無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「あのこと」

2023-01-27 | 2023映画評


「あのこと」 R15+ オドレイ デュワン監督 仏 ☓☓

 第78回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。2022年ノーベル文学賞受賞のアニー エルソーの短編小説「事件」を映画化しました。
 1960年代のフランスで文学を学ぶアンヌ(アルメリア バルトロメイ)は学位試験を前に妊娠していることに気づきます。中絶が禁止されているため誰に相談しても首を振るばかりでアンヌは途方に暮れます。そして自ら様々な方法を試みますが・・・。

 妊娠に気づいたときの一言「こんなの不公平!」そのとおりです。相手の男はなんの苦しみも痛みもなく女性ばかりが犠牲になり学業にも身が入らず教師からは見放されそうになります。女子寮の仲間たちにもなかなか相談できません。でもやっぱり「女の味方は女」でした。良かった!

 タバコは、60年代ということもあり多くの喫煙場面がありました。大学の授業中にも煙が見え、そういう時代だったのですね。また、女生徒の喫煙者も普通にいました。持っているだけの俳優もいましたが、本当は吸いたくないのでしょう。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」

2023-01-26 | 2023映画評


「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」 ジェームス キャメロン監督 米 
 
 前作「アバター」の革新的な映像で興収歴代1位を記録した監督の13年ぶりの続編です。
 元海兵隊員のジェイク(サム ワーシントン)は侵略した神秘の星パンドラに残り先住民ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ サルダナ)と新しい家族にも恵まれ平和に暮らしていました。が、再び海兵隊がジェイクを捉えるためパンドラに侵略してきたのです。家族を守るため海の民族の村へ逃げますが、そこにも追手が・・・。

 前作の映像も「見たことない」ものでしたが、今作では海の中の場面が多く俳優たちの訓練のたまものと言えます。宣伝のため来日していたシガニー ウィーバー(ジェイクの16歳の娘キリのモーションキャプチャー)によれば、誰でも訓練すれば6分位は海中に居られるそうですがそれにしてもすごい!
 海中の動物たちの美しさ賢さに比べ、欲深い人間どもの残酷で罪深いことといったらありません。
 海兵隊っていつの世になっても獰猛な仕事しかできないようですね。
 気になったのは「父親は家族を守る」って強調していたけれど違和感あります。弓の腕は妻の方が巧みだったし次回作(たぶんある)ではチームで幸せを目指す内容にしてほしいです。

 タバコは、なし。無煙です。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「サハラのカフェのマリカ」

2023-01-25 | 2023映画評


「サハラのカフェのマリカ」 ハッセン フェルハーニ監督
           アルジェリア、フランス、カタール合作 ☓☓

 サハラ砂漠の真ん中で小さなカフェを営む高齢の女性を追ったドキュメンタリー映画です。
 砂漠の中の道路沿いにあるカフェには様々な人が訪れ一杯のお茶を飲みながら一人でほそぼそと営んでいるマリカに人生や家族のことなどの話しをして行きます。小さな窓から見える道路を行く人々や車、砂漠の景色と会話するマリカと客の姿を固定カメラでじっくりと捉えています。

 マリカさんはさりげなくおしゃれで着ているものが毎回変わっているので商売は小さいながらも別に貧しいわけではなく知識も豊富で時々ボソッと的を射た鋭い一言を口にします。人生を達観した余裕のある高齢者の地域貢献カフェのようでした。特に印象的だったのは聖職者の客が帰った後の一言で彼らの女性蔑視に対して怒りの一言でした。また「明日は女性デー」ということをよく知っていました。きっと生きづらい思いを経験してきたのでしょう。

 タバコは、訪れる客(男性)のほとんどが喫煙しました。唯一ヨーロッパ人の女性旅行者は喫煙しませんでした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「こころの通訳者たち What a Wonderful World」

2023-01-24 | 2023映画評


「こころの通訳者たち What a Wonderful World」山田礼於監督 ○☆

 日本で唯一のユニバーサル映画館「シネマ チュプキ タバタ」で行われた手話通訳付きの演劇を手話も含めて視覚障害者が感じられるような音声ガイドをどう表現していくかを模索する姿をドキュメンタリー映画にしました。
 田端にできた映画館「シネマチュプキ」は20席の小さな映画館ですが二階には音声ガイドを録音するためのスタジオがあります。そこでは「聞こえない人のための舞台手話をどうやったら視覚障害者に届けられるのか、という相談に手話通訳者、舞台手話通訳者、視覚障害者、聴覚障害者などさまざまな人が何度も話し合いお互いの思いを感じながら一つの作品を完成させるのでした。

