無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ホテルローヤル

2020-11-28 | 2020映画評


「ホテルローヤル」 PG12 武正晴監督 ✗

 桜木紫乃の直木賞受賞作を映画化しました。
 釧路湿原を背景に立つラブホテルの娘雅代(波瑠)は美大に落ち、その上に家族トラブルも有り家業を手伝うことになりました。父親(安田顕)は酒とパチンコが好きで役にも立たず実質的には働き者の従業員(余貴美子ら)のおかげでなんとかやりくりしていました。「ラブホの子」といじめられたりしたこともあり好きな仕事とは言い難かったのですが、アダルトグッズの営業担当の宮川(松山ケンイチ)に会えることも励みになり、その上非日常を楽しみにしているさまざまな事情がある利用者の存在など人生を知っていくのでした。

 原作者の自伝的小説ということもあり、波瑠が作家本人によく似ていてリアルでした。過去と現在の時間移動にさまざまな仕掛けがあり一つ一つが大変おもしろい仕掛けでした。なかでも印象的なのはラストの赤い車と白い車が踏切ですれ違い時間が変わる演出は映像的にも美しく映画ならではの展開でした。
 本編には直接関係がありませんが、予告編の終わりにテーマ曲がふっと途切れたところで「ホテルローヤル」の看板にライトが灯りテーマ曲のサビに入る、という間合いの絶妙さに毎回予告編を見るのがとても楽しみでした。

 タバコは、父親役の安田が何回か喫煙しました。逆にスタッフの休憩場には「禁煙」「絶対吸うな」などの張り紙があり、スタッフたちはタバコの受動喫煙が嫌だったようです。父親もあっけなく病気に倒れてしまいタバコはやっぱりよくないですね。

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ドクターデスの遺産

2020-11-27 | 2020映画評


「ドクターデスの遺産」 深川栄洋(ふかがわ よしひろ)監督 ✗✗✗

 中山七里原作の安楽死を扱った小説を実写映画化しました。
 警察に子どもから「お父さんが殺された」と110番通報が入ります。火葬される寸前に遺体を調べることができ、なんと本当に薬物が検出されたのです。それがきっかけとなり犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)の刑事コンビが中心となってドクターデスなる人物の追求が始まります。
 犬養には重度の腎臓病のむすめ紗耶香がドクターデスに連絡をしてしまうのでした。

 実際に安楽死の事件が起きていて「喜ばれる行為」だったのか、「本当はもっと生きたかった」のか観客にもっと問題を投げかけるような脚本にできたのではないかと思い、ちょっと物足りなさを感じます。おもしろさとしては二人のドタバタぶりや北川のスーツアクションのかっこよさで十分楽しめますが、次回作(きっとあるよね)に期待したいと思います。
 ネタバレになるから内緒だけど「あの人」化けましたね。お見事(パチパチ)。

 タバコは、綾野剛が加熱式タバコをいつも咥えていました。病気の子どもたちのそばに行くんだからタバコ吸うな。あの子が喘息発作で亡くなったのはあのタバコの残留有害物質を吸い込んだためなのではありませんか。また、警察の上司役石黒賢がおもちゃのタバコを咥えていました。そんなにニコチンが恋しいならニコチンパッチを使いなさい。見苦しい!


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ばるぼら

2020-11-26 | 2020映画評


「ばるぼら」 R15+ 手塚眞監督 日独仏合作 ✗✗✗

 漫画家の手塚治虫が1970年に発表した大人向けの漫画を息子の手で実写映画化しました。
 大人向きの小説で人気がある作家の美倉(稲垣吾郎)は酒ビン片手の薄汚い服を着た「ばるぼら」(二階堂ふみ)と出会います。彼女が口ずさんだ詩に惹かれたこともあり家に連れていきます。傍若無人な態度のばるぼらでしたが美倉は彼女から刺激を受け、奇妙な世界に入り込んでいくのでした。

 大人の男の都合のいいファンタジーでしょうか。映像(クリストファー ドイル)音楽(橋本一子)がいわゆる「日本映画」の枠を超えヨーロッパの作品の雰囲気でした。
内容はともかく、合作で映画を作るということには評価をしたいと思います。

 タバコは、主演の二人が喫煙者で度々喫煙していました。その点は1970年でした。(✗✗✗)


