無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「ヴィレッジ」 

2023-04-27 | 2023映画評


「ヴィレッジ」 PG12 藤井道人監督 ✗✗✗

 監督自身のオリジナル脚本を映画化しました。
 美しい茅葺屋根の民家が残る小さな村で優(横浜流星)は子どもの頃から村で行われる薪能の稽古に励んでいました。しかし、その村に廃棄物処理場建設の話が持ち上がり反対した優の父親はある事件に巻き込まれ優は犯罪者の息子となってしまいます。ギャンブル依存になった母親(西田尚美)の多額の借金返済のため処理場で働くことになり、職場での陰湿ないじめに耐えながら働いていました。そんな折東京へ出ていた同級生の美咲(黒木華)が帰郷し同じ処理場の広報を担当、そこから優の周辺が変化していくのですが・・・。

 京都美山の「かやぶきの里」がロケ地になっていてなんと巨大処理場まで建設されていて(?)びっくりです。
いわゆるムラ社会の陰湿さがこれでもかと顕にされています。廃棄物処理場に限らず原発関連施設、軍事基地、どれもそれぞれの地域で似たようなことが行われているのだろうと推測できます。
都会で「知らん顔」で暮らしている多くの人に考えてほしい問題です。
ヤクザ役の杉本哲太が怖かったです。暴力シーンが多すぎたのが気になります。

 タバコは、スモークハラスメントだらけで、こちらもタバコ会社と権力との関係が深いことを製作者には考えてほしい問題です。


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「ロストケア」

2023-04-26 | 2023映画評


「ロストケア」 前田哲監督 ○ ☆☆

 葉真中顕(はまなか あき)の社会派サスペンス小説を映画化しました、
 ある朝夜勤から帰宅した家族が自宅で介護センターの所長の遺体が発見されます。犯人として介護センターで働く斯波(松山ケンイチ)が容疑者として浮上してきます。斯波は介護士として他のスタッフにも利用者家族にも信頼されていました。しかし、検事の大友(長澤まさみ)は事件を調査するうちに斯波が務める介護センターだけが突出して利用者の死亡が多いことを突き止めるのでした。

 映画誌などで話題となっている松山と長澤の激突シーンは期待通りでした。殺人を「救い」という斯波に対し当初は完全否定するだけの大友が次第に自身の老いた両親への対応を深く省みることで引き起こされる変化を微妙な表情で演じわけています。とかく派手なアクションやおおげさな濡れ場(今は使っていないかな)ばかり騒がれますが、観客と共にじっくり考えさせるセリフのやり取りは俳優の真の力量が試されます。見応えがありました。
 冒頭で大友に「お願いだから刑務所に入れてください。」と懇願する高齢女性の役を綾戸智恵が名演しています。
 社会が抱える問題を娯楽映画として観客に考えさせる秀作です。
 辻信一監修「ハチドリのひとしずく いま、私にできること」(注)の絵本が印象的でした。

 タバコは、なし。無煙です。また、殺人の手段にタバコのニコチンが使われていて普通に売られていることへの疑問も感じさせられます。

(注)森が火事になっている時、一滴ずつ水を運ぶハチドリに対して、森から逃げた動物たちは「そんなことをして何になるんだ」と笑います。それに対して、ハチドリは答えます。「私は、私にできることをしているだけ」と。


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「コンパートメント No.6」

2023-04-19 | 2023映画評


「コンパートメント No.6」 ユホ クオスマネン監督
      フィンランド、ロシア、エストニア、ドイツ合作 ✗✗✗

 フィンランド出身の監督が同国のロサ リクソムの小説を基に映画化しました。
 1990年、考古学を学ぶフィンランドからの留学生ラウラ(セイディ ハーラ)はペトログリフと呼ばれる岩絵を見るため世界最北端の駅があるムルマンスクまでモスクワから寝台車で出かけます。同室の男リョーハ(ユーリー ボリソフ)はいきなり酒を飲み始め私的なことも遠慮なく質問されラウラはうんざりです。不器用なリョーハと数日(ロシアの鉄道は時間がかかる!)過ごすうちに良いところにも気づき、彼のおかげで目的の岩絵を見られたのでした。

 全く見ず知らずの二人が小さな問題を解決していくことでお互いを理解しあえるという物語です。2019年の作品なのですが本来ならばロシアとフィンランドは中がいいはずなのに厳しい現実が悲しくなります。リョーハ役の俳優がプーチンに似ています。ロシアではよくいるタイプかな。

 タバコは、ふたりともほとんどの場面で吸っている、と思えるほど室内でも車内でも度々喫煙していました。1990年代のロシアらしい?


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