ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「雪国」川端康成

2021-10-31 21:51:54 | 読書
冒頭の文は中学校か高校の教科書に出てくるくらい有名だ。しかしじきに、退屈まぎれに左手の人差指をいろいろに動かして眺め、、と教科書にはふさわしくない文が出てくる。島村は駒子に芸者を呼ぶよう頼む。駒子とはプラトニックにいたいようだ。やってきた芸者は17、8の色黒の娘で、いっぺんに興醒めする。その芸者は気を遣って自ら席を立つという有様。更には駒子のことも帰したくなる。1時間後駒子と一緒に宿を出る。島村は林を散歩すると2匹の黄色い蝶がもつれ合いながら飛ぶ場面がある。参照を見ると、島村と駒子の破局を暗示しているらしい。これは絶対わからないと思う。研究者が妄想したものを、作者もそれでいいやと後付したのでは?これがテストに出てきてバツをつけられても絶対納得できないな。
ある晩は客に安いウィスキーを飲まされ泥酔して島村の宿に来る。トレンディドラマを見てるようなやり取りがある。その夜は何もなく、駒子は夜明けに帰り、島村も東京に帰る。
はじめの電車の場面の病気っぽい男を介助する女が葉子で、島村が道で見かけた按摩の盲目の女に、なぜか思い立ってにあん摩してもらっているときに聞いた話が、駒子はその病気っぽい男の許嫁だという。その許嫁の療養費のために駒子は芸者になったらしい。では葉子は何者なのか?何かありげな雰囲気。駒子に聞くと、許嫁というのは母親が(そうと口には出さないので)心のなかで思っているだけであり、周りの人間が勝手にそう思い込んでるだけだと。そして駒子自身はあっけらかんと、死んでいく人なのだからとドライだ。
その後駒子は三味線を弾き、島村は、駒子は俺のことを惚れてるなと思う。
川端の表現はナルシシズムだ。自分は大したことないと謙遜している男が、なぜか読者からしたら不思議なほど女からモテる。対して三島は自身がナルシストで、登場人物は劣っているように描く。のだろうか。
何だかんだで駒子は島村と一緒に過ごすことが多くなる。(ただ、時間制で勘定が発生しているという描写もある)島村が東京に帰る前の日、駒子は帰って欲しくなさそうな、しかし強がって帰ればいいと言うような素振りを見せる。帰る当日も駅まで見送る。時間があったので2人で散歩していると、葉子が走ってきて行男が呼んでいると駒子にすぐ帰るよう伝える。しかし駒子は帰ろうとしない。行男は駒子にとって大切な人だから帰るように島村は言うが帰らない。人が死ぬところを見たくないということだが。
帰りの列車で、50過ぎの男と顔の赤い娘とが向かい合って楽しそうに話し込んでいる。仲のいい連れかと思っていたら、停車場につくと男は降りていく。男は行商人だろう。それを見て自分も女と別れてきたのだと思いだし涙が出そうになる。
東京に帰り、次に戻ってくると、雰囲気がガラッと変わる。蛾や、蚊より小さい虫、蜻蛉など虫の描写が不気味だ。駒子も少し太ってしまっていたり。
朝の7時と夜の3時、座敷の間に一日に二回変な時間に訪ねてきた駒子。身内のように見える。永井荷風の「濹東綺譚」もそんな雰囲気だった。夜の方は、駒子の仕事柄やむなしだが、いつものように泥酔してやって来る。それがいい。
葉子が気になり出す島村。駒子はあてはないが東京へ行きたい。島村の家で女中で働きたいと言い出したり、駒子が好きでないと言い出したり。駒子も葉子がきちがいじみたところがある。いずれ自分のお荷物になりそうだという。葉子は駒子のことをよくしてあげてというし、駒子も島村は葉子のことが好きだろうという。お互い牽制してるようだ。
村の繭倉から火が出る。映画の映写があるのだったが、フィルムに引火したのが原因だそうだ。駒子と向かいながら天の河が目に入る。吸い上げられそうになる。その感覚がリアルだ。
消しかかった火事。駒子が島村の手を握る。ゆるんだ髷、伸びた咽、熱い手。それを感じて別離が迫っているように感じる。
この火事がつまりクライマックスだ。火事の二階から飛び降りる女の姿。まるで無重力のように水平に落下する。2階からなので死ぬことはないと思うが。落下する瞬間ではあるが駒子と島村はしかしそれが葉子であることがわかる。慌てて駆け寄る駒子。抱き上げ、助けようとしながら、「この子、気がちがうわ」と叫ぶ。近づこうとするが葉子を助けようとする村の男たちに阻まれよろめく。その瞬間天の河が島村の内に降り注いでくるのだった。それが結末。
衝撃的な幕切れ。色々象徴しているのだろうが、1回読みではわからない。
和風、日本の美と言われていて天の河(古来から登場するが)星が出てくることにらしくなさが。
駒子の島村に対する無邪気さがいい。
冒頭島村が感動した葉子の姿から、葉子のことが一番気になる女性であることがわかる。しかし、駒子の無心の愛情からすれば何の事はないと思う。読者はみな駒子のことが好きになると思う。
 