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おらおらでひとりいぐも

2020-11-14 | 2020映画評


「おらおらでひとりいぐも」 沖田修一監督 ✗ ☆

 若竹千佐子原作の芥川賞受賞小説を沖田監督の脚本で映画化しました。
 夫の周造に早くに先立たれ75歳で一人暮らしの桃子さん(田中裕子)は毎日「どうせ起きてもやることなんかないよ。」という「どうせ」(六角精児)のささやきを振り切って布団から這い出すといつものように目玉焼きを焼いて朝食を食べ、通院もしくは図書館へ通います。気がつけば夕食です。時折ぼーっと考え事をしていると桃子さんの心に住む「さみしさたち」(濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎)がなんだかんだと故郷を飛び出した若かった頃(蒼井優)のことや周造(東出昌大)との思い出を振り返らせるのでした。そしてそんな寂しさにめげず、明日も桃子さんは好奇心旺盛に生きていくのです。

 原作を先に読んでいましたが、沖田監督の演出はお見事としか言うことはありません。心の中の3人の自然な会話と動きがまさに映画ならでは、です。冒頭でちゃぶ台でお茶をすすっている桃子さんの目の前で襖が開くと二人の子どもと若かった頃の桃子さんと周造がにぎやかにじゃれあっている場面となるなど、ふすまが開くと時間がワープする演出も不自然さがなく、原作とは別の次元の面白い作品となっています。(☆)
 地球46億年の歴史が桃子さんの人生ときちんとつながっているラストは感動的でした。

 タバコは、昔の場面で食堂が煙でムンムンしていたり、周造が喫煙者だったり、あまりのも時代を反映しすぎでした。(✗)本当に必要な演出でしたか? 


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罪の声

2020-11-13 | 2020映画評


「罪の声」 土井裕泰監督 △(おまけ)☆☆

 塩田武士原作の昭和最大の未解決事件グリコ森永事件をモチーフにした小説を実写映画化しました。
 新聞社に務める阿久津(小栗旬)は30年前の未解決事件追求の特別チームに加わることになり取材を始めます。新聞社には当時の取材記録が山のようにあり、記者の中にも時効にはなっているもののなんとか解決を望む声がありました。阿久津は脅迫に子どもの声が使われていてその子どもが自分と同年齢であることから真剣に取り組むようになります。
 一方、テーラーを営む曽根(星野源)は戸棚の奥から妙なテープと手帳を発見し、そのテープには自分の声で脅迫文が録音されていたのを知るのでした。父親の古い友人に手帳を見せると「それは父親の兄達夫さんの物」と言われます。そこから曽根なりに古い写真などを手がかりに達夫の所在を追い始めます。そして阿久津と出会うのでした。

 取材を通して「30年経ったから本当のことを知った人もいる。」の言葉通りさまざまな場面で事件関係者がポロッと口に出した一言が次の手がかりへと結びつき少しずつパズルが完成されていきます。
 見どころはラストの母と子の対面がかなう場面で「あの時死ななくてよかったね。」という役を宇野祥平が魂演(魂のこもった演技のこと 筆者の造語)しています。
 阿久津と曽根の関係が無理のない演出で徐々に深まっていくことに脚本のうまさが感じられました。

 タバコは、反社会的グループの面々がタバコを持っている場面がありましたが、かなりマイナスイメージでした。また、橋本じゅん演ずる板前がタバコを吸おうとしますが上手く火がつかず結局吸わずにすませた演出もあり、おまけで△としました。喫煙者の板前の作る料理は食べる気はしませんね・・・。

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461個のお弁当

2020-11-12 | 2020映画評


「461個のお弁当」 兼重淳(かねしげ あつし)監督 ○

 ミュージシャンの渡辺俊美原作のエッセイをジャニーズ系の二人を主役に映画化しました。
 プロのバンド活動をしている一樹(井ノ原快彦 V6)は妻と離婚、15歳の息子虹輝(道枝駿佑 関ジャニ)は父親との生活を選びます。高校受験に失敗した虹輝ですが立ち直って再受験を決意し見事に合格します。息子の気持ちを励ますために一樹は毎日お弁当を用意する約束をします。ときには夜中まで仕事や飲み歩くこともある一樹ですが朝帰りをしてもお弁当だけはきちんと持たせていました。一樹のお弁当は職場や学校でも結構評判になるのでした。

 一樹の出身が福島県ということで、帰省の際ちょっとだけ出演する母親役の倍賞千恵子がさすがの名言をさりげなくつぶやきます。こういう母親に育てられた成果が461個のお弁当に収斂したのでしょう。一番印象に残った場面です。福島弁も自然でした。
 ミュージシャンのわりには湘南の瀟洒なおうちがちょっと不自然でしたが、お弁当の予算が300円で食材をきちんと小分けして冷凍する場面などが説得力ありました。
 音楽をきちんと最後まで聴かせってくれる場面が多く、音楽映画としても楽しめます。冒頭とエンドロールは特に効果的でした。
 
