この春だけのプレミアムモルツ。厳選された5種類のアロマホップが織りなす華やかな香り、豊かに広がる余韻。とのこと。
香りは違和感のないすっきりした香り。
注ぐと意外に色は薄い。まあ普通のプレモル並。しかし先入観のせいかノーマルのプレモルより少しだけ薄くさえ見える。
飲むと、これは過去にあったか、ホップのフルーティーさがまず印象的。アロマホップの香り。
そんなホップの風味が印象的ではあるが、さすがに5種類使用しているだけあって、多層的だ。
フルーティーなホップの風味もあるが、苦みのホップがあるし、渋味のホップ、スパイシーなホップもある。それぞれが重なっている。
フルーティーで終わらせない。ウェハース的な香ばしさも感じられる。
ただ全体的には軽やかな、薄いような印象の味ではある。
はじめフルーティーなジューシーさ。そこから青っぽいホップの風味(それは甘味を伴っている)がやってくる。そして渋味がやってきて、飲み込んだ後の余韻はモルティ。
こう書くと、味が多層的で高級感を感じる。
全国的には石鎚というのは愛媛の酒のなかでも上位に入る銘柄だが、石川県では入手しづらい。すっかり石鎚も飲めなくなってしまった。
今回は広島の酒商山田の蔦屋書店で購入。最近の純米吟醸のラベルを踏襲している。
PM-1というバラ酵母を使用している。東京農業大学がプリンセスミチコというバラから分離した酵母。
酸味のある香り。強い香りだが、端にリンゴ酸というのか抜けたリンゴ酸のような香りがある。この香りはあまり得意ではない。
飲む。
まるでジュースかワインのようなフルーティーさ。
後味は苦味があるが、それが消えた後、桃のような後味が出てくる。
全体的に雨後の月のような味わい。
20220326追記
日本酒度がー1なのだ。
確かに甘いと思う。キレとかドライと言った味覚はない。
中学生の頃だろうか、角川文庫の忍法帖シリーズで軍艦忍法帖の次にリリースされたのが初読だ。購入した日は不明だが、19860710に初版で買っているのでその頃買ったのは確かなので、それから35年ぶりに再読となる。
12人の剣士が1対1の6組で戦うということで、風太郎では定番の忍者対忍者の剣士版と言ったところだ。初めて読んだ時は林崎甚助という居合の創始者が長巻という武器を使って、誰だったかと対決する。で、どちらも抜刀することができず、永遠ににらみ合ったままという決着?だったのを記憶している。林崎甚助という人物を初めて知ったのもこの時だし、居合に興味を持つきっかけとなった。そのうち居合を習いたいと35年頭から離れない。実はそれ以外内容に関しては記憶に残っていない。本当に完読したのだろうか。
木造京馬と飯綱七郎太は忍者の兄弟弟子。2人の前に果心居士が気を失ったお眉をつれて現れる。お眉は七郎太を愛しているが七郎太には他に愛する女性がいる。むしろ京馬がお眉を好いている。主君は伊勢の北畠具教。具教の娘は旗姫。果心居士と言えば「伊賀忍法帖」が印象的だが、もう1作登場しているのがこの「忍法剣士伝」だ。キャラクターのイメージから森宗意軒と間違えそうだ。北畠具教は伊勢の国師ということだ。北畠具教の名前はよく目にした気がするが、過去読んだ本のなかでは花田清輝の「室町小説集」くらいしかない。しかも最近だから、この小説の記憶が残っているのであろう。
七郎太は旗姫を好きで、旗姫は京馬が好きで、京馬はお眉が好きで、お眉は七郎太が好きという卍巴。
織田信長が北畠との和睦と引き換えに茶筅丸(信雄)を旗姫の婿にすると持ち掛けてくる。愚鈍で知られる信雄を婿にするのは避けたい。北畠具教の餅に十二名の剣士が集まり、何か対策はないかと話し合う。剣法に対して挑戦的な七郎太は剣士たちを挑発する。ここで林崎甚助が進み出る。七郎太は足で畳の端を踏み、垂直に持ち上げる技を使うが、瞬時に林崎は居合によって畳ごと七郎太を斬る。しかしとっさに京馬が七郎太の足を引っかけ斬られるのを避けることができた。このとき林崎が使った武器は長巻である。この長巻というのは記憶にある。刀でなく長巻という、なぎなたの短い版のような武器が印象的だった。
