無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

2020-06-26 | 2020映画評


「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」 グレタ ガーウィグ監督 米 ☓NTS

 オルコット原作の「若草物語」を主軸にし、次女のジョーに時代の限界と闘っていたオルコット自身を重ね合わせた「新しい若草物語」になっています。
 マサチューセッツ州コンコードのマーチ家には4人の姉妹が母と共に、従軍牧師として南北戦争の戦地に居る父の留守を守っています。次女のジョー(シアーシャ ローナン)は小説家になるため原稿を売り込みに行きます。長女のメグ(エマ ワトソン)は女優にあこがれていますが堅実な道を選びます。三女のベス(エリザ スカンレン)はピアノが好きですがおとなしく病弱です。自由で活発な四女のエイミー(フローレンス ビュー)は絵を描くのが得意で甘え上手です。
 それぞれ個性的な姉妹が時代の制約の中それぞれのやりかたで夢を現実にするため奮闘するのでした。

 経済的に余裕がある伯母役のメリル ストリープが若い俳優たちの中でしっかり現実的な生き方を好演しています。「女はお金持ちと結婚するのが一番」なんて言うセリフは彼女が言うから生きるけれど普通の俳優だと嫌味なだけになってしまいます。名優は思ってもいないことでも思っているように言えるものですね。
 映像の色合いで7年の時間差をわかりやすくし、演じ分けた俳優陣たちもお見事でした。

 タバコは、編集者が葉巻を吸っていたり、演劇ごっこでは男役はパイプをくわえていたりしました。

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酔うと化け物になる父がつらい

2020-06-25 | 2020映画評


「酔うと化け物になる父がつらい」 片桐健滋監督 ☓☓☓PPハイライト「たばこと塩の博物館」協力

  菊地真理子が実体験を基にしてかいたコミックエッセイが原作です。
 仕事で酒を飲んで帰ることも多く、週末には図々しい友人3人が家に押しかけ酒を飲みながら麻雀をする、もちろんタバコはモクモク・・・。母親は文句を言いつつも甲斐甲斐しくウィスキーの氷や水の世話をしているが実は新興宗教にはまって別世界の中にいます。長女のサキ(松本穂香)はうんざりしていますが、あるときからモヤモヤする思いは蓋をしてしまえばいい、と割り切って好きな漫画を描くという生き方を選びます。そして親友の紹介で恋人もできるのですが・・・。

 どうしょうもない父親を渋川清彦が「そのもの」といった演技で演じています。アルコールの席が大事な仕事の場になってしまっている日本の企業習慣はぜひ「コロナとの共生モデル」では絶対禁止事項にしてほしいものです。

 タバコは、大人の登場人物は殆どが喫煙者(☓☓☓)で、それもモクモクしどうしでした。ネタバレになりますが結局それが原因で大病になりますが、いい大人がひとりも注意しないっていう環境も信じられません。電話機から察すると20世紀の後半のようですが、それでも職場では喫煙は屋上に行っていましたが・・・。子役が居るときの喫煙は虐待です。


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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

2020-06-19 | 2020映画評


「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」 ジョン チェスター監督

 25年間映像の仕事をしていた監督が、自身の妻と愛犬との農場作りの8年間をドキュメンタリー映画にしました。
保護犬のトッドを家族にしたものの、吠える声がうるさいとロサンゼルスのアパートを追い出されたジョンとモリーの夫妻は郊外の荒れ果てた土地へ移住し、オーガニックの食材を育てる農場作りに取り組みます。石のように固くなった土を作物が育つ土壌にしなければなりません。モリーは専門家であるアランを招聘し助言を受け家畜を飼ったりミミズを培養したりして持続可能な循環型の環境を作り上げるのでした。美しい果樹園やかわいい家畜たちはあるときはコヨーテに荒らされ害虫や病気に見舞われますが7年経てば落ち着くというアランの言葉を信じて運営していくのでした。

幾何学模様のように植えられた果樹園をドローンカメラで撮影したり、小さな昆虫やハチドリを至近で撮影したり流石に映像作家の腕の見せ所が満載です。資金面やスタッフの生活保障などがどうなっているのかは全く不明なので、その点はファンタジー映画ですが、荒れ地がみごとに瑞々しい農地になっていく姿は感動的です。果樹をだめにするカタツムリにお手上げだったのに、カモを放すとあっという間に次々食べてくれたり、ネクタリンをムクドリがつついてだめにしますがフクロウを飼うとムクドリは寄り付かなくなったりまさに自然界で普通に行われている共栄共存に適した数に落ち着いていくようすは少しでも農業に関わる人々には参考になるのではないでしょうか。

タバコは、なし。無煙でした。農薬のネオニコチノイドも当然なしです。

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つつんで、ひらいて

2020-06-02 | 2020映画評


「つつんで、ひらいて」 広瀬奈々子監督 ☓ ☆

 1万5千冊の文芸書の装丁を手掛けた菊地信義を追ったドキュメンタリー映画です。
 冒頭で、主人公が真面目な顔で紙をクシャクシャに丸めまた伸ばしを繰り返します。一体何をしているのかと思いますが、思わぬ効果を出します。このように菊地は装丁に使う文字の形や大きさをハサミや定規を使ってすべて自身の手作業で形作ります。次に監督が見せるのは全自動で一枚の紙から機械を一周するとなんと素晴らしい本が仕上がっているという、技術の凄さです。そして、菊地の周辺に戻り、こだわりの色を出す印刷の技術者、菊地の要求に応えようと製本を工夫する職人たちの姿が描かれます。

 「お仕事映画」は好きな分野ですが、「舟を編む」で辞書に適した紙をあれこれ手配する紙の職人を演じた宇野祥平を見て彼のファンになりましたが、今作では、本物の本づくりの職人さんがいろいろ紹介され、ワクワクしてしまいました。今までは装丁に凝った本も「きれいだな」程度でしたが、この映画を見たあとは次々本を手にして装丁を楽しんでしまいました。
 本屋さんめぐりが楽しいのはきっと装丁を楽しんでいるのですね。
数年前から本は借りるのではなく本を買うことにしていて、その上捨てなくて意外な楽しみ方ができよかったです。広瀬監督ありがとう!(☆)

タバコは、菊地さんに装丁をしてもらっている作家の一人がパイプを口にしました。(☓)

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