医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

「弟を人として見ていたか」 遺族が意見陳述 石郷岡病院事件

2017-03-03 22:51:03 | 傍聴記
 菅原、田中両被告の裁判員裁判の第10回公判では、被害者参加制度を利用し、弘中さんの姉と父親が意見陳述した。父親は弘中さんが亡くなる少し前に、母親に「僕の人生、どうしてこうなっちゃったんだろう」と、涙を流しながら話していたことを明かし「悔しかっただろう、つらかっただろう。法の裁きをもって、厳重な処罰をしてもらい、一刻も早く墓前に報告したい」と訴えた。

 父親は「保護室は何もない世界。隔離世界で暴行を受けた息子の悲しみ、苦しみは言葉にできない。天井を見つめるだけの入院生活。息子の絶望感はいかばかりだったか。自責の念に押しつぶされそうだ」とし「被告人らの行為は人間の尊厳を踏みにじった。大事な宝の息子の生涯を非人道的なやり方で終わらせ、家族から平和を奪った。断じて許せない」と、厳罰を求めた。

 意見陳述書を提出した姉は「人の命を救うはずの病院で暴行された弟の気持ちを思うといたたまれない。自由も人間の尊厳も奪われた弟が『おれの人生、間違っていたよ』とぽつりとこぼしていたことが忘れられない。亡くなった日も、何時間も弟は涙を流していた」と振り返り「誰が見ても分かるカメラがあるのに否認している。人を人とも思わぬ医療が今回の事件を招いた。あなた方は医療従事者として恥じぬ行動をしたと思っているか。弟を一人の人間として見ていたか。誇りはあるか」と、両被告に向けて訴えた。

2017年3月3日10:09 千葉日報

ご家族様のお悲しみはいかばかりかと拝察いたします。
さぞお力落としのことと存じますが、故人のご遺志を継承されることをお祈り申し上げます。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

2被告に8年求刑 千葉地検「人間性踏みにじった」 石郷岡病院事件

2017-03-03 22:49:23 | 傍聴記
 千葉市の精神科病院「石郷岡病院」で2012年、男性患者が介助中に暴行を受けて寝たきりになり2年4カ月後に死亡したとされる事件で、傷害致死の罪に問われた、いずれも元准看護師の菅原巧(63)=千葉市若葉区、田中清(67)=市川市=両被告の裁判員裁判の第10回公判が2日、千葉地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。検察側は「患者の人間性を踏みにじった」として、両被告に懲役8年を求刑。弁護側は「看護行為で問題はなかった」などとして、あらためて無罪を主張し結審した。判決は14日。

 公判で検察側は、入院患者の弘中陽さん=当時(33)、市原市=が暴行を受けたとされる時間を12年1月1日午後4時15分ごろと指摘。現場は弘中さんが生活していた病院内の保護室とされ、地裁は天井に設置されていたカメラ映像を証拠として採用している。

 論告で検察側は、当時のカメラ映像の静止画を示しながら、菅原被告が弘中さんの顔を踏みつけたとする場面や、田中被告が弘中さんの首に左ひざを乗せて体重をかけたとする場面を指摘。「菅原被告が左足で顔を踏みつけた。弘中さんの髪の毛が乱れ衝撃が伝わった」、「田中被告は前のめりとなり、左ひざに体重をかけていることが明らか」などと述べた。

 共謀については「田中被告は菅原被告の顔を見上げている。お互いの状況をはっきりと確認しており、2人の暴行には連動性が認められる」とし、死亡との因果関係については、2人の暴行による受傷前後に、弘中さんに頸髄(けいずい)損傷以外の死因につながる事情は生じていないとし「協力して弘中さんにズボンを履かせる過程で蹴られたことがきっかけ。動機は短絡的で、人間性を尊重して行われるべき正当な看護行為ではなかったのは明らか」と述べた。

 一方、菅原被告の弁護側も静止画を示しながら「映像は天井からの撮影で1秒間に4枚、画質も悪い」とした上で「弘中さんの髪の毛か影なのかはっきりしない。弘中さんの首は骨折や脱臼しやすい特殊な状態。田中被告に押さえつけられた時、体を左右に振っており、そこで首に無理な力がかかった可能性がある」と主張した。

 田中被告の弁護側は「映像に田中被告の左ひざが弘中さんの体と重なって見える部分もあるが、上からの映像では実際に触れているかどうか分からない。看護師として、暴れる弘中さんを押さえつけただけ」と訴えた。

 最終意見陳述で菅原被告は「この裁判を通して、事件に対して皆さんが耳を傾けてくれたことに感謝している」、田中被告は「私からは特にありません」と述べた。

2017年3月3日10:08 千葉日報

金預かり音信不通の弁護士に7千万円賠償命令 東京地裁

2017-03-03 22:38:19 | 法曹界
 金銭トラブルの処理を弁護士に依頼した女性が、解決で得られた金を弁護士が預かったまま音信不通になったとして損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、東京地裁であった。弁護士は3回の口頭弁論に現れず、渡辺諭裁判官は「請求を認めたと見なすのが相当」として、請求通り約7100万円の支払いを命じた。

 女性が訴えたのは、東京弁護士会所属の菅谷公彦弁護士。

 判決によると、女性は平成25年、菅谷弁護士に金銭トラブルへの対応を委任。調停成立で菅谷弁護士側の預金口座に金が振り込まれたが、女性が受け取るはずの約6千万円が支払われないまま連絡が取れなくなった。

 女性は昨年、慰謝料などを含めた支払いを求め提訴していた。

2017.3.1 18:52更新 産経ニュース