無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

君は月夜に光り輝く

2019-03-21 | 2019日本語映画


「君は月夜に光り輝く」 月川翔監督 ◯ ☆ 東宝

 佐野徹夜原作の同名小説を実写映画化しました。
 発光病という不治の病で入院した高校生の渡良瀬まみず(永野芽郁)にクラスの寄せ書きを届けた転校生の卓也(北村匠海)は行きがかりで、外出できないまみずの「やりたいこと」を代行することになります。繰り返すうちにお互いに大切な存在となりますが、まみずの命の灯火も消えそうになっていたのでした。
 いわゆる「難病もの」のひとつですが、永野芽郁の明るいキャラが生かされていることと音楽(伊藤ゴロー)がお涙頂戴風ではなく、いい意味で悲壮感があまり感じられずワケありの青春ものとして楽しめます。また、ふたりを取り巻く大人たち(優香、及川光博、長谷川京子ら)がさりげなく好演していました。
 「私は、私で良かった」というメッセージが悩める高校生の鑑賞者に届くといいですね。(☆)
 ただ、両親が入院費の捻出のために離婚までしているにしては、病室が高級ホテル並みなのは不自然さを感じました。おとぎ話だから気にしなくてもいいのかも知れませんが・・・。
 タバコは、なし。無煙でした。(◯)


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盆唄

2019-03-15 | 2019日本語映画


「盆唄」 中江裕司監督 ◯ ☆

 「ナビィの恋」など沖縄が舞台の作品を撮ってきた中江監督が福島出身の人々が「盆唄」に寄せる思いをドキュメンタリー映画にまとめました。 
 福島原発事故で避難している双葉町の出身者たちが故郷で代々歌い踊り継がれてきた「盆唄」を復活させようとする取り組みと、明治時代にハワイへ移民した双葉の人々の末裔たちが故郷の盆唄を今も「ボンダンス」と形を変え継承している姿を描きました。
 帰宅困難地域の人々はすでに避難した先での生活が充実し、気持ちでは帰りたいと思いながらも現実的にはいつになるか予想も付きません。そんな折、遠くハワイの地で二世、三世たちが故郷への強い思いを継承している姿と出会います。それがきっかけともなって、ご先祖様が大切にしてきた歌や太鼓をなんとか守りたい、みんなで踊りたいと計画を立てるのでした。
 伝えたい思いが多すぎて上映時間が長くなりました。一部のエピソードをカットしたほうがより濃密な作品になったのではないかと思います。(監督の気持ちはよくわかりますが・・・。)
 ラストは双葉の人々の思いに溢れた名シーンとなりました。(☆)
 この作品が広がって今年の盆踊りが盛り上がるといいですね。
 タバコは、なし。無煙でした。

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あの日のオルガン

2019-03-13 | 2019日本語映画


「あの日のオルガン」 平松恵美子監督 ☓☓
 
 1944年戦争末期連日空襲警報がなる中、幼児の命を救うため「疎開保育所」を運営した保母たちの奮闘を描きました。
 防空壕で保育するような日々が増え東京にも空襲の危機が迫っていました。品川にある戸越保育所では園児の安全のため疎開することを決めます。受け入れ先がやっと見つかりましたが、そこは埼玉の荒れ寺でした。それでも主任保母(戸田恵梨香)たちはめげずに保育所としての体裁を整えます。地域の人々の中には「よそ者」がいることに抵抗を感じる人や嫌がらせもありました。一方、戦況はますます厳しくなり「赤紙」は大切な人材も奪ってしまうのでした。
 戦争のさまざまな側面を映画にすることは映画界にとっても重要な使命なので、1年に何本かは制作を期待しています。また、今作は女性たちが主役なのも新鮮さがあります。ただ、「こういうことがありました」「保母さんたちががんばりました。」というだけで終わっていることが残念です。何度も出てくる「文化的な生活」という言葉が言葉だけで空回りしてしまいました。現在も憲法で保障された「文化的な最低限度の生活」が脅かされているそのことへの言及があればこの作品の意図が生きたのではないでしょうか。
 なお、保育園児役の子どもたちはのびのびとみっちゃん先生(大原櫻子)のオルガンに合わせて演じていました。
 タバコは、地元の世話役の橋爪功が毎度のことですが、キセルで喫煙。(☓)そして信じられないことに賄い役の女性スタッフが突然タバコを出して喫煙します。(☓)食料でさえ入手が困難なときに普通にタバコを吸っているのは不自然です。なにか別の意図があるのではないかと勘ぐってしまいます。


