無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

こどもしょくどう

2019-04-27 | 2019日本語映画


「こどもしょくどう」 日向寺太郎監督 ☓ パル企画

 「子ども食堂」の原点とも言えるような子どもの貧困を描きました。
 小学5年生のユウト(藤本裕太)は食堂を営む両親(吉岡秀隆、常盤貴子)と妹と何不自由のない生活をおくっていました。気がかりなのはいつもいじめられているタカシ(浅川蓮)のことでした。タカシは母子家庭で母親が放任状態でユウトは野球の練習の帰りにはいつも夕食に誘っていました。でも、それ以上のことはできず、タカシがいじめられていても見ないふりをしていました。
 そんな折、橋の下の軽自動車で父親と暮らす姉妹の存在を知ります。あるきっかけで姉のミチル(鈴木梨央)と言葉を交わすようになり姉妹が満足に食事もしていないことに気づきます。なんとかしてあげたいと思うタカシですが・・・。
 「見ないふりをしてはいけない。」というユウトのことばは、市井の人々が少しでも善意のある行動をとることで救われる子どもがいるのではないか、と問いかける足立紳の脚本には共感できます。
 監督の指導の元、子役たちが好演しています。藤本、鈴木、浅川、それぞれ今後の活躍が楽しみです。
 ただ、タカシの家や軽自動車が結構綺麗で、ちょっと現実的ではなかったのが残念です。
 タバコは、食堂の常連客らしい高齢の女性がカウンター席で毎回喫煙していました。(☓)子役が活躍する作品では受動喫煙も虐待です。さすがに「子ども食堂」になってからは喫煙していませんでしたが・・・。ラストの「小学生以下無料」の張り紙と共に「子どもの健康をまもるため全席禁煙となりました」があったら☆だったのに・・・。残念です。

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2018年無煙映画大賞決定

2019-04-26 | 2018年無煙映画大賞
  2018年無煙映画大賞について

 日本禁煙学会で無煙映画評を担当している者です。映画評を仕事としている北川れい子さんは年間500本以上観ているそうです。それらのプロの人と比べるとまだまだ少ないのですが、この映画評が少しでもタバコのない社会の実現にむけてお役に立てばとおもい、楽しみながら使命感を持って鑑賞しています。
 
 さて、2018年に鑑賞した日本語映画は72本でした。そのうち完全なタバコのでない無煙映画は28本でした。これらの無煙映画の中から各賞を選定しました。ちなみに外国語映画は62本観ましたが無煙映画は29本でした。

 日本禁煙学会無煙映画選考委員会で各賞を審査した結果、次の作品が選ばれました。
 (参考までに、映画タイトルの次に「映画.COM」の評価点数を記載します。満点は5)

 なお、舞台での発表は5月31日(金)日本医師会館において、2019年世界禁煙デー記念イベント「受動喫煙防止法制化の先を見据えて」の中で行います。

**2018年無煙映画大賞受賞作品と受賞理由**

<作品賞> 「空飛ぶタイヤ」(3.5)本木克英監督  

      「劇場版 コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」(3.5)西浦正記監督

<女優賞>  吉永小百合(よしなが さゆり) 
      「北の桜守」(3.1)滝田洋二郎監督 
 
<男優賞>  岩田剛典(いわた たかのり) 
      「去年の冬、君と別れ」(3.7)瀧本智行監督
      「パーフェクト ワールド 君といる奇跡」(3.3)柴山健次監督

<監督賞>  三上智恵監督(みかみ ちえ) 「沖縄スパイ戦史」(4.2)
      
<ファミリー賞> 「パパはわるものチャンピオン」(3.9)藤村享平監督

<話題賞> 「カメラを止めるな」(3.9)上田慎一郎監督 

<特別賞> 「三里塚のイカロス」(3.7)代島治彦監督
 
受賞理由
今回は作品賞の候補作2作品の優劣が付け難く2作品受賞といたしました。

<作品賞>「空飛ぶタイヤ」
 人気企業物作家の池井戸潤原作です。大企業が壁のように立ちふさがるにもかかわらず、それぞれの立場の人々が真相を求めてめげずに闘う姿は、タバコ会社と闘うわたしたちに共通するものがあり勇気を与えてくれます。

<作品賞>「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」
 救急救命のために献身的に働く医療関係者の姿は、子どもたちの目に憧れの大人として映ることと思います。2018年観客動員数が最も多かった作品です。

