バレミアン期の化石

白亜紀前期、バレミアン期の化石、

ヤベアとテトリア Yabea shinanoensis   Tetoria sanchuensis

2023-12-25 06:39:45 | 日記
見出しの画像に、二種の二枚貝がありますがこれだけの情報で種名が判れば大したものです。

前回のブログで間違いやすい二枚貝でコストキレナとアスタルテを紹介しました。

今回は、前回の続きです。
間違いやすい要因の一つに、ヤベア・シナノエンシスとテトリアもそうです。
採集した地層の記録やデータを失念したり、後回しにすると忘れてしまいます。
その後になって後悔する事になるかも知れません。

これは、シジミガイ科のコストキレナとテトリア・サンチュウエンシスが入っている母岩です。
母岩の下部にあるやや大きめの二枚貝がテトリアです。


画像が小さいので拡大。
テトリアの特徴
瀬林層の汽水生から産出するシジミガイ科の二枚貝。
殻の外形は類円形。殻頂は殆ど中央にあります。殻の膨らみは強く、殻表は成長線のみ。


アスタルテとヤベア
アスタルテ・サブセネクタとヤベア・シナノエンシスが見える母岩です。

右上にみえる一回り大きな二枚貝がヤベア・シナノエンシスです。


ヤベアは石堂層から産出するエゾシラオガイ科の二枚貝で殻の膨らみが強く、殻表には装飾がありません。


左側がテトリア・サンチュウエンシス
右がヤベア・シナノエンシスです。

この二種は、化石のサイズ、殻の特徴が良く似ています。
採集地の地層が不明の場合は、同定が難しくなります。

Tetoria sanchuensis
Yabea shinanoensis

瀬林層
石堂層


アスタルテとコストキレナ Astarte subsenecta and Costocyrena radiatostriata

2023-12-14 13:34:10 | 日記
見出しの画像は、アスタルテ・サブセネクタです。
一般的に小型の小さな二枚貝を見ると皆さんの出る言葉は「あ! シジミだ」と聞こえます。
小さな二枚貝は、海生、汽水生を問わず脳裏に浮かぶのはシジミなんです。
間違えても問題はありませんがこの機会に知識を一つ増やしましょう。

今回は良く間違える小型の二枚貝です。
シジミ貝はご存知の通り汽水域の淡水と海水の混じった所に生息しています。
これは瀬林層から産出したシジミ貝のコストキレナ(通称、サンチュウシジミ)です。
石堂層の二枚貝、海水域で生息のアスタルテです。
大きな画像では違いが判りにくいので拡大したものです。
殻の表面には、規則的な同心円状の彫刻があります。


シジミガイ科のコストキレナです。
殻の彫刻が違っているのと形が違っているのが判りますが一個体を見ると意外と見分けが付かない方がいる様です。


これはアスタルテです。
Astarte subsenecta
石堂層
Costocyrena radiatostriata
瀬林層

イソグノモン・サンチュウエンシス(Isognomon sanchuensis)

2023-12-02 05:47:35 | 日記

見出しの画像は、イソグノモン・サンチュウエンシスの内殻印象です。

標本は成長過程の小型のものですが靭帯溝が綺麗に並んでいます。

イソグノモンはウグイスガイ目、マクガイ科の二枚貝です。

殻の外形は四角か亜円形。殻頂は背縁の前端部に位置、殆ど突出しない。靭帯は長く、無数の短冊状の靭帯溝が並ぶ。   生息は、三畳紀後期から現世。 (化石図鑑)

イソグノモン・サンチュウエンシスはオーテリビアン後期からバレミアン期に栄えた種。

左側は、殻の残った標本。  右側は、内殻印象。

四角形状のイソグノモン。殻頂右側には靭帯溝が無数に並んでいます。

キャスト

亜円形の内殻印象。 靭帯溝は尖った殻頂の上。

四角形状の標本。 内殻印象。

キャストの上に本体が乗った標本。

キャスト。殻表の成長線がひだ状に刻まれています。

キャストから外したもの。

反対側。

Isognomon sanchuensis

石堂層

 

イソグノモンは現世まで生き延びた種があるのでネット検索して見ました?

マクガイ科で調べて見ると「岩場の貝」の中にイソグノモン・エピッピウムがありました。

外形は似ていますが短冊状の靭帯溝はそれ程並んでいません。