無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「奥様は、取り扱い注意」 佐藤東弥監督 ○

2021-03-28 | 2021映画評


「奥様は、取り扱い注意」 佐藤東弥監督 ○

 工作員の妻とエリート公安の夫の夫婦を描いたテレビドラマの劇場版です。
 工作員の菜美(綾瀬はるか)はある事件で記憶をなくしてしまいます。夫の勇輝(西島秀俊)は公安の上層部から、別の夫婦として海ベの地方都市で新たな生活を始めます。ところが、その街では新エネルギー開発をめぐるロシアを巻き込んだ陰謀が潜んでいました。新エネルギー開発賛成派と反対派は市長選をきっかけに動きが活発になるのでした。そんな中反対派のグループは次々いわく有りげな男らに襲われたり、事務所を荒らされたりといった嫌がらせを受けます。実は真実を伝える「ある証拠」が存在していたのです。果たして美しい海を乱開発から守ることができるのでしょか。

 暴力で反対派を蹴散らそうとする権力の姿や、美しい海を荒らして利権を得ようとする開発派の姿はいやでも沖縄の基地建設を思い起こさせます。娯楽映画でありながら観ようによっては結構社会派で面白い作品です。
アクションがハリウッドの超人間的な「どうせCGでしょ」と思わせるものではなく、たしかに人が生身で動いてる感があり、自然で良かったです。

 タバコは、なし。無煙です。冒頭の場面で「路上喫煙禁止です。」というアナウンスが流れていました。

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「ブレイブ ―群青戦記―」 PG12 本広克行監督 ○

2021-03-28 | 2021映画評


「ブレイブ ―群青戦記―」 PG12 本広克行監督 ○

 笠原真樹の人気コミックを実写映画化しました。
 滋賀県にあるスポーツ強豪校は雷が不思議な大岩に落ちたことがきっかけとなり戦国時代にタイムスリップします。突然武器を持った獰猛な兵士がなだれ込み次々生徒を殺戮していきます。そこへ後の徳川家康の軍が現れ事態を鎮静させますが、数名の仲間が人質になってしまいます。なんと織田軍の砦に捉えられていたのでした。弓道部の蒼(あおい 新田真剣佑)と家康(三浦春馬)は救出するための策を練りその結果、先陣として織田軍と闘うのですが・・・。

 冒頭の殺戮シーンは「バトル・ロワイアル」でラストは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」って感じです。その後この学校はどうなったのか全然わからないのがちょっと残念というか消化不良です。
タイムトラベルしたらもっと楽しい話にもできるのではないかと思います。高校生が戦国時代に行っても勝てる訳ありません。チアリーディングが兵士たちに大受けに受けるとか「茶道」を茶道部員が利休に教えたり、野球をみんなで楽しんで新しい遊びができたりとかもっと愉快なタイムトリップをしてほしい。「ちょんまげぷりん」や「本能寺ホテル」が懐かしい。

 タバコは、なし。無煙です。


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「まともじゃないのは君もいっしょ」 前田弘二監督 ✗ ☆

2021-03-27 | 2021映画評


「まともじゃないのは君もいっしょ」 前田弘二監督 ✗ ☆

 予備校講師の大野(成田凌)と女子高生香住(清原果耶)との会話が楽しい高田亮の脚本が見どころ(聞き所)です。
 数学一筋に生きてきた大野ですが、生徒の香住から「普通じゃないよ」と指摘されその上「そんなじゃ結婚できないよ。」とまで言われてしまいます。ちょっとあせった大野は普通になるための特訓を恋愛雑学だけは豊富な香住から実践とともに指導されます。一方、香住は「子どもの未来を豊かにしよう」と本や講演会でメッセージを発し人気の宮本(小泉孝太郎)に魅せられているのですが、実は宮本には婚約者がいるのでした。

 成田と清原の掛け合いが漫才のようにたいへん面白く上質なコメディです。香住が「悪口を言って盛り上がる、ことは全然楽しくない。」と今のお笑い界とは真逆のことをいう台詞があるように、笑いを誘うセリフにイヤミがありません。そこがこの作品のポイントです。とにかくふたりの間合いのとり方ツッコみ方などが素直に笑える楽しい作品です。
 録音(小宮元)がすばらしく、貴重なセリフを一つ残らずきちんと再生していました。いくら脚本が面白くても聞き取れない下手な録音だとがっかりですが、この作はイライラする事なく聞き取ることができました。(☆)

 タバコは、宮本と話すため「出待ち」ならぬ「喫煙所待ち」を香住がし、喫煙している宮本と話していると、婚約者が現れ「禁煙したんじゃなかったの?」と問い