<女優賞> 吉永小百合
 120本目の出演作品です。年とともに深みを増した演技が光ります。いつかこの人にと思っていましたが、なかなか機会がなくやっと「北の桜守」が完全に無煙の作品となりました。サユリストのみなさまお待たせいたしました。

<男優賞> 岩田剛典
 「去年の冬、きみと別れ」では恋人が巻き込まれたミステリアスな事件を追うジャーナリスト役を、「パーフェクトワールド 君といる奇跡」では怪我が原因で車椅子生活となり、恋人に対して素直になりきれない屈折した思いをもつ青年役を演じ分けました。

<監督賞> 三上智恵
 沖縄が抱える独特のテーマをさまざまな切り口から観客に問題提起し続けている「不屈」の制作姿勢を評価します。「標的の島 風(かじ)かたか」(4.3)(2017年公開)、「戦場ぬ止み(いくさばぬとうどうみ)」(3.8)(2015年公開)に次ぐ沖縄3作目です。

<ファミリー賞> 「パパはわるものチャンピオン」 藤村享平監督
 かつては人気プロレスラーでしたが、怪我などの理由で悪役の覆面レスラーを仕事にしている父親と小学生の息子との誤解と和解を描いています。地味な作品ですが、子役の活躍が素晴らしく三世代の家族揃って安心して楽しめる秀作です。

<話題賞> 「カメラを止めるな」上田慎一郎監督
 たった2館の上映からクチコミで広がり最終的には200万人の動員を記録した2018年を代表する作品です。タバコを吸おうとするところで止める場面がありましたが、映画撮影現場というかつてはくわえタバコが普通だった世界を無煙で描いたことはたいへん評価できます。

<特別賞> 「三里塚のイカロス」代島治彦監督
 成田空港建設反対で国家と闘った三里塚闘争の当時と闘志たちの50年後を描いています。理不尽な権力と闘うことの意義と勇気を与えてくれる作品です。


2018年に鑑賞した無煙映画は次のとおりです。映画評は「無煙映画を探せ」をご参照ください。 

・「ウスケボーイズ」 柿崎ゆうじ監督 
・「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」 前田哲監督
・「まぶいぐみ〜ニューカレドニア引き裂かれた移民史〜」本郷義明監督 
・「人魚の眠る家」 堤幸彦監督 
・「日日是好日」 大森立嗣監督 
・「あの頃、君を追いかけた」 長谷川康夫監督 
・「パーフェクトワールド 君といる奇跡」 柴山健次監督  
・「散り椿」 木村大作監督 
・「パパはわるものチャンピオン」 藤村享平監督 
・「食べる女」 PG12 生野慈朗監督  
・「沖縄スパイ戦史」 三上智恵、大矢英代監督 
・「ペンギン・ハイウェイ」 石田祐康監督 
・「カメラを止めるな」 上田慎一郎監督 
・「未来のミライ」 細田守監督 
・「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」西浦正記監督 
・「空飛ぶタイヤ」 本木克英監督 
・「終わった人」 中田秀夫監督 
・「50回目のファーストキス」 福田雄一監督 
・「ラブ☓ドック」 鈴木おさむ監督  
・「娼年」 R18+ 三浦大輔監督  
・「ちはやふる 結び」 小泉徳宏監督 
・「曇天に笑う」 本広克行監督 
・「去年の冬、きみと別れ」 瀧本智行監督  
・「北の桜守」 滝田洋二郎監督 
・「三里塚のイカロス」 代島治彦監督 
・「辺野古ゲート前の人びと」 藤本幸久、影山あさ子監督 
・「光」 河瀨直美監督 
・「パークス」 瀬田なつき監督  

<汚れた灰皿賞(モクモク賞)>

・「来る」PG12(中島哲也監督) ・「止められるか、俺たちを」(白石和彌監督)
・「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(大根仁監督) ・「嘘を愛する女」(中江和仁監督) 
・「泣き虫しょったんの奇跡」(豊田利晃監督) 
以上を代表して、汚れた灰皿賞大賞は「止められるか、俺たちを」

*汚れた灰皿賞(モクモク賞)について
タバコの場面の多い作品は他にも「孤狼の血」(白石和彌監督)「菊とギロチン」(瀬々敬久ぜぜたかひさ監督)などがありますが、R制限を受けているので候補から外しました。

(注)選考にあたっては、ブロブ「無煙映画を探せ」(https://blog.goo.ne.jp/kaeruyama5151)を参考にしています。この映画評の目的は以下のとおりです。