七郎太は果心居士を頼り、秘術を教わろうと姿を隠す。数日後戻ってきた七郎太はお眉と祝言を上げ、2人だけで誰も入れず、蔵に閉じこもった。それが解放され、蔵に入った京馬は衝撃を覚える。お眉は七郎太の術により、精をことごとく吸い上げられていた。そしてその成れの果てが、体が透き通ってしまい、血管さえ透けて見えるのだった。ガラス人間のようなものだ。これは強烈だ。過去に読んだ時にこの記憶はない。
七郎太は鐘巻自斎の弟子である伊藤弥五郎に腕を斬らせ、その切り口から、お眉から吸い上げた精を旗姫に浴びせる。忍法びるしゃな如来。これにより旗姫に近づく男は精を出し尽くし枯れ果て、ついには死に至るという。こうすることで信雄は旗姫と婚姻を結ぶが一切手出しできないというわけだ。再び七郎太は姿を消す。
信雄が明智を連れて婚礼のためやってくる。旗姫にかけられた術のため信雄は初夜に精を涸れさせられ瀕死状態。そのまま死なせることもありだが、そうすれば信長から疑われるのは必定。北畠具教は迷いに迷う。具教は信雄に旗姫は奇病にかかっていると説明し、姫と半年別居してくれと頼む。術にかけられてから、12人の剣士たちの様子もおかしくなる。まるで姫をものにしようと他の剣士を牽制する様子。その狂った剣士たちから姫を守るため、具教は京馬に姫をつれて身を隠してくれと頼む。
少しいつもの風太郎の文調ではない。
林崎甚助と片山伯耆守の対決。どちらも抜刀術を専門とする。林崎は背中に背負った長巻を俊速で振り下ろす。片山は相手の第一刀を紙一重でかわし、その瞬間に相手に攻撃する。それが相対するとどちらも手を出せなくなってしまう。互いに睨み合ったまま日が暮れていくのだった。この記憶はある。
次は諸岡一羽と富田勢源の対決になるが、これは互いに師匠対相手の弟子となる。諸岡一羽は癩病を病み、富田勢源は眼病を患っている。それぞれ病によってフラフラ状態。
富田勢源は越前の出身。朝倉家に仕えた中条流(ちゅうじょうりゅう)の達人富田治郎左衛門の長子。小太刀の名手。
京馬は諸岡と富田をおびき寄せ互いに対決させ相討ちもしくはどちらかが勝った後、それを始末しようと考える。その画策通り両者はおびき寄せられる。しかしどちらも病人。そして本当に対決する。どちらも紙一重で傷を付けるだけにとどまる(歴史はそこで死んではないことで決着はつけられない)ただ、両者致命傷は負わなかったにせよ、歴史から記述が消えているようだ。うまいのは富田勢源の弟子に佐々木岩柳という弟子がいた。それは完全に佐々木小次郎を連想させる。ただし宮本武蔵と対決した佐々木小次郎とは時代が合わない。そこで、小次郎の先祖とした上で、武蔵の父親といわれる無二斎、そしてその一派と対決したとされる相手の吉岡拳法が次の章に繋がる。木下昌輝の「敵の名は、武蔵」でも両者が出てきたのを思い出した。
確かに、ここでも吉岡拳法は染物師としての一面も描かれている。染物技術の一端である、粘着剤が武器のひとつ。小太刀の名人であるとともに、粘着剤で相手の目や刀を封じ、小太刀で倒すという技だ。ちょっとずるい技とも言える。一方宮本無二斎は十手の名人だ。対決は吉岡拳法と宮本無二斎。吉岡拳法は無二斎の目を粘着剤で封じる。無二斎は十手によって拳法の左の指を全て折った。次の瞬間に勝負が決まるというとき、拳法は崖から海に転落しそのまま行方不明になる。この辺りは諸説あり、実際対決したのは息子の武蔵であったなど。いずれにしても左手の指をやられてしまい。それ以後は剣より染物の方で有名になったようだ。無二斎に関しては、播州三木の別所に仕え、秀吉軍に攻められ籠城している中にいたという可能性があるという。