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翔んで埼玉

2019-03-12 | 2019日本語映画


「翔んで埼玉」 武内英樹監督 ◯

 原作は魔夜峰央が30年以上前に発表したコミックです。2015年復刊されブームとなり映画化されました。住んでいた埼玉を自虐的に描いたギャグ漫画です。
 結納のため埼玉から東京へ向かう車の中で両親と娘がラジオドラマを聞いていました。昔々埼玉県民が迫害を受けていた頃、東京都知事の息子壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が通う都民のセレブのための学校にアメリカから転校生麻実麗(GACKT)が現れます。容姿端麗な麗に百美は心を奪われます。しかし、麗にはある秘密の任務があったのでした。
 各地名のイメージは30年前のもので、今はかなり変わっているのではないかと思います。とはいっても海が無いのは同じですけど・・・。
 残念なのは、埼玉が一番ということでは何も変わらないし、千葉も茨城も栃木も群馬もその他の地域もそれぞれ魅力があるよね。という結末にならなかったことです。30年前にはダイバーシティって言葉がなかったから仕方がないけれど、なんで今映画にしたの?
 タバコは、なし。(◯)


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運び屋

2019-03-09 | 2019外国語映画


「運び屋」 クリント イーストウッド監督 米 △NTS

巨匠イーストウッドが監督と主演をした、90歳の「運び屋」の悲哀を描く人間ドラマです。
 アール(クリント イーストウッド)は長いこと家族をほったらかしてユリの栽培に熱中していました。しかし、インターネット販売の波に乗り遅れ事業は破綻、農場を差し押さえられてしまいます。そんな彼に「簡単な運転」の仕事が舞い込みます。頼まれた荷物を運ぶだけで莫大な謝礼を手にすることができました。1回きりのつもりが回を重ねることになり、自分が運んでいるものが「かなりヤバイ物」であることを知るのですが・・・。
 娘の結婚式まで仕事を優先して欠席してしまうほど家族をないがしろにしていたアールが90歳になってやっと自分のしてきたことを後悔して、周囲の男たちに「家族を大事にしなさいよ。」とアドバイスする場面が何回か出てきましたが、これは今の夫や父親へのメッセージでしょう。ヤクザな男たちに囲まれても、また、警官に声をかけられても慌てず対応する姿が朝鮮戦争退役軍人らしさを醸し出していました。
 エンディングのテーマ曲が「老いに負けるな」というような内容で生涯現役のイーストウッドへのはなむけとなっていました。(日本語訳が生きました。)
 タバコは、メキシコの麻薬カルテルのボス(アンディガルシア)が葉巻を持っていました。60歳過ぎた俳優に喫煙させるのは危険です。



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ヒューマン・フロー 大地漂流

2019-03-08 | 2019外国語映画


「ヒューマン・フロー 大地漂流」 アイ ウェイウェイ監督 独 ☓ ☆

 世界的美術家のアイ ウェイウェイ(北京五輪の「鳥の巣」設計者)が手がけた難民問題のドキュメンタリー映画です。
 地域紛争や貧困、宗教対立そして気候変動などが原因で故郷を離れざるを得ない人々がこの20〜30年の間に激増しています。撮影された2016年当時6500万人と推定され年々増加しています。23カ国の難民キャンプなどの現場を訪れ難民たちの言葉を拾い集めます。難民生活は平均25年に及ぶとされそこで育った子どもたちは満足な教育を受ける機会もなく過激な武装組織に取り込まれていき、紛争の激化という悪循環になっているようです。監督自身はほとんど語りませんが、難民たちへの「尊厳(リスペクト)」が感じられます。美術家らしく厳しい現実の映像もニュース映像とはまったく次元の異なる美しい映画になりました。
 トランプ大統領が国境に壁を作ることが話題になっていますが、現在は約70箇所に壁が建てられ、難民の移動を阻んでいます。難民たちは命からがら海を渡っても安住の地はありません。一方なぜか迷い込んだ1頭のトラに対しては多くの人がなんとかしてのびのび生きられる場所へ移動させるために力を注ぎます。動物に対しては無償の愛を注げるのに・・・。
 どうしてこのような世界になってしまったのかすべての観客に問題提起する秀作です。
 タバコは、不思議なことに命がけで海を超えてやっとたどり着いた次の瞬間ライフジャケットの奥からタバコを出して喫煙する姿がありました。また、水も食料も十分とは言えない環境の中でもひとりやふたりの喫煙者がいることが奇妙でした。「いのちよりニコチン」なのでしょうか。(☓)

