無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「マイ・ブロークン・マリコ」

2022-10-29 | 2022映画評


「マイ・ブロークン・マリコ」 タナダユキ監督 ✗✗✗PP

 平庫ワカ原作の同名コミックを実写映画化しました。
 鬱屈した日々を過ごす会社員のシイノ(永野芽郁)はラーメン屋のテレビでダチのマリコ(奈緒)が亡くなったことを知ります。幼い頃から実父(尾美としのり)から虐待を受けていたマリコの魂を救うためシイノは猛然と動き始め何を考えたのかマリコの実父と再婚相手が住むアパートへ行き父親と格闘しつつも遺骨を救い出し、かつて「行きたいね」と言っていた海を目指すのでした。

 永野芽郁が一生懸命荒れた会社員を演じています。「演じている」姿が「そんなに無理しなくても・・・。」と見ていて痛いくらいです。ラーメンをズルズル啜ったり、牛丼をかっこんだりしていましたがどうみてもがんばってやってます感が漂っています。比べるのは失礼かもしれませんが「小松菜奈のカツ丼」には足元にも及びませんでした。
 海辺の街で不思議な青年(窪田正孝)と出会ってからのシイノは自然になったように思いました。窪田正孝のぼんやりとした存在感は演技を超えていてよかった。奈緒は似たような役を思い出させイメージが固定化してしまいそうです。

 タバコは、問題だらけでシイノが子どもの頃からの喫煙者で、流石に子役にはタバコをもたせるだけで吸わせませんでしたが、副流煙だけでも健康被害は大きいです。また、永野芽郁がタバコを吸う練習をして役に臨んでくれたと監督が感激していたそうですがそれは明らかなスモークハラスメントです。実際に吸わせなくても演出でカバーするのが監督の仕事なのではないでしょうか。ハラスメントにもっと敏感に対応しましょう。
 吸い殻やパッケージのアップなどタバコ宣伝が多い作品でした。


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「“それ”がいる森」

2022-10-10 | 2022映画評


「“それ”がいる森」中田秀夫監督 ○ 松竹
 
 日本映画ホラー界の第一人者中田監督が、人を襲う謎の存在と人々の格闘を描きました。
 義理の父親に追い出された淳一(相葉雅紀)は妻子を東京に残し、福島の実家に戻って農業を営んでいました。そこへ息子一也(上原剣心)が突然家出してきます。思いがけず息子との二人暮らしが始まりましたが村の森で奇妙なことが起こります。一也も巻き込まれたことをきっかけに淳一も真剣に謎を解明するのですが・・・。

 息子の命が危機に瀕したことをきっかけに子どもを守ろうという親としての自覚をしていく姿は「父子映画」として楽しめます。
 母親も田舎に移るというラストには共感しました。
 ただ、メタバレですが、地球の生命は宇宙空間からの隕石などが運んできた可能性が強いことを考えると本作の結論とは逆に農作物に感染する病原菌を浄化するストーリーにしてほしかったものです。「宇宙人を悪者にするな!」

 タバコは、なし。無煙です。

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「百花」 

2022-10-09 | 2022映画評


「百花」 川村元気監督 ○ 東宝

 川村元気の小説を自身で脚本、監督した人間ドラマです。
 音楽関係の仕事をしている泉(菅田将暉)はピアノ教師をしている母親の百合子(原田美枝子)のようすが気になり病院へ連れていきます。アルツハイマー病と診断され医師から「記憶をなくしても母親として敬うこと」を助言されます。泉にとって、百合子には幼い頃家に置き去りにされた辛い記憶があります。息子として献身的に接しますが、一冊のノートからあのときの記憶が泉を苦しめるのでした。
 介護施設に入居した百合子は「半分の花火が見たい!」と迫ります。妻の香織(長澤まさみ)が調べてくれ半分の花火を見に行きますが、見たあとで再び「半分の花火が見たい」と訳のわからないことを言うのでした。途方に暮れる泉でしたが・・・。

 「記憶」と「忘却」がテーマです。泉が職場ですべての情報を兼ね備えるよう合成された「KOE」というヴァーチャルな歌手の開発に携わっていてそこでも「忘れること」の意味することの重要性が問われています。
 見どころは原田美枝子の演技です。還暦を過ぎても美しいです。メイクアップだけでなくメイクダウンさせるメイク担当の腕の見せどころでした。

 タバコは、なし。無煙でした。


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「アイ・アムまきもと」

2022-10-07 | 2022映画評


「アイ・アムまきもと」 水田伸生監督 ✗✗

 イギリス、イタリア合作の名作「おみくりの作法」を日本の山形に舞台を移しリメイクしました。
 水田が広がり遠くに山が望める市役所に「おみおくり係」があります。唯一の担当者牧本(阿部サダヲ)は自身の「ひとりひとりの命を大切にする」という思い優先で周囲からは困った職員でもありました。ある時一人の男性が孤独死します。牧本は関わりがあった人を探しまわり男の人生と向き合います。

 山形庄内地方の美しい風景が見どころです。小さな白い点にしか見えない白鳥の写真が故人の思いを伝えます。今は閉山となった炭鉱夫、港の水産業の人々やホームレスのグループなどが登場しましたが、底辺で社会を支えていた労働者の姿をもっと掘り下げても良かったかなと思いました。

 タバコは、牧本が訪ねていった工場の職員(松尾スズキ)が煙をいやがっている牧本にわざと吹きかけるようにスモークハラスメントをしたり、関係者の一人食堂の女、宮沢りえが喫煙したり作品の内容が良かっただけにタバコの扱いが不愉快でした。


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「沈黙のパレード」

2022-10-06 | 2022映画評


「沈黙のパレード」 西谷弘(にしたにひろし)監督  ✗

 東野圭吾原作ミステリーで9年ぶりのガリレオシリーズです。
 歌がうまくプロデビューを目指していた女子高生が行方不明となっていましたがなんと死後数年たって遺体で発見されます。捜査線上に容疑者が特定されますがその男(村上淳)は数年前に同じような事件を起こしたものの無罪になっていたのです。刑事の内海(柴咲コウ)は同僚(北村一輝)の親友である湯川(福山雅治)に強力を依頼するのでした。

 地域のお祭としてはかなり大掛かりな仮装パレードを再現しその場面も見せ所の一つです。密室殺人の手口の解明がポイントですが、ちょっとネタバレですが、あの外した木ネジが新品に近く光っていたことが気になりました。
 9年経つとそれぞれ成長していることがエンドロールの映像で確認できました。次回は何年後かな?

 タバコは、容疑者の男(村上淳)が禁煙の張り紙のある食堂で喫煙しその吸い殻を投げつけるなどかなりマイナスイメージで使われました。村上も年齢的にそろそろ喫煙シーンは命がけですね。お気の毒です。

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