宝蔵院胤栄は三日月型の刃が付いた槍を扱う。一方は新影流を操る柳生石舟斎新左衛門。どちらも病人上泉伊勢守の4番弟子3番弟子。宝蔵院は羽柴秀吉の部下の竹中半兵衛に、柳生石舟斎は徳川家康の部下の服部半蔵に仕官を薦められる。互いに兄弟弟子だが、びるしゃな如来の忍法にやられてしまっている2人は互いに倒そうとする。柳生石舟斎の五男が柳生但馬守宗矩。孫が柳生兵庫。
対決は相討ちとなる。胤栄は石舟斎の一刀により陰茎を縦に裂かれ、石舟斎は胤栄の槍の石突きによって睾丸を潰される。命は落とさなかったものの凄絶な結末。
鐘巻自斎と伊藤弥五郎の師弟。清廉な師弟だ。びるしゃな如来の術前は。その後もそれを保ちつつぎこちない関係となっている。調べてみると伊藤弥五郎とは伊東一刀斎なのだった。伊東一刀流の開祖だ。鐘巻自斎の弟子だったのか。むしろ伊藤弥五郎の方が有名で鐘巻自斎の方が一刀斎の師匠という位置付けなのだろうか。鐘巻自斎のルーツは中条流。因みに伊東一刀斎の弟子の小野忠明の子、小野忠常が小野派一刀流の開祖らしい。飯綱七郎太がまた現れる。七郎太の手首を切断したのは伊藤弥五郎で恨みを持っている。七郎太はお汐を捕らえ例のほおずき灯籠の術にかける。例の女の精を全部吸いびるしゃな如来の準備をする。この術によってお汐は透明になって死ぬ。そのサポートをしたのがなんと鐘巻自斎。
鐘巻自斎と伊藤弥五郎の対決。これは師弟対決。結末は鐘巻が首を斬られ負け。そんな結末だったのか。ただし、鐘巻自身の存在が史実では謎で作者のいかようにも創作できる。
びるしゃな如来の術にかかった旗姫も半年を経ると効力が弱くなってきた。執念を燃やす七郎太は再び術にかけようとお優にほおずき燈籠の術を仕掛け精をすべて吸い取る。そして京馬と旗姫の前に再び現れる。また果心居士が七郎太の前に現れ、びるしゃな如来のバリエーションを教える。つまり、びるしゃな如来の術を女にではなく男にかけた場合「地獄如来」という術になる。それは自分より強い男への反逆に憑かれる術。というものだ。これが何の役に立つのかさっぱりわからない。
残る剣士は塚原卜伝86歳と上泉伊勢守65歳の二人だけ。この二人だけは、別世界にいるようだ。刀で立ち会うわけではなく、戦わずして対決している。
クライマックスは半年も旗姫にお預けを食らっていながらとぼけている茶筅丸(織田信雄)への怒り、突き詰めれば北畠家への怒り。これにより信長はいよいよ北畠を攻めようとしているところだ。指揮は明智光秀だ。北畠具教は伊勢に帰ってきた旗姫と京馬を説得し、どこか別の国へ逃げて幸せに暮らしてほしいと説得する。自分は剣豪でもある大名で、信長と戦って討たれることは本懐と考えている。具教は秘密の抜け道を京馬と旗姫に教え、逃げさせた。そこに現れたのが七郎太と、一緒に城内に侵入してきた明智の兵。かつての主君と対峙する。北畠と七郎太の対決だ。果たして。一緒についてきた明智の兵だったが、七郎太に覆面を切られ出てきたのは明智光秀その人だった。それに驚いた具教は予想外にも七郎太によって討たれてしまう(史実にはもちろんないだろう)
京馬と旗姫を追い詰める七郎太。再び術にかけた旗姫に反応しない京馬ふ不審に思った七郎太は、京馬が盲となったことを知る。京馬と七郎太の対決だが、旗姫に近づき反応してしまった七郎太の隙をついて京馬が勝つ。七郎太は例のびるしゃな如来の液体を明智光秀にかける。つまり地獄如来。なるほど、何の役に立つかわからない術はここで活かされたのか。もうわかると思うが、この術によって後に明智光秀は信長に謀反を起こすのだ。並行し、卜伝と伊勢守の神仙の域の対決はびるしゃな如来の術に反応しての射精の距離の競争だ。こちらも相討ちとなったが、年齢をかんがみると自分の敗けだと謙遜する伊勢守。それをよそに秘密の抜け道を逃げていく旗姫と京馬。老剣士の次は真剣で勝負するかという声だけ残ったのだった。
風太郎らしくない読みにくい文体だった。しかしクライマックスの展開は本領発揮。
20220214読み始め
20220314読了