無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

窮鼠はチーズの夢を見る

2020-09-26 | 2020映画評


「窮鼠はチーズの夢を見る」 R15+ 行定勲監督 ✗✗✗PPあれこれ

 水城せとな原作のコミック2本を組み合わせ実写映画化しました。
 広告代理店に勤める恭一(大倉忠義)は人のいい優柔不断な性格で相手に請われるまま不倫をしていました。それを突きつけたのが妻に依頼され恭一の身辺をあらっていた探偵をしている大学時代の後輩渉(成田凌)でした。なんとかごまかしてもらえないかと頼みますが、渉の条件は「僕と寝ること」だったのです。「キスだけ」から始まり、いつのまにかズルズルと深い関係になっていくのでした。結局妻とは別の問題で離婚し、次の恋人も現れ忙しい恭一なのでした。

表面的には男のドラマですが、実は絡んでくる女性たちのドラマでもあります。「今どきこんな女がいるの?」と思えるタイプの女性があいも変わらず描かれています。「恭一さんから買ってもらうだけ」ってそんな妻います?新しい恋人も「あなたのために煮込み料理を作ってあなたにつくします。」というタイプでこの原作って昭和に書かれたの?唯一大学のときの元カノだけは威勢がよくて今風でした。
現実問題として広告代理店では死ぬほど働かなければ認められない世界なので恭一のような存在はありえないのではないかと思いました。

タバコは、渉が喫煙者で度々喫煙し、その上ライターがワケアリの小道具で、灰皿などが二人の関係性を暗示するなど、タバコ宣伝映画でした。だからR15+なのかな?

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TENET テネット

2020-09-25 | 2020映画評


「TENET テネット」 クリストファー ノーラン監督 ○ NTS

 ノーラン監督のオリジナル脚本で、時間が逆行する世界と現実世界とを利用することで、第三次世界大戦を回避するために戦う男を描きました。
男(ジョン デビット ワシントン)は、ミッションの資格審査に合格し、「ある物」を武器商人から奪い返す任務を命令されます。武器商人との交渉の切り札となる絵画の鑑定人である妻のキャット(エリザベス デビッキ)に近づきます。しかし、彼女は夫の信頼がなく、息子を人質に取られているような破綻した関係となっていました。時間のルールを超えて世界の破滅を回避することができるのでしょうか。

一度ではよく理解できないので断片的な印象ですが。どんなときでも母親の子どもを思う気持ちとそのためには手段を選ばないという行動力が印象的です。特にストーリーには直接関係ありませんが、エリザベス デビッキのヨットから海へ飛び込むときのフォームの美しさです。さすが元ダンサーです。元飛び込みの選手かと思いました。
暴力シーンは観客の想像力に任せ、拷問なども具体的な場面を直接表現しなかった演出は好感を持てます。
回転ドアで時間を移動する方法って日本の歌舞伎の回り舞台がヒントになっているのかな、似てました。
後ろ歩きとか後ろ走りとかエキストラのみなさんはたいへんだっただろうな、と思います。
内容が難しかったので映画の意図についてはあと数回見ないと理解できそうもありません。

タバコは、なし。無煙です。(○)


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ぶあいそうな手紙

2020-09-24 | 2020映画評


「ぶあいそうな手紙」 アナ ルイーザ アゼヴェード監督 ブラジル ✗!

 視力を失いつつある78歳のひとり暮らしの男性がひょんなことから出会った23歳の女性に手紙を代読してもらい返事を代筆してもらうようになったことから始まる人生肯定物語です。
エルネストはブラジル南部の街ポルトアレグレでひとり暮らしをしていますが、息子は心配し同居を勧めますが頑なに断っています。しかし、困ったことに故郷ウルグアイから初恋の彼女が夫を亡くした悲しみを伝えている手紙を読むことができません。そんな折ビアという犬の散歩をバイトにしている女性と出会い手紙を読んでもらうことにします。ちょっとした悪さもするビアですが、エルネストの誠実な対応を体験することでビアの行動も変わっていきます。ビアの助言で書いた初恋の女性への心温まる手紙が人生を変えるのでした。