20211011読み始め
20211031読了

「Early Autumn」平中悠一

2021-10-30 23:42:39 | 読書
図書館本。これも文庫化されていたが今では絶版。
相変わらず「かあいい」の調子
シーズレインの前日譚のようだ。
ファニー・ヴォイスはレイコのこと。
サーコと言うのは佐和子だった。
レイコはぶりっ子だ。ユーイチはイキりだ。
音楽の授業。ぼくは先生のことが独特だ。おっしゃったとか先生は彼女を指名された。など敬語。あえて言うなら我々が大学でイキってわざとそういうケースがある。それを高1で言ってる。
何?高校生のクセに学校のグランドピアノでプロコフィエフを弾くのか。これは主要人物ではなく同級生の誰か。
レイコの家に招待される。レイコの母が会いたいようだ。レイコにとってぼくは数いるボーイフレンドの一人にすぎない。家にいくときはおしゃれにトラッドにコーディネート。コム・デ・ギャルソンのボタンダウンにコットンリネンのグレンチェックのトラウザーズを合わせ、ジャックパーセルを履く。ハイソだ。
レイコの家では父親とも接する。将来何になりたいか聞かれ、「僕は僕になりたい」と哲学的なような、適当のような答えをする。お父さんはそれとなく否定的な説教をするが最後は互いに笑う。
ユーイチのバンド仲間との話が間に入る。キーボード担当のユーイチだが、ベース担当が新しいキーボード奏者を読んできたことで、ユーイチはキーボード担当を外されるなど。
ユーイチが自転車で走っていると、レイコをみつける。コンサートに行くところだという。偶然会ったのかと思ったらチケットを2枚持っている。しかもユーイチの好きなアーティストのコンサートだった(クラシックコンサートというのがらしい)。別の人と行くのかと一瞬理解できなかったが、どうやらユーイチのために用意していたようだ。レイコはドレスアップしていたが、ユーイチはコンサートに行くような恰好はしていない。急いで家に帰って着替えてくるというのだが、レイコは自転車に横乗りで一緒にユーイチの家に帰るのだった。次の場面はコンサートから出てくるところだ。
もうこれは相思相愛と言ってもいいと思うのだが、友達以上恋人未満、やや恋人よりといったところだ。7割恋人まで行くガールフレンドが複数いる人たち。ハイソでませている。自分とは違う世界だが、多分高校生活というのはそういうものなんだろうなと思う。
 
20211027読み始め
20211030読了

ヘリオス椀子麦酒

2021-10-30 18:11:56 | ビール

ローソン金沢藤江北店で購入。

文字の色や〇子という文字から、柚子ビールと勘違いしていた。

華やかな感じで、ピルスナータイプより高音寄り。

最初の先入観から、後味にのどの両端で酸味を感じるように錯覚してしまう。

濁りではあるが粘度が高いわけではなく、どことなくドライ感さえ感じる。

すっきりしているので、言う通り何杯でも飲めそうだ。


レモンサワースクワッド

2021-10-29 20:32:44 | ビール以外

今まで気づかなかったが、ローソンで発売されている。しゃれているが、要はレモン酎ハイだ。

宝酒造が作っている。

LDHと宝酒造のコラボで、EXILEが関係している。

EXILE結成当初、レモンサワーとともに夢を語り合った街、中目黒からこだわりのレモンサワーを発信します。とのこと。

それにしてはなぜ京都の宝酒造なのだろうか?

飲む。キャッチコピーに弱いので、

確かにレモンの味がしっかりある。

そしてそう言われればバックと後味に焼酎の風味がある。乙類でなく甲類の。

湿った穀物の焼酎の風味。

これがレモンと合うのかもしれない。相加作用。


獅子の里純米吟醸酒未来おりがらみ

2021-10-21 19:33:07 | 日本酒

直売所で購入。

純米吟醸酒未来は飲んだことがあるが、これはそのおりがらみバージョン。裏には注意書として、吹き出す危険性があるのでゆっくり開封とあるが、火の口同様全く吹く様子はない。

注ぐと濁り。薄濁りという感じではなく薄濁りを10%とするなら30%くらい。

香りは薄濁りっぽい、つまり米っぽい香りで爽やかさがある。

飲む。発泡している。炭酸も相加作用で辛口だ。

ベースの味としてはしっかりコクがあり、それでいておりの米っぽい風味がある。

ライチか何かの果実の風味が感じられ、よくあるおりがらみの、発泡していて、平坦で米っぽい味とは違い。味がしっかりしていて飲み飽きない。後味に苦味もある。重くはないが、様々な味がちゃんとあり飲める。

20211123追記。

春心に比べ酸味が強い。