1、映画に携わる俳優スタッフなどすべての関係者を能動喫煙、受動喫煙、残留タバコ煙(第3
次喫煙)などのタバコの害から守り、その害に気づいてもらうこと。
2、映画俳優の喫煙シーンがきっかけでニコチン依存症(常習的喫煙者)になってしまった映画
  ファンも多く、喫煙シーンをなくすことで観客をタバコの害から守ること。
   3、2004年に日本も批准し、現在180カ国が批准している国際条約「タバコ規制枠組み条約
    (FCTC)」第13条(注)を遵守することを促すこと。
* 以上のことから、映画を製作する人がいつまでも元気に活躍し、観客も1本でも多くの作品を
楽しむことができるよう願って評しています。
(注)<FCTC第13条>
タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限または禁止をすることを謳っています。
従来からある情報提供手段(印刷・テレビ・ラジオ)およびインターネット、携帯電話、映画を含
むあらゆる形のニューテクノロジーを用いた情報提供手段による広告・宣伝を禁止しています。
 

 
 


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マイ・ブックショップ

2019-04-26 | 2019外国語映画


「マイ・ブックショップ」 イザベル コイシェ監督 スペイン ☓

 ペネロペ フィッツジェラルド原作の小説を映画化しました。
 1959年のイギリスの田舎町で戦争未亡人のフローレンス(エミリー モイティマー)は亡き夫と夢見ていた本屋を開業しようとします。保守的な街では銀行はじめ町の人々は女性が起業することへの抵抗もあり冷ややかに見ていました。それだけではなく有力者ガマート夫人(パトリシア クラークソン)などは赤裸々な嫌がらせまでするのでした。唯一40年間屋敷に引きこもって本だけを楽しみにしていた老紳士ブランディッシュ(ビル ナイ)だけはフローレンスを支えてくれるのでした。フローレンスのブックショップはどうなるのでしょうか。
 本がつないだフローレンスとブランディッシュの手を握るだけのラブシーンですが、名優二人の渾身の演技で深くて濃厚な愛を表現していました。
 街の本屋さんがどんどん消えてしまっている現在ですが、「知のエッセンス」が詰まっている本をもっと身近な存在にしておきたいものです。最近の研究では「運動」だけではなく「読書」する人のほうが健康寿命が長いとか。本屋さんへ行ってみたくなる作品です。
 タバコは、悪役のガマート夫人が度々喫煙していました。(☓)


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麻雀放浪記2020

2019-04-14 | 2019日本語映画


「麻雀放浪記2020」 PG12 白石和彌監督 ☓☓☓ 東映

 1984年に和田勉監督で映画化された阿佐田哲也原作の小説を、今作では時代を変え再映画化しました。
 1945年の焼け野原の東京から雷が原因で2020年の「戦争後」の東京へタイムスリップした坊や哲(斎藤工)は戸惑いながらも街で出会ったプロの麻雀士ドテコ(もも)に助けられ2020年の麻雀を体験します。一方、人工知能のロボット麻雀士YUKI(ベッキー)が開発され、ヒトとの対決を「麻雀オリンピック」のイベントで坊や哲らと対戦することになるのでした。
 大麻で逮捕された俳優が出演していることであれこれあったようですが、別に騒ぐほどの作品でもなく、逮捕報道のおかげで多少観客が増えたのではないかと思います。いくつかの小ネタに社会風刺風の笑いもありましたが、30年前と比べ麻雀人口は減少しているなか、どうしていま再映画化したのか首を捻りたくなります。
 タバコは1945年の雀荘がモクモクなのはまあしかたがないとしてもタイムスリップして倒れていた場所がタバコ屋の店先、というのが結構笑えます。2020年にあの手の昭和のタバコ屋があるのでしょうか。白石監督はスポンサーとしてタバコ会社がお好きなようですが、映画などでのタバコの潜入広告は国際条約で禁止されていることも承知の上で違反しているとしか思えません。小さな悪(違反)の積み重ねがいずれ大きな悪につながる、というようなことを先日引退した野球選手が言っていましたね。(元は「小さなことの積み重ねがいずれ偉大なことになる。」)肝に命じたほうがいいのではないでしょうか。(☓☓☓)特に小松政夫のような高齢の俳優が受動喫煙させられるのは直接命に関わり大変危険です。