ブラジルはポルトガル語、ウルグアイはスペイン語で似ていますが微妙に違うらしいです。パンフの解説によれば、冒頭で父と息子のやり取りでは父親はスペイン語で息子はポルトガル語だったようです。また、地元の家政婦はスペイン語は多少わかるけれど手書きの文字はよくわからないようでした。また、エルネストの隣に住むハビエルはアルゼンチン人で「二度とブエノスアイレスには戻らない。」が口癖です。物語の舞台となったブラジル南部という場所がキーワードでウルグアイもチリもすぐとなりですが政治的には過去に軍事政権が権力を握っていた時代もあり避難してきた人々が暮らしている街なのです。
言語が関係性を伝えるような作品では、字幕の文字体を変えるとかカッコを使うとかして日本人の観客にわかりやすくしてもらえると良かったと思います。せっかく地元ブラジルよりもはやく一般公開できてサンバと暴力以外のブラジルの姿を紹介できたのですから配給会社がもっと丁寧な対応をするともっといい作品に仕上がったのではないでしょうか。紹介される作品が少ない国の場合特に英語圏以外では字幕はとても重要です。

タバコは、隣人のハビエルが葉巻の喫煙者で、妻から嫌われ自宅は禁煙のため、エルネストのチェスの相手をする条件に喫煙可を要求しています。映画の内容に関わるので詳しくは書けませんが、やはり受動喫煙の被害は大きいことが間接的ながら分かる人にはわかります。(✗)


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青くて痛くて脆い

2020-09-13 | 2020映画評


「青くて痛くて脆い」 狩山俊輔監督 ○

 「君の膵臓をたべたい」の住野よる原作の小説を実写映画化しました。
 大学生になった楓(吉沢亮)は「人を傷つけたくないし、自分も傷つきたくない」という理由でひとりでいました。秋好(杉咲花)は「世の中は変えられる」と信じていてどんな場面でも主張するため周りからはすっかり浮いていました。そんなふたりがいつしか「モアイ」という「社会を変える秘密結社」を立ち上げます。はじめはふたりであれこれ活動していましたが、先輩の脇坂(柄本佑)が賛同して仲間入りしたあたりから楓はおもしろくなくなりモアイから離れていきました。いつしかモアイは就職活動に利用されるようになり規模が拡大し別の形になっていきました。そんなモアイに憤りを感じた楓は復讐を始めるのでした。

 タイトルどおりの内容です。好きになった子が自分から離れていくことを許せず妙に回りくどい復讐を弄りだす主人公は本人が真剣なだけに客観視するとコメディのようでした。秘密結社モアイが二人から三人になりその後一気に大組織になってしまうあたりがちょっと飛ばしすぎなのではないでしょうか。

 タバコは、なし。無煙です。
 


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パヴァロッティ 太陽のテノール

2020-09-12 | 2020映画評


「パヴァロッティ 太陽のテノール」 ロン・ハワード監督 英米合作 △ ☆

世界各国で活躍したテノール歌手パヴァロッティの生涯を描いたドキュメンタリーです。監督は「アポロ13」などでおなじみのロン・ハワードです。
子どもの頃から歌が好きで地元モデナでテノール歌手のコンサートを聞き声楽家を目指しました。国際コンクールでの優勝やオペラデビューなどテノール歌手としての側面を描きつつ、その間に結婚し、3人の娘が生まれ、その後離婚し再婚するというプライベートな側面も様々な人のインタビューや過去のフィルムなどで紹介します。成功を収めた後にはチャリティ活動やロック歌手とのコラボなど多才な活動を描いています。もちろん様々な劇場での「ラ・ボエーム」「トスカ」「トゥーランドット」などからの名曲もふんだんに取り入れられています。

パヴァロッティの名前を知っている程度のオペラ初心者にも十分楽しめる内容です。12歳のときに破傷風で生きるか死ぬかの数日を過ごしてから人生を楽観的にそして前向きに捉えるようになったというパヴァロッティは公演の直前以外は常に笑顔で周囲を楽しませます。パスタが大好きなせいか体つきも本当に太陽のようなおおらかさがあります。ダイアナ妃にしてもボノにしても一度会うとすっかり彼の魅力の虜になってしまう不思議な存在です。特に白血病になったホセ・カレーラスとのエピソードには感動させられます。彼の復帰後のホセとプラシド ドミンゴと3人での競演はすばらしい場面でした。(☆)