 タバコは、なし。無煙でした。(○)ライブハウスや飲み屋の場面も無煙で大変良かったです。ひとつ気になったのはスタジオの休憩所のテーブルの上にお菓子とクリスタルのガラス容器が置いてありましたがあれは灰皿なわけはないですよね。


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海辺の映画館 キネマの玉手箱

2020-11-09 | 2020映画評


「海辺の映画館 キネマの玉手箱」 PG12 大林宣彦監督 ✗

 大林監督が20年ぶりに故郷尾道を舞台に映画表現の様々な形を描いた玉手箱映画です。
 「瀬戸内キネマ」が閉館となり最後のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」にはたくさんの人が詰め掛けました。不思議なことに観客の3人はいくつかの歴史的な戦争時代にタイムトリップします。同様に映画の形も「サイレント」「トーキー」「ミュージカル」などあれよあれよと変化していきます。
 
反戦の思いを今伝えないとこの先どうなるかわからないときに病を抱えながらなんとか執念で完成させたのでしょう。登場人物には、かつての大林作品にご縁があった俳優たちが次々登場します。上映時間も長く忙しい作品ですが飽きたり疲れたりさせないところはさすがの演出です。なお、本作が監督の遺作となりました。まだまだやり残した作品、やりたかった仕事はきっとたくさんあったと思いますが残念です。
 
 

 タバコは、マッカーサーを思わせる人が葉巻をくわえていました。最後まで無煙にはなりませんでした。(✗)ほんとに残念です。


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ソワレ

2020-11-06 | 2020映画評


「ソワレ」 外山文治監督 ✗ PP

 外山監督、小泉今日子、豊原功補らが立ち上げた映画制作会社新世界合同会社第1回作品です。
 役者を目指して上京した翔太(村上虹郎)ですが、うまく行かずオレオレ詐欺のバイトでなんとか生きていました。劇団が翔太の故郷和歌山の高齢者施設で演劇を教えることになります。お祭りの夜みんなで出かけることになり、施設で働くタカラ(芋生悠 いもうはるか)をアパートへ迎えに行きます。部屋ではタカラが男に襲われていました。止めに入った翔太が逆に襲われてしまい思わずタカラが男を殺めてしまいます。呆然とするタカラの手をとりふたりは宛のない逃避行を始めるのでした。

 落ち着いて考えれば、「警察に行った方がいい。」のですが、警察に行ってしまうと物語が始まらないので「若気の至り」が映画の内容です。ギャンブルでしか稼ごうとしない翔太と水商売ながらもきちんと働いて稼ごうという真面目なタカラが対照的です。冒頭でタカラがとる不思議な指使いの謎がラストで解明されます。
 どちらかと言うと、この後のほうがドラマ性は高いのではないでしょうか。

 タバコは、翔太が喫煙者で何回か喫煙します。また、テーブルの上などにいつもタバコとライターが置いてありました。(✗PP)


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はりぼて

2020-11-01 | 2020映画評


「はりぼて」五百旗頭(いおきべ)幸男、砂沢智史監督 ○ ☆☆

 富山県の地方テレビ局が富山市議会議員のさまざまな不正を告発した経緯をドキュメンタリーにしました。
 自民党王国の富山県富山市では、議員による「カラ出張」「領収書の不正な書き換え」など詐欺行為が当然のように行われていました。その上記者が議会事務局に資料請求すると職員には守秘義務があるにも関わらず議員側に情報が漏れていました。
 次々と謝罪会見をして辞職しても、後援会で土下座をすれば有権者は「許すわ」と、次の選挙で復活しまた同じようなことをくりかえす、呆れて物が言えない議員たちです。
 
 これだけ追求すればいろいろ嫌がらせとかあるに違いないと思いましたが、やっぱりふたりとも最後は職を離れてしまいました。それでも、食事をごちそうになったくらいで言いなりになっている東京の報道陣に比べれば「よくやった」と褒めてあげたいです。「正々報道」のポスターが剥がされる場面が辛かったです。似たようなことはどこでもやっていそうと思えてしまうこの国の民度の低さが悲しいです。音楽(田淵夏海)が楽しく盛り上げちょっと救いになっていました。

タバコは、なし。無煙です。
 

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