無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

TOMORROW パーマネントライフを探して

2017-02-27 | 2017外国語映画評


「TOMORROW パーマネントライフを探して」
                 メラニー ロラン、シリル ディオン監督 仏 △ ☆
 2012年に学術誌「ネイチャー」に掲載された「今の生活を続けると人類は滅亡する」という記事にショックを受けた映画監督のロランが友人のシリル(ジャーナリスト)と「どうしたら滅亡を防ぐことができるのか」を「農業」「エネルギー」「経済」「民主主義」「教育」の5つの分野について先験的な活動をしているグループやコミュニティを取材し紹介しました。
 人口が200万人から70万人に激減したデトロイトでの地産地消の自給型農業や、100%脱石油に成功しているアイルランド、ドルやユーロだけに頼らない地域通貨制度、カーストの厳しいインド社会でのカーストを超えた直接民主主義、羨ましい限りのフィンランドの教育など、世界の各地で真剣に明日の地球を考え実践している人々の姿は観客を十分触発するパワーがあります。明日からと言わず、今日このときから地球を守るための行動に変えようと思わされます。
 家庭菜園で作物を育てることが楽しみなだけでなく、地球を救うことにもつながるかと思うと春が待ち遠しくなります。友人知人にもタネを分けてあげて自給の楽しさを体験させてあげるとか、雨水タンクをみんなに広げようとか、私にもできることをためらわずやっていきましょう。すぐゴミになる安物を買うのも控えましょう。
 タバコなんてパーマネントライフには絶対に無用のものですが、残念なことに街中の場面で2回ほど喫煙者が映ってしまいました。(△)


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彼らが本気で編むときは

2017-02-27 | 2017日本語映画評


「彼らが本気で編むときは」 荻上直子監督 ◯ ☆

 母子家庭の母親が娘を置いて出ていったあと母親の弟が世話をするのですが・・・。
 11歳のトモ(柿原りんか)は母親が育児放棄し家を出ていったため叔父マキオ(桐谷健太)の元を訪れます。マキオは美しく家庭的なトランスジェンダーのリンコ(生田斗真)と暮らしていました。コンビニのおにぎりばかり食べさせられていたトモはリンコのおいしい手料理やお弁当に感激します。そして少しずつリンコを理解していきます。リンコは編み物が好きでいつも何かを編んでいますが、ちょっと奇妙なもので同じものばかりたくさん出来上がっていました。実はそこにはある願いがあったのです。
 家族とは?を考えさせる作品です。トランスジェンダーのリンコと母親、リンコを大切に思うマキオたちが味わったさまざまな思いを絡め奥の深い作品になりました。リンコの母親がトモに対して「私のリンコを傷つけるようなことをしたらただじゃ置かないよ。」とタンカを切る言葉がありますが、親がどんな子供にもこういう思いなら子どもたちは幸せでしょう。ナオミ(小池栄子)も自分の息子の気持ちを理解してあげられるといいのですが・・・。
 脚本が良くできている上に生田斗真と柿原りんかの演技が大変素晴らしいです。小池をはじめ共演者ひとりひとりのアンサンブルが彼らを見事に支えていました。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。


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マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

2017-02-26 | 2017外国語映画評


「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」 レベッカ ミラー監督 米 △

 結婚、妊娠、育児、家事、などを巡ってあれこれ散らかしていく三角関係の男女の姿をコミカルにときにシビアに描きました。
 大学で働くマギー(グレタ ガーウィグ)は妻子がいる人類学者のジョン(イーサン ホーク)と恋に落ち妊娠出産後、ジョンの連れ子2人とともに新生活を始めます。ジョンの元妻ジョーゼット(ジュリアン ムーア)とも親しくなったマギーは二人の子どもたちにとっては両親が揃っていたほうがいいのではないかとおもうようになります。また、マギーが献身的に尽くすためにジョンは小説を書くという夢も蔑ろにし、その上家事育児すべてマギーに甘えてきて、やっぱりジョンとの生活を続けるのは無理かもと思ったりもするのでした。
 精子をもらうだけで結婚せずに妊娠出産を希望する女性が増えていることにはちょっと驚きます。アメリカ社会ではそれだけ仕事と子育てが両立し易いのでしょうか。今後は「精子バンク」を元にした物語も結構出てきそうな予感もします。今作も意外なラストとなり続編ができても面白くなりそうです。
 タバコは、中華街の怪しい賭博場で一部の人が喫煙していました。(△)
 

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素晴らしきかな、人生!

2017-02-26 | 2017外国語映画評


「素晴らしきかな、人生!」 デビッド フランケル監督 米 ◯ NTS ☆

 6歳の娘を亡くし人生を見失っていたカリスマ経営者が、周囲のさまざまな取り組みで本来の自分を取り戻すまでを描きました。
 ハワード(ウィル スミス)は娘を亡くしてからは仕事もせずオフィスでドミノを並べて過ごしていました。なんとかしなくてはと職場の仲間がある計画を立てます。その効果があったのか子供を亡くした親の会にも顔を出せるようになり、そのグループの女性と会話が交わせるようになるのでした。実は、計画を立てた仲間たちにもそれぞれ問題を抱えていましたが、彼ら自身もハワード同様に自ら目をそらさず解決の糸口を探るのでした。
 脚本がすばらしく、人生とは、愛とは、時間とは、などの人生の哲学を考える言葉が散りばめられています。ラストには、騙されていたのはハワードではなく観客だったという仕掛けが面白いです。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。


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ナイスガイズ!

