無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

居眠り磐音

2019-05-27 | 2019日本語映画


「居眠り磐音」 本木克英監督 ☓ 松竹

 佐伯泰英原作の人気時代小説を松坂桃李主演で初映画化しました。
 3年間の江戸務番を終えた坂崎磐音(松坂桃李)は幼馴染で剣友でもある小林(柄本佑)河出(杉野遥亮)とともに小林の妹で許嫁の奈緒(芳根京子)が待つ豊後関前に帰郷します。ところが、河出は家に着く前に、妻(小林の妹)のスキャンダルを吹き込まれ帰宅するやいなや、前後の見境なく妻を手にかけてしまいます。妹を殺された小林は河出を切り、なんとその小林の成敗が坂崎に下知されたのです。二人の親友を亡くし、祝言をあげる間もなく傷心の磐音はひとり故郷を出て、江戸の長屋に身を寄せるのでした。
 故郷でも、江戸でもさまざまな権力争いに巻き込まれ犠牲になる人々の姿が痛々しい作品です。これから磐音がこの敵を取るまで映画は続かないと、消化不良に終わってしまいます。次回はどこまで進めるのか、あの長い原作だけに終わりが見えないのがちょっと不安です。
 切ったり切られたりの場面が多いのですが、それだけでなく、ゲスト出演のような出演者に遊びの演出があり楽しめます。
 筆者は原作を途中まで読みましたが、常に斬り殺して問題を解決する展開にうんざりしてしまいました。話し合いで解決できないものでしょうか。
 タバコは、悪役の柄本明がキセルを一服しました。(☓)年齢的にその一服が命取りにならないといいのですが・・・。その他はキセルを弄ぶ程度で煙害はなし。


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轢き逃げ 最高の最悪な日

2019-05-26 | 2019日本語映画


「轢き逃げ 最高の最悪な日」 水谷豊監督  △ 東映

 俳優の水谷豊のオリジナル脚本で監督としても2作目の長編映画です。
 結婚式の打ち合わせに遅れている宗方(中山麻聖)は親友で当日の司会をする森田(石田法嗣)の勧めで裏道に入りますが女性をはねてしまいます。混乱した宗方は倒れている被害者をそのままに森田の言うままその場から逃げてしまいます。
 その日から加害者の宗方と森田には奇妙な脅迫が届き、二人は罪の意識に苛まれます。一方、被害者の父親(水谷豊)は苦しみを酒で紛らわせる生活をしていましたが、警察から娘の携帯電話が見つからないという連絡を受けると娘の行動を知るために動き始めるのでした。そしてある意外な事実にたどり着くのですが・・・。
 加害者の苦悩はドストエフスキーの「罪と罰」を彷彿とさせます。被害者の家族にとっては突然の出来事を受け入れるには心に重すぎる現実です。
 重大な交通事故が繰り返されているタイミングで、映画の内容はともかく、水谷だけでなく母親役の檀ふみが事故の被害者の苦悩を演じていました。
 タバコは、相変わらず「喫煙所」が情報交換の場になっているのが残念でした。(△)


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コンフィデンスマンJP

2019-05-25 | 2019日本語映画


「コンフィデンスマンJP」 田中亮監督 △ 東宝

 天才詐欺師たちが騙し合いをする人気テレビドラマの劇場版です。
 ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の詐欺グループが、今回は新人詐欺師モナコ(織田梨沙)を加え香港の女帝ラン リウ(竹内結子)が持つというパープルダイヤをターゲットにし香港へ飛びます。一方、以前3人に騙されたヤクザの赤星(江口洋介)は3人を追い始めます。そこへダー子と昔関わりがあった詐欺師ジェシー(三浦春馬)も同じ目的でランに接近、それぞれの騙し合いが始まるのでした。
 見どころはなんといっても長澤まさみの「おばさん」と言われようと「ババア」とまで言われても余裕の変顔の乱発です。大物女優に成長したものです。
 古沢良太の脚本も笑処満載で家族でカップルで楽しめるコメディです。
 ひとつ不満なのは、パープルダイヤがあまりにも安っぽいし乱暴に扱いすぎです。「本物」の場面では本物らしく扱かう演出が必要なのではないでしょうか。片手に持って振り回すわけ無いでしょう。
 タバコは、香港の怪しいゴミ拾いのおばさんと、ヤクザの子分が喫煙していましたが、どちらも悪役に近いのでマイナスイメージでした。(△)
 いつもは喫煙する江口洋介が喫煙しなかったのは良かったのですが、顔色が青黒く不健康で、大口開けて笑ったときの歯と歯茎があまりにもきれいすぎて人工的なのが気になりました。


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シシリアン・ゴースト・ストーリー

2019-05-23 | 2019外国語映画


「シシリアン・ゴースト・ストーリー」 R15+ イタリア、フランス、スイス合作
             アントニオ ピアッツァ、ファビオ グラッサドニア監督 △

 1993年にシチリア島で起きた少年の誘拐事件を基に、美しい自然と少年少女の淡いラブストーリーをサスペンスタッチで描きました。
 ルナ(ユリア イエドリコブスカ)はクラスメートのジュゼッペ(ガエターノ フェルナンデス)のことが気になっています。思いきって手紙を渡しますが、乗馬の練習を終えたジュゼッペはルナの前から消えてしまいます。ジュゼッペの失踪にはわけがあるのか学校の教師も触れないし、家を訪ねても母親も祖父もなにか隠しているようでルナを追い返すのでした。両親からも拒絶されながらも、親友のロレダーナ(コリンヌ ムサダリ)に助けてもらいながらジュゼッペ探しを始めるのですが・・・。
 美しい自然が見方によっては恐ろしい魔物がいるようにも見え、ひとりで果敢にその中に入っていくルナの健気さが対照的に描かれています。ルナとジュゼッペを演じた二人は「今だけの二度とは見られない旬の存在感」が生かされています。名優に成長するのが楽しみです。そういう意味では「あのシーン」のために「R15+」となり同年齢の子どもたちが見られないのは残念です。
 タバコは、誘拐犯の男が2,3回喫煙しました。かなりのマイナスイメージなので△です。
 

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金子文子と朴烈

2019-05-21 | 2019外国語映画


「金子文子と朴烈」 PG12 イ ジュンイク監督 韓国 △ ☆

 大正時代、日本で活動していた韓国人アナーキスト朴烈<パク ヨル>と、同士として同棲していた日本人女性金子文子の半生を描きました。
 1923年の東京で朴烈(イ ジェフン)の詩に感動した文子(チェ ヒソ)は彼とともに社会変革を起こそうと同棲を始めます。大地震が起き、人心の不安を政府に向けさせないために「朝鮮人が井戸に毒を入れる。」というデマを広げ多くの朝鮮人が「自警団」の手によって虐殺されました。多くの日本人社会主義者らとともに二人も逮捕されました。そして、ふたりは「大逆罪」となり「死刑」の判決が下るのでした。
 ふたりを取り調べる警察官や留置所の看守たちが二人の言い分を心の何処かで受け入れてしまうまっとうな主張が権力の手で踏みにじられてしまう過程が恐ろしく描かれています。悪役の水野を演じたキム インウが日本語も巧みで見事な悪役ぶりでした。
 虐殺など辛く厳しい内容を含みながらも、おちゃめなところもあるふたりの存在が作品全体の雰囲気を明るくしています。(☆)
 タバコは、曰く有りげな仲間の女性が逮捕され尋問されるときに「タバコ」をご褒美にあれこれ喋ってしまうという場面がありました。肺を患っていて咳をしながらもタバコが止められないという依存性の強さを表していました。(△)


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百年の蔵

2019-05-08 | 2019日本語映画


「百年の蔵」 神 央(じん あきら)監督 ○ ☆

 1918年富山県魚津市から始まった「米騒動」と呼ばれる民衆の行動については、実は大きな誤解が一般に広がっている、ということを危惧した当地の人々の働きかけで制作されたドキュメンタリー映画です。
 旧日本軍のシベリア出兵という軍事行動がきっかけとなり主食のコメの価格が急騰しました。漁師町の女たちは家族に満足な食事をさせるため大きな米蔵を持つ街の実力者に「なんとかコメを値上げしないでほしい。」と懇願します。そして港に大型の蒸気船が入ると蔵から次々運び出される米俵にすがったのでした。その結果、大店の店主は運び出すことを諦め値上げをせずにコメを放出することになりました。ところが、この件を大大的に報道する新聞が引き金となり米騒動は全国に広がります。一部は暴力的になり、逮捕される事件にまで大きくなってしまい、それが今の魚津の「米騒動」に対する誤解につながっていったのでした。
 歴史的に加賀藩が困窮時にはコメを他藩に出してはならないという政策をとっていたこともあり魚津の女たちは計画的に非暴力で交渉をし、20日で平和的に解決にこぎつけました。
 漁師の息子を影で支える90歳の母親の姿と、「米騒動」について調べる女子高校生の活動をからませ、魚津の「米騒動」の真実が描かれます。登場する女性たちがそれぞれたくましく「男が漁でいないなら家族のことは女たちに任せなさい。」というパワーに溢れていました。(☆)
 バイキングで男たちがいないため女性が活躍する土壌を培ったと言われているノルウェーの女性たちと重なる部分が大いにありました。
 当時を表していたイラストが効果的でした。
 タバコは、なし。無煙です。魚津の魚市場には禁煙マークがありました。

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