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ダンボ

2019-04-13 | 2019外国語映画


「ダンボ」 ティム バートン監督 米 ◯

 ディズニーのアニメーション映画で人気のある大きな耳の象が空を飛ぶお話を実写映画化しました。
 サーカス団の母親象から生まれた子象は驚くほど大きな耳を持っていました。母親は売られてしまい取り残された子象を団員の子どもたちは大切に見守ります。ある時その子象が耳を翼代わりに羽ばたいて飛びあがります。あるものをきっかけに飛ぶことができることを知り子象はダンボと名付けられサーカスの人気者になります。するとそれに目をつけた大手のドリームランドの社長が甘い言葉で団長をたぶらかし、サーカス団ごと買い取ってしまうのでした。そこにはダンボの母親象がいましたが、今にも処分されかけていたのでした。
 ダンボが本物の象にしか見えないのですが、どうやっているのでしょうか。不思議です。表情も大変豊かで母親象とのやり取りも自然でお見事でした。
 ラストは動物にとっては最もハッピーで、檻の中より自然に戻してあげたいという製作者の願いが現れていました。
 タバコは、なし。動物を愛する人は人間も大切にします。

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2019-04-11 | 2019外国語映画


「バイス」 アダム マッケイ監督 米 ☓☓☓

 アメリカのジョージ W ブッシュ大統領の時代、最も権力を握っていたとされるディック チェイニーの半生を描いた社会派ドラマです。
 1960年代学生だったディック(クリスチャン ベール)は飲んだくれで恋人のリン(エイミー アダムス)から強く叱責されます。その後、妻の応援も功を成し、政界にはいりラムズフェルドのもとで修行し権力の虜になっていきます。一度は政界から離れますが、息子のブッシュが大統領候補となると副大統領の誘いがかかり再び政界に君臨します。そして、911が起きるのでした。
 「ろくでなし」だった男がいつのまにか人をコントロールする術を身に着けていく姿が不気味です。人間が悪くなると体型まで不健康になる姿を、体重をコントロールしてクリスチャン ベールは熱演しました。
 ところで、29の「記者たち〜」でも取り上げられていたイラク戦争ですが、大量破壊兵器なんて結局嘘だったことにたいして誰か責任をとったのでしょうか。それとも日本と同じで誰も責任をとらずうやむやで政権が変わればそれでおしまいになってしまうのでしょうか。
 フライフィッシングの場面が出てきましたが(制作にブラッド ピットが参加しているせいかな。「リバー・ランズ・スルー・イット」を彷彿とさせました。)エンドロールの疑似餌のデザインが楽しかったです。つまりみんな「ニセモノ」に釣られているってことですかね。
 タバコは、冒頭の酔っぱらい運転で捕まる場面でタバコを咥えていました。その後も度々タバコを口にしていました。妻も子どもの前でも喫煙していて60年代とはいえそこまで忠実に再現しなくてもいいのではないでしょうか。映画製作者はタバコ会社に釣られているってことですか。


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ブラック クランズマン

2019-04-08 | 2019外国語映画


「ブラック クランズマン」 スパイク リー監督 米 ☓☓

 黒人の警官と白人の警官が組んで「KKKクークラックスクラン」に潜入捜査をした経緯を映画化しました。 
 1979年、コロラド州のコロラドスプリングス警察に初の黒人刑事ロン(ジョン デビット ワシントン)が配属されます。同僚にはロンを「カエル」と馬鹿にする人もいました。そんな折、ロンは新聞広告に載った「KKK」の勧誘電話に会員になりたいと電話をしてしまい好印象を受けます。しかし、ロン自身が仲間に入れるわけがなく、白人の同僚フィリップ(アダムス ドライバー)と潜入捜査を開始します。フィリップがメンバーと接触しますが、実は「KKK」は黒人だけでなくユダヤ人も極度に排斥していたのです。フィリップはユダヤ系だったことがわかり捜査は危うい場面を迎えるのでした。
 差別主義者たちの対象は皮膚の色の違いや宗教だけでなく実は女性も差別の対象です。それに対して狂信的なメンバーの妻がいつもないがしろにされていて「いつかは役に立つときが来る。」とテロの実行犯になる姿が悲しいです。
 30年前が舞台ですが、今のほうがトランプ大統領の登場でますます分断されていくようです。アメリカはこれから一体どうなっていくのでしょうか。
 タバコは、かなり登場していました。とくに「KKK」の集会ではタバコとビールが定番のようでした。白人のアーリア人の遺伝子が傷つけられてしまうことはまだ知らなかったようです。(☓☓)