2017-02-21 | 2017外国語映画評


「ナイスガイズ!」 PG12 シェーン ブラック監督 ☓☓☓☓☓ NTS

 ラッセル クロウとライアン ゴズリングの二人の名優が探偵を演じます。けっこうドジなアクション・コメディの作品です。
 私立探偵でシングルファーザーのマーチ(ゴズリング)は、腕が立つ示談屋のヒーリー(クロウ)とある仕事でコンビを組みます。簡単に片付くはずでしたが、実はかなり複雑な問題が絡んでいて、賢い13歳の娘ホリーも協力しますが、解決どころか逆に命の危険にさらされてしまうのでした。
 クールな役どころがお似合いの二人の名優には珍しいお笑い系のキャラクターを演じています。ファンにはちょっとショックかもしれませんが、ふたりとも「なんでもできる」実力発揮です。
 タバコは、マーチ役のゴズリングが常にタバコを吸っていました。(☓☓☓☓)ヒーリーもラストでは葉巻を吸っていて(☓)1977年が舞台とは言え吸わせすぎです。


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愚行録

2017-02-20 | 2017日本語映画評


「愚行録」 石川慶監督 ☓☓☓

 貫井徳郎の直木賞候補となったミステリー小説を映画化しました。
 エリートサラリーマン一家が殺害されて1年が経ち、週刊誌のライター田中(妻夫木聡)は再度この事件の真相究明記事を書くために関係者への取材を始めます。主に殺された夫婦の大学時代の人間関係が次々明らかになっていきます。一方、田中の妹光子(満島ひかり)はシングルマザーで子供の虐待事件で勾留されていました。
 有名大学の中でのえげつない階級格差や社内での女性職員を巡ってのさまざまなまさに「愚行」が悲惨な事件を起こしていたのでした。
 冒頭のバスの車内でのエピソードが主人公の人間性のしたたかさを表しています。育った環境や社会の中のひとりの個人では解決できない階級格差の中では「どうしようもない悪魔のような人」にきっと誰もがなってしまうこともあるのかもしれません。でも、殺されるほど悪い夫婦ではなく、やっぱり殺した人が悪いです。
 タバコは、主人公や周囲の登場人物の喫煙率がかなり高い作品でした。(☓☓)女性の喫煙もあり(☓)、カメラの撮り方としてもタバコをアップで映し、その点の「愚行」も目立ちました。俳優への虐待が問題な作品です。


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スノーデン

2017-02-18 | 2017外国語映画評


「スノーデン」 PG12 オリバー ストーン監督 米仏独 ☓ ☆

 アメリカ政府による個人情報監視の現実を暴露した元CIA職員エドワード スノーデンの約10年を社会派監督が描きました。
 エドワード(ジョセフ ゴードン レビット)は国を守る特殊部隊の隊員として訓練を受けていましたが、大怪我をして除隊しました。その後は優秀なコンピューター技師として国家安全保障局に勤務します。恋人もできましたが、彼女はリベラル派で、エドはどちらかというと保守派でした。ところが、勤務を続けるうちに国家機密にもアクセスできる様になり、国家が個人のさまざまな通信を監視していることを知ります。いつしかそのことに疑問を感じるようになるのでした。
 つい最近の出来事のように思えますが、映画化してしまうそのスピード感は恐れ入ります。日本の横田基地も舞台の一つとなっていて、アメリカだけの問題ではないことがわかります。世界中のメールや電話などの通信が傍受され利用されています。無人機による確信のない爆撃で一般の人々が殺戮される映像も挿入されています。いまや机上でなんでもできる時代になった恐ろしさを感じます。
 日本の国会ではちょうど「共謀罪」の法案審議がされていてこの法案が現実になったら私たちも盗聴されないよう手話を習って置かなければならないかもしれません。
 タバコは、先輩職員のニコラス ケイジが登場するたびにオフィスで喫煙していました。(☓)

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ブルゴーニュで会いましょう

2017-02-16 | 2017外国語映画評


「ブルゴーニュで会いましょう」 ジェローム ル メール監督 仏 ◯

 実家のワイナリーが倒産の危機を迎え、久方ぶりに故郷に帰ったワイン評論家が再建に取り組む姿を描きました。ブルゴーニュ地方の壮大なぶどう畑が見どころです。
 シャルリ(ジャリル レスペール)はパリでワイン評論家として活躍していました。そんな彼のもとに実家の危機の知らせが届きます。実家に帰ると父親はシャルリの帰郷も喜ばず、やる気を亡くし、なんと船作りに励んでいました。自分しかいないとシャルリが妹夫婦とともにワイン作りを始めます。人とは違うやり方で作るというシャルリに父親はますます非協力的になるのでした。その上好意を持っていた隣の畑の娘も結婚しアメリカへ旅立ってしまいます。はたしてワインは無事醸造できるのでしょうか。
 収穫時期といったざっくりした判断ではない「明日が収穫日」という微妙な決断をしてこそ上等なワインができるということでワインがいかに繊細かわかりました。筆者の舌ではその辺の判断はできませんが、とりあえず、酸化防止剤は使わないほうがいいようなのでこれからも国産の無添加ワインにしたいと思います。
 タバコは、なし。無煙です。