タバコは、英国のバンドU2の時代の映像で若き日のボノがタバコを持っていました。古いフィルムなのでおまけの△です。


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事故物件 怖い間取り

2020-09-11 | 2020映画評


「事故物件 怖い間取り」 中田秀夫監督 ○

自殺や殺人、不審死などがあった部屋は「事故物件」と言われ敬遠されています。あえてそこに住むことを「売り」にしている芸人松原タニシの原作をJホラーの巨匠中田監督が映画化しました。
売れない芸人ヤマメ(亀梨和也)はコンビの中山(瀬戸康史)から「もうやめよう」と言われ途方にくれますが、そんな折テレビのプロヂューサーから「事故物件に住んでなんか撮ってこい。」と言われます。不動産屋には「事故物件」担当の職員(江口のりこ)がいてあれこれ相談に乗ってくれます。一方ヤマメのファン梓(奈緒)はメイク助手としてテレビ局で働くようになりヤマメとも親しくなるのですが、梓には心霊を感じる力があるのでした。はたしてお宝映像は撮れるのでしょうか。

「事故物件」になった事件の裏側をもっと掘り下げれば社会的な側面も織り込まれ単なるホラー映画ではない広がりが出せたのではないかと思われ、大変もったいない作品です。本当に怖いのは死ななければならなかった原因こそ怖いのではないでしょうか。

タバコは、なし。無煙です。お笑い界の控室などでも喫煙者はいないし灰皿もなく大変良くできました。(○)


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オフィシャル シークレット

2020-09-10 | 2020映画評


「オフィシャル シークレット」 ギャビン フッド監督 米英合作 ○ ☆

政府の諜報組織の職員が秘密保持の原則を破ってある秘密事項を意図的に漏らした事件を映画化しました。
2003年、英政府通信受信本部で北京語の通訳として働くキャサリン(キーラ ナイトレイ)は職務中あるメールを受け取ります。イラク侵攻を認めさせるための国連の理事国の通信を盗聴する内容でした。道義的憤りを感じたキャサリンはその情報を反戦活動家の友人に伝え彼女から新聞記者へと情報は流れ大きな報道となりました。しかし、キャサリンは秘密保持の義務を破った罪に問われるのでした。

有能な弁護士、社会悪を許せない新聞記者、そしてクルド人移民の夫たちは自らの立場を危うくされながらキャサリンのためにそれぞれのやりかたで奮闘する姿はもちろん感動的なのですが、最後にはきちんと負けを認める検察の潔さもイギリスという国の成熟した民主主義を思わせ羨ましい限りです。ぜひ見習ってほしいものだと思いました。

タバコは、なし。無煙です。

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はちどり

2020-09-01 | 2020映画評


「はちどり」 PG12 キム ボラ監督 韓国米合作 ✗✗

1994年の韓国ソウルを舞台に思春期の少女とその家族や友だちとのさまざまな関わりを丁寧に描きました、
ソウルの団地に両親、姉、兄と住むウニ(パク ジフ)は学校ではそれほど目立たず、親友やボーイフレンドもいますがいまひとつ満たされませんでした。そんな折、漢文塾の新しい女性教師ヨンジ(キム セヒョク)は両親や学校の教師とはちがう価値観でウニを見てくれました。ところが、ウニが入院することになりその間にヨンジは塾を辞めてしまったのでした。退院後ヨンジから贈り物が届きお礼に自宅を訪れたときある事実を知るのでした。

少女から大人に成長する過程の心のゆらぎを抑えた表情でありながらも的確に表現しているウニ役のパクはこれからが期待されます。
内容としては、韓国の過程や学校での男性優位性の現実です。実際には弱い立場の妻や小さい妹にイライラをぶつけるので心が痛みますが、あまりにひどいので滑稽さも感じるほどです。それでいながら泣くほど心配もしていて憎いわけでもないのですね。
昨年日本でも話題になった小説「82年生まれ、キム・ジヨン」(チョ ナムジュ著)の主人公と2年の差しかないので社会の状況はほとんど同じでしょう。日本の女性が自由で開放されているわけではありませんが、この時代の韓国よりは少しはましかな?深層では変わりませんが。
楽しい話題としては、当時の流行り「カルバン・クライン」や「ベネトン」が経済成長を象徴し、当時を懐かしく思い出させますが、ラストではその国家の発展が実は偽物だったと思わせなかなかの政治性のある作品です。
タイトルは1秒間に80回も羽ばたいて蜜を吸うハチドリの姿を懸命に生きる主人公の姿に重ねたそうです。

タバコは、塾のヨンジが喫煙者で「今度の先生タバコ吸っていたよ。」と言われます。一方、ウニも遊びに行って隠れタバコを吸ったり万引をしたりし、「クラスの不良」にリストアップされます。なお、「不良」の条件は「タバコを吸う」「万引をする」「カラオケに行く」などでした。(✗✗)
子役の前での喫煙は虐待です。子役に喫煙させるのは犯罪です。


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