのまま記載します


香彩堂「うるおい」

2012-03-25 15:52:58 | こんなアイテム

香彩堂という京都の会社のお香です。

京都と言えば松栄堂も有名ですが、結構香彩堂を愛用してます。

今回は「うるおい」というのを試してみました。

3

白檀と伽羅がベースになっています。

自分がどんな香りが好みか?それを表現するのが非常に難しい。森林のような、渋いような、木のような、すーっとするような・・・そんな感じで解説を読み比べて試すわけですが、たいがいは自分で表現する物とはずれてしまうのです。

香彩堂に関しては色々試して、結局は伽羅系に落ち着くことが多いです。沈香も好きなのですが、どうも最近は嗅覚が変わったようで、沈香は渋さ、塩辛さを強く感じてしまい、合わなくなってしまいました。その点伽羅は古風な香りでありながら、まろやかで甘い香りで、ききやすい。

そんなわけで香彩堂には桐箱に入った「伽羅」というのがあるのですが、それが一番お気に入りですが、ちょっと遊んでみたい、「伽羅」少し高い、といったときに、この「うるおい」で少し気分を変えることが出来るのではないかと思います。