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サバイバル ファミリー

2017-02-15 | 2017日本語映画評


「サバイバル ファミリー」 矢口史靖監督 ☓

 東京の真ん中にあるマンションで暮らす平凡な一家が、電気に関わるすべての電気製品が使えなくなり、妻の実家鹿児島まで脱出する姿をコミカルに描きました。
 会社員の父親(小日向文世)と妻(深津絵里)大学生の息子(泉澤祐希)高校生の娘(葵わかな)の鈴木一家は、鹿児島の祖父から届いた新鮮な魚や有機野菜を「気持ち悪い」と迷惑顔でした。そんな折、朝起きると電気を使うすべてのものが止まってしまいました。当然の事ながらガス、水道も止まります。はじめはキャンドルナイトを楽しむ余裕もありましたが、状況が好転せず物や水はなくなっていき、バッテリーを使う車も動かず、打開策として自転車で鹿児島を目指すことにします。
 米や水が高騰しますが、妻のへそくりの現金に救われ当面はなんとかやりくりできました。しかし、さまざまトラブルに見舞われ、命さえ危うくなるのでした。果たして一家は無事鹿児島へたどり着けるのでしょうか。
 電気への過度の依存に対する警告、食べる物に対してのありがたみの薄れ、生きるために最低限必要なものは何か、都市の人口集中と地方の過疎化、そういったことを再確認させることがこの作品の目的だったのでしょうか。あれこれ風呂敷を広げすぎてしまい何が言いたいのか「これだ!」というテーマが曖昧になってしまいました。
 結局弁当を持っていくことと自転車通勤くらいを始めたくらいで、元の都会暮らしを変わらずエンジョイするラストにはちょっとがっかりしました。
 筆者も都会の駅などで元気な学生や通勤客がエレベーターやエスカレーターをためらいもなく使って電気の無駄使いをしている姿には「福島を忘れたのか!」とひとこと言いたくもなるし、キャベツに青虫がいるだけでキャーキャー騒ぐ消費者には軽蔑もしています。その点ではこの作品に共感もしますが、この作品が本当にサバイバルなのかは大きな疑問です。
 矢口監督には是非、「その後のサバイバルファミリー」で、長男が漁師になる、娘が鹿児島の大学に進学する、父親が鹿児島の支店に異動するなど、あの経験がもっと人生に訴えた結果を見せてほしいものです。黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」を参考にしてください。
 タバコは、冒頭部分でタクシーの運転手が喫煙(☓)。運転手が喫煙者だと車内で吸わなくても残留タバコ煙の被害を受けるので大変困ったことです。鹿児島への途中世話になった農家の一人暮らしの太地康夫が度々喫煙していました。車も走らないのになんでタバコが生産流通しているのか訳がわかりません。(☓)

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未来を花束にして

2017-02-14 | 2017外国語映画評


「未来を花束にして」 サラ ガブロン監督 英 ☓☓ ☆

 1910年代のイギリスで、ひとりの労働者の女性が女性参政権運動の活動家と出会ったことで違う人生があるのではないかと変わっていく姿を描きました。
 モード(キャリー マリガン)は過酷な労働に耐え、同僚の夫と幼い息子と慎ましく暮らしていました。ある時、活動家の同僚の代わりに工場での労働について公聴会で証言する機会を得ます。洗濯工場での子供の頃からの過酷な労働と有害な労働環境の中、仲間たちが短命であることを証言します。これがきっかけとなりモードは女性社会政治同盟の活動を積極的にするようになります。妻の変化に夫は怒り、子供を取り上げ、家から追い出すのでした。公安からマークされ投獄されても、リーダーのパンクハースト(メリル ストリープ)の言葉に励まされ活動を続けました。そして権力者たちを揺り動かす大事件が起きるのでした。
 公安に捕まり「おまえはただの歩兵として最前線で使われているだけだ。それよりも仲間の情報を売れば悪いようにはしない。」と甘い言葉で説得されますが、その返事にモードが「あなたも(権力の)歩兵にすぎない。」と応えます。この言葉を辺野古や高江で市民に対して暴力的な弾圧をしている「あの人達」に聞かせたいです。そして、辺野古もそうですが、未来の子どもたちのために立ち上がり、自分を犠牲にしてまでも闘う姿は涙なくしては見れません。
 ところで、100年が経ち選挙のたびに投票率の低さが嘆かれています。私たちの先輩たちが命がけで獲得した権利をないがしろにするのは恥ずかしいことです。投票に行こう!!
 タバコは、工場長がいつもパイプを咥えて高みから監視していました。(☓)また、モードも喫煙する場面があり周囲でもちらほら喫煙していました。(☓)


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