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記者たち 衝撃と畏怖の真実

2019-04-07 | 2019外国語映画


「記者たち 衝撃と畏怖の真実」 ロブ ライナー監督 米 △ ☆

 アメリカがイラク戦争を始めるときの「嘘」情報に負けず、「真実」を報道し続けた新聞社の記者の姿を描きました。
 911のあとアメリカは奇妙な連帯感がはびこり愛国的な言動がもてはやされ、それ以外の冷静な報道などは誰も読もうともしなくなっていました。大統領側近の言うことはすべてが真実だとだれも疑うこともなく、疑うものは相手にもされませんでした。地方紙の元締めであるナイト・リッダー社のみが「本当に大量破壊兵器はあるのか?」と疑って記事を書いていましたが、それも掲載されなくなるのでした。そして、嘘の情報を確認されることもなくイラク攻撃が始まります。良識ある識者の予想通りの最悪の結果を招くのでした。
 タイトルの「衝撃と畏怖」はイラク攻撃の作戦名です。
 当時のフィルムを織り交ぜ大統領とその側近ラムズフェルドたちが嘘を突き通した結果は「ナンバー(数字)」が示しています。イラクの民衆とアメリカ軍兵士の犠牲者の数、落とした爆弾の数、そして究極の数字は「0」。それはイラクにあるとされた大量破壊兵器の数です。
 嘘で固められていたにもかかわらず、人々がそれを信じてしまったという恐ろしさは、どこかの国にも全く同じことが言えるのではないでしょうか。
 日本では、こういう作品は制作されないのが残念です。アメリカ映画界の勇気に対して(☆)
 タバコは、記者の周囲で数回煙が見えました。(△)


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バンブルビー

2019-04-06 | 2019外国語映画


「バンブルビー」 トラビス ナイト監督 米 ◯NTS ☆

 「トランスフォーマーシリーズ」の人気キャラクター「バンブルビー」の誕生秘話です。
 チャーリー(ヘイリー スタインフェルド)は父親を亡くしてから母親と新しい父親そして弟の家族からはすっかり孤立し、趣味は自動車修理です。そして遊園地の売店でのバイトをするつまらない日々を過ごしていました。そんなとき廃車の中からある黄色い車と出会います。ちょっと手を加えるとなんとその車がロボットに変身したのです。「バンブルビー」と名付け仲良くなりますが、実はバンブルビーを追って悪者ロボットも地球に到着してしまいました。悪者たちは地球をめちゃくちゃに荒らしてやると仲間たちを宇宙から呼び寄せようとするのでした。はたして地球を守ることができるのでしょうか。
 バンブルビーのうっかりいたずらをしたときのしょげた体操おすわりなどおちゃめなキャタクターが可愛いです。青い瞳が喜んだり悲しんだりロボットとは思えない豊かな感情表現をします。一家にひとりバンブルビーがいると楽しくなりそうです。かつて「ET」に登場した宇宙生命体はなんとなく動物的でしたが、今作は全くのメタリックなロボットとの異種交流を楽しく描いた秀作です。(☆)
 主人公のチャーリーも魅力的でしたが、いやみな女3人組もなんとも言えずいやみでよかったです。悪役が主役を照らしていました。
 変身ロボットなどには全く興味が無いという方にも十分楽しめるドラマでした。
 タバコは、なし。無煙です。


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そらのレストラン

2019-04-03 | 2019日本語映画


「そらのレストラン」 深川栄洋監督 ◯ 東京テアトル

 大泉洋を主演にした「パン」「ワイン」に続く北海道食品シリーズ3作目。今回はチーズ作りのお話です。
 海が見える牧場を父親から継いだ亘理(大泉洋)は吹雪の日に訪ねてきたこと絵(本上まなみ)と結婚して10年、子どもも授かり、牧場とチーズ作りに励みます。野菜、羊、漁師それぞれ食材に関係する仲間に囲まれ学生気分で仕事をしていました。そんな折、札幌から有名シェフが訪ねてきて彼らの食材を使い料理をすることになります。一方、亘理のチーズ作りの師匠だった大谷(小日向文世)が倒れてしまうのでした。
 大自然の厳しさと美しさの中での青年たちの姿がトラブルは有りながらも幸せそうに描かれています。今は牧羊をしている神戸(岡田将生)が実は都会で孤立していたという告白や、アレルギーに苦しんだ原因が食べ物に含まれる化学物質だったことから農薬を使わない農業を始めた青年など、今までの「しあわせのパン」と「ぶどうのなみだ」よりも奥が深くなりました。
 映画の帰りにはチーズを買いたくなる作品です。
 照明が優れていて陰影が主人公の感情を巧みに表現していました。
 タバコは、なし。無煙です。農薬を使わないなどというセリフがある作品で喫煙していたらおかしいですよね。タバコにはたくさんの化学物質が含まれていますから。


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