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九月の恋と出会うまで

2019-03-06 | 2019日本語映画


「九月の恋と出会うまで」 山本透監督 ◯

 松尾由美の同名恋愛小説を実写映画化しました。
 あるマンションに越してきた志織(川口春奈)は部屋にいると夜の9時に「助けてください。」という不思議な声を聞きます。隣室の平野(高橋一生)を尾行してほしいという未来のシラノからの声でした。素直な志織は疑問に思いながらも未来からの声という言葉を信じ声の指示に従います。そんなある日志織の部屋に強盗が入りますが、たまたま声の指示で外出していたため金銭被害だけですみました。本来ならば死んでいたはずの志織が助かったためにタイムパラドックスが生じてしまうと平野が心配するのでした。はたして志織の命はどうなるのでしょうか。
 単なる恋愛映画ではもう映画にすることはできないのでしょうか。複雑なタイムトリップ系の話を組み合わせた作品ですが、ざっくりいえば一目惚れした彼女を自分に振り向かせるために一工夫のある恋愛映画でした。もしかしてだまされちゃったのかな。
 ふたりが暮らしているマンションはパティオがあって住人も芸術家限定というだけあって羨ましいくらい素敵でした。オーナー役のミッキー・カーチスが喫煙して空気を汚すこともなくそれもとても良かったです。(美術 倉本愛子)
 また、部屋の調度品や小物、衣装が過度におしゃれでもなく、自然な雰囲気が出ていました。
 エンドロールは写真を利用することで、カメラ好きという志織のイメージに沿った演出が効果的でした。
 ラストの茅ヶ崎の海岸にゴミひとつなく清掃作業お疲れ様でした。
 タバコは、なし。無煙でした。(◯) 


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ヴィクトリア女王 最期の秘密

2019-03-04 | 2019外国語映画


「ヴィクトリア女王 最期の秘密」 スティーブン フリアーズ監督 米英 ◯

 晩年のヴィクトリア女王とインドから派遣されたイスラム教徒のアブドゥルとの出会いと別れを描きました。
 1887年ヴィクトリア女王(ジュディ デンチ)の在位50周年記念式典にインドからアブドゥル(アリ ファザル)がはるばる派遣されてきました。英国王室のしきたりに頓着せず紳士的な笑顔で接するアブドゥルに女王は新鮮な驚きと興味を持ちます。身内を亡くし生きがいを亡くしていた女王はアブドゥルを身近に置き、「先生」としてインドの言葉などを学びます。皇太子を始めとする周囲の人々は快く思わず、さまざまな妨害をするのですが・・・。
 女王の死後二人のことはなかったことにするためすべての資料は処分されましたが、アブドゥルの日記が発見され物語が語られることになったそうです。
 ジュディ・デンチの存在感が圧倒的です。
 立場の違いを超えた二人の純粋な関係に対して、王室のしがらみと権力争いの醜さが対照的に描かれています。いつの時代も特殊な階級にいる人は自由がなくてお気の毒です。
 タバコは、なし。無煙でした。


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グリーンブック

2019-03-03 | 2019外国語映画


「グリーンブック」 ピーター ファレリー監督 米 ☓☓☓!

 1962年黒人差別が色濃く残るアメリカで、黒人の天才ピアニストとイタリア人のドライバーふたりの「弥次喜多物」(バディ、ロードムービーとも言う)です。
 グリーンブックとは当時黒人が安心して泊まれる宿を紹介したガイドブックのことです。
 なお、脚本には主人公トニーの実の息子ニック バレロンガが参加している実話ものです。
 イタリア移民のトニー(ビゴ モーテンセン)はクラブの用心棒をしていますが、店の改装の間無職になります。そこで「ドクターのドライバー」の面接を受けますがなんとドクターと言っても医者ではなく黒人ジャズピアニスト(マハーシャラ アリ)だったのです。当初は黒人への抵抗があるトニーでしたが、ドクター シャーリーのピアノを聞いたり、さまざまな差別の現場に晒されたりすることで意識が少しずつ変わっていくのでした。
 粗野で乱暴で大食い、それでも家族を愛し、シャーリーの教養を学び、能力がある黒人ゆえの孤独を知り成長していくトニーを知性派のイメージが強いその上北欧系のビゴ モーテンセンが体重を増やして怪演、好演しました。
 タバコは、シャーリー以外はトニーだけでなく、バンドのメンバー度々喫煙しました。子役の前での喫煙や、女性の喫煙率もかなり高く、そこまで当時を再現しなくてもいいのではないかと思いました。(☓☓☓)
 トニーの喫煙に対し「車の中が煙い」「タバコを吸いすぎ」などシャーリーからの苦情に対しては素直に応じる場面がありました。(!)


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