 小さな映画館が商店街も活性化させるという報道は何度か目にしていましたが、今作では一つの作品に向き合うそれぞれの立場の人達がいい意味での侃々諤々の話し合いを続けます。チュプキというのはアイヌ語ですが、この話し合いの形態こそアイヌの「チャランケ」というお互いが対等にそして納得するまで話し合いを続ける超民主的な話し合いでした。民主主義は時間がかかると言われますがみんな本当に満足して感動していました。人生はなんて素晴らしいのでしょう!(☆)

タバコはなし、無煙でした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「森の守り人(もりびと) イサムの場合」

2023-01-23 | 2023映画評


「森の守り人(もりびと) イサムの場合」 中井信介監督 ☓☓

 インドネシアボルネオ島でパームヤシを植えるため森林伐採に対して植林活動をする小さな環境NGO「FNPF」(Friend of Natural Park Foundation)
の姿をドキュメンタリー映画にしました。
 カリマンタン州ではアブラヤシ農園にするため大規模な森林破壊が行われました。熱帯雨林ではさまざまな植物が生い茂りさまざまな動物が生息していますが、単一栽培の農園では生物多様性はありません。経済性のみです。
 「FNPF」のメンバーであるイサムはかつて違法伐採や砂金採りなど環境を破壊する仕事をしていましたが、「それでは子どもの未来が危ない」と気付き植林活動をするメンバーになりました。個人生活には色々問題はありますが・・・。

 アブラヤシから作られる「パーム油」は日本でもほとんどの加工食品に使われています。その陰には環境破壊があることは知識として知っていますが、四国より広い熱帯雨林を燃やして(放火?)農園にしてしまう資本のやりかたまでは知りませんでした。
 「イサムの場合」というタイトルなので仕方がありませんが内容として彼の個人生活の場面が多く期待していた「パーム油」問題はあまり掘り下げられなかったのが残念でした。

 タバコは、NGOのメンバーに喫煙者が多く常にタバコを手にしていました。そのタバコが実は同じインドネシア内の別の島で児童労働によって安価に生産されているというもう一つの人権問題まではまだ考えが及んでいないことが重ね重ね残念でなりません。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民」

2023-01-23 | 2023映画評


「森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民」 金子遊監督 ☓☓

 タイとラオスの北部山岳地域に暮らす超少数民族ムラブリの人々の姿をムラブリ語の収集をしている研究者伊藤雄馬をコーディネーターにして追ったドキュメンタリー映画です。
 現在タイとラオスに3つのグループに別れて生活する彼らはお互いを「人喰い」などと恐れています。伊藤はスマホのカメラ機能を駆使してお互いの存在を見せ融和を図ろうとします。

 ムラブリの人々は定住せず竹とバナナの葉などでささっと小屋掛しそこで食べるものを調達する以外はほとんどゴロゴロしているそうです。食べるものは森のなかで育つイモ類を焼いて食べ川で魚を捕まえスープにして食べます。
農耕をしないので時間や季節の概念も必要ありません。
 食べるものはみんなで分け合い時々タイ人の村へでかけ森の物と米、タバコと交換したり米をもらったりするようでした。
 奇妙なのは彼らの若者たちがすでに携帯電話を活用していて特に音楽が好きでイヤホンで聞いているのが普通になっていることでした。

 タバコは、年齢性別に限らず喫煙率が結構高く手製のパイプや紙巻きなどを吸っていました。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

2023-01-21 | 2023映画評


「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」 マルジャン・サトラピ監督 英 ☓☓

 19世紀のパリを舞台にノーベル賞を2回受けたキュリー夫人の生涯を描きました。
 ポーランド出身の科学者マリ スクウォドフスカ(ロザムンド パイク)は女性であるということでろくな研究施設も与えられず抗議したら追い出されてしまいました。マリを救ったのは同じ科学者のピエール キュリー(サム ライリー)でした。二人は結婚し共同で研究をしてラジウムとポロニウムを発見した功績でノーベル賞を受けますがピエール一人が評価されていることに納得できません。一方ピエールは体調を崩しその上馬車に轢かれ亡くなってしまいます。
途方に暮れるマリでした。

 男社会で懸命に才能を発揮させるために媚びるのではなく、徹底的に闘う姿が魅力的です。また、彼女が発見した放射能が武器に使われたり原発事故で多くの人を傷つけたりしていることにもきちんと触れていて単なる「偉人伝」で終わらなかった内容にも好感が持てます。スキャンダラスな面もあってマスコミに叩かれますが、別の場面ではしっかりマスコミを利用して取引をするしたたかさもあり、子どもの頃読んだ伝記とは違い大変人間的でした。
 じいさんたちがのさばっていると才能が潰れてしまう危険がありますね。今の日本もちょっと危ないですね。
 
 タバコは、大学の教授たちがモクモクと喫煙していました。高齢の俳優たちにタバコを吸わせてスモークハラスメントでした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「裸のムラ」

2023-01-20 | 2023映画評


「裸のムラ」五百旗頭幸男(いおきべ ゆきお)監督 ○

 「はりぼて」で富山県議会の不正を追求した五百旗頭監督が新天地石川県を舞台に日本社会の実態を明らかにしました。27年に及ぶ長期に渡って君臨していた谷本知事の姿と谷本の選対本部長をしていた馳浩に知事の座をバトンタッチする流れを追いました。一方ムスリム一家の生きづらさやバンライファー(車のバンで生活する人を指す)の生活を織り交ぜることで「保守王国石川」を描いています。

 政治のシーンにはほとんど男性しか登場せず、女性は水差し関連と花束贈呈の場面のみです。その上腹立たしいのは谷本知事が会見場で「水はないのか」とか女性記者に「ちゃんと聞いてなかったのか」など常に上から目線で周囲に接していることでした。この知事の功績は箱物のみ、迷言は「スクラップアンドビルド」で、あるのを壊して新しくするということのようです。持続不可能な時代遅れの発想ですね。新知事もスローガンは「新時代」22年前から同じことを言っています。
 対してインドネシア人のムスリムの女性の発言はジェンダー的にも外国人差別に対しても鋭い指摘でした。
 車で生活する人については「ノマドランド」で十分。
 政治に関心がない人が楽しめるようイラストや吹き出しでのツッコミなど監督の思いをもっとストレートに表現しても良かったのではないかと思います。それにしてもこの国の未来は暗い・・・。唯一の救いはモスクの建設に地元民から反対されながらも話し合うことで建てることができたという推移で、時間はかかってもやはり話し合うことが相互理解につながるということでした。民主主義は絶滅していなくて良かったです。

 タバコは、なし。無煙です。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「さかなのこ」

2023-01-19 | 2023映画評


「さかなのこ」 沖田修一監督 ☓

 魚類に関する豊富な知識と巧みな絵でタレントや研究者として活躍している「さかなクン」の「一魚一会」を原作にしてフィクションも取り入れながら半生を映画にしました。
 みー坊(西村瑞季)は魚が大好きで一日中魚の絵を書いていたり図鑑を見ていたり釣りをしていたり魚漬けの日々です。父親は心配しますが母親(井川遥)は「この子はこの子の道を行けばいい。」と応援しています。高校生になると周りの不良っぽい少年たちから絡まれても魚の魅力を伝えるとみんな妙に納得してしまいます。しかし、このまま大人になって生きていけるのでしょうか?

まず子ども時代の子役(西村瑞季)の演技がうまい!あれ本物のタコですよね。すぎょい!また主役ののんはじめ柳楽優弥や磯村勇斗が高校生役というのも観ているだけでおかしくて笑えます。高校生たちが縄張り争いをする「リベンジャーズかい?」というなんちゃってリベンジャーズの場面ものほほんとしていて楽しい。さかなクンの能力をみんなが認める余裕があったから今の「さかなクン」がいるのだな、と大変勉強になりました。
 
 タバコは、直接は関係がないとこやのおじさんが外のベンチでいつもタバコを吸っていました。中高年なので命がけですね。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「やまぶき」

2023-01-18 | 2023映画評


「やまぶき」 山崎樹一郎監督 日仏合作☓

 岡山県真庭市を舞台に日本社会で暮らす外国労働者や分断される人々の姿を描いた群像劇です。
 韓国人のチャンス(カン ユンス)はもともとは韓国の乗馬の選手でしたが父親の借金返済のため日本の採石場で真面目に働き今は同居する家族もいます。高校生の山吹(祷キララ)は社会問題をアピールするスタンディングをしていますが、警察官の父親(川瀬陽太)から反対されます。
 庭のヤマブキが枯れたからと父親は山へ採集に行きますが脆い岩がコロコロ転がり結果的に大きな岩を落としチャンスの車がその岩にあたってしまうのでした。

 採石場で働く外国人の姿やスタンディングへの嫌がらせなど脚本も書いている監督自身の伝えたいことは理解できます。が、映画科学生の卒業制作にプロの俳優が友情出演しているという感じで役者が素人の演技をしていることばかりが気になってしまいました。本物の俳優はさりげなくちゃんと仕事をしているのだなあと別のところで感心してしまいました。
 農業をやりながら監督をしているようで、そういう仕事の仕方は応援したいので次回作がんばってね。
 セリフがボソボソして聞き取れないところが何箇所かありました。

 タバコは、青木崇高演ずる採石場の労働者が喫煙し「タバコクダサイ。」とヴェトナム人労働者にねだられ「自分で買えよ。」「タカクテ カエナイ。」というやりとりがありました。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする