無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「雑魚どもよ、大志を抱け!」

2023-06-27 | 2023映画評


「雑魚どもよ、大志を抱け!」 PG12 足立紳監督 ☓☓

 監督自身の小説「弱虫日記」を映画化しました。
 飛騨地方を舞台です。6年生になったばかりの少年たちにはそれぞれ家族構成はいろいろ、少年たちひとりひとり悩みがあります。解決するにはおばけが出るというトンネルを走り抜けなければなりません。それもできず、暴力的な中学生とやり合ったりしながらなんとか過ごしていくのでした。

 無駄に長い!同じようなシーンが繰り返される。それも動く対象(自転車)をカメラまで一緒に動いているので画面が揺れ「映画酔(悪い意味でね)」しそうです。1988年とはいえなんで子どもがタバコを咥えているのか(火はついていないにしても)、銃規制が叫ばれている今なんで子どもに銃をもたせた場面ばかりをあえて選ぶのか全く理解できません。ゴム製のパチンコで十分なのでは。80年代が舞台とはいえ制作している時代の要請を反映させず作る映画って意味があるのですか。
 入場時、プレゼントで配られた出演する子どもたちの写真をみたとき「ウォーターボーイズ」のようにこの中から大スターが育つかな、と期待しましたが、あっけなくがっかり。スターを育てるのは監督の演出ですよね。磨けば輝きそうですが磨き方が間違っていたようです。少年たちよ、一度でめげるな!次へ行こう。

 タバコは、子どもが咥えている、それもたびたび。教師も注意しない。別の子どものヤクザの父親(永瀬正敏)が子役の前で喫煙(児童虐待)。母親も喫煙、かなりマイナスイメージですが、吸わされている俳優二人はもういい年齢で突然死したらどうするのだろうかと心配になりました。


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「怪物」

2023-06-17 | 2023映画評


「怪物」是枝裕和監督 △

 第76回カンヌ映画祭で坂元裕二が脚本賞を受賞した作品です。
 夫を早くに亡くし一人で息子を育てている母親麦野早織(安藤サクラ)は小学生の湊(黒川想矢)がいじめられていると心配し学校に行きます。しかし、校長(田中裕子)は個人的な不幸で真剣に話を聞かず退席、担任(永山瑛太)や指導の教員たちも謝って済ませようとしているようにしか思えません。が、メディアを巻き込んだ大事件になってしまいます。一方見方を変えてみるといじめられていた、ということ自体あいまいになってくるのでした。

 冒頭で火事が起き不安な雰囲気が漂います。登場するそれぞれが問題(怪物?)を抱えていて主人公の少年二人が翻弄されているようにも見えます。ところが、これも見方を変えれば子どものほうも負けていないで結構したたかに自分たちの世界を探しています。クイアバルム賞受賞ということはBL映画ということですか?
 平日でしたが満席に近い入でした。終了後「よくわかんない」という感想があちこちで囁かれていました。そこがこの作品の受賞理由かもしれません。ハリウッドのヒーロー映画とは違いますよね。

 タバコは、静かな怪物校長役の田中裕子が意味不明の場面でタバコを持っていました。怪物にはタバコが似合うのかな。


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「渇水」

2023-06-16 | 2023映画評


「渇水」 PG12 高橋正弥監督 ✗✗✗

 日照り続きで水不足になった夏と妻子に愛想をつかされ心が乾ききった「停水執行」が仕事の水道局員を描きました。原作は河林満の小説です。
 岩切(生田斗真)は雨が降らず給水制限が行われ、楽しみにしているプールもお休みになってしまった夏に料金を滞納している利用者をまわりあれこれ言われながらも仕事を続けます。家に帰っても誰もおらず庭に出てタバコを吸って食事を自炊して一日が終わります。妻子はまだ帰ってきそうもありません。いつものように滞納者を訪問していて育児放棄と見られる母親(門脇麦)と二人の子どもと出会います。健気な子どもたちの姿に岩切は自分自身と重ね放おっておけないのでした。

 心の乾きを給水制限に例えたのは面白いですが、ラストが「無敵の人」のテロになって短絡的なのではないでしょうか。一生懸命なのに貧しくなってしまう社会そのものへのアプローチが足りないので物足りない作品になりました。あの母子を放り出して終わりでいいのでしょうか。

 タバコは、生田斗真が何度も喫煙しています。アレルギーがある子どもの母親はタバコの煙なんて毒ガスでしかないので出ていくのは当たり前です。セクハラだけでなくスモハラもなんとかしてほしいものです。


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「丘の上の本屋さん」

2023-06-01 | 2023映画評


「丘の上の本屋さん」 クラウディオ ロッシマッシミ監督 伊 ○

 イタリアの自然豊かな小さな村の古書店を舞台に本を巡る様々な人間模様を描きました。
 坂道を登った上にある小さな古書店には今日もゴミから良書を探し出してきた移民の青年、過去に出版した自身の本の初版を求める元教授、雇い主が探している写真雑誌を代わりに求める若いメイドの女性などなど、そして毎日店主のリブロ(レモ ジローネ)を気遣う隣のカフェのニコラ(コッラード フォルドゥーナ)が顔を出します。そんな店にアフリカ系の少年が訪れます。漫画本が読みたいけれどお金がない、という少年にリベロはただで貸してあげます。毎日やってくる少年とリベロは年齢、国籍、を超え「本」を通して理解し合うのでした。

 「ピノッキオ」「イソップ物語」「白鯨」「星の王子さま」などへの二人の感想が哲学的で楽しいです。ラストの「人権宣言」に拍手です。
 なお、登場するエキストラを含め若い俳優たちの美しさにイタリア映画の片鱗が垣間見られます。
 オリーブの畑でしょうか空撮の景色の自然が大変美しいです。

 タバコは、なし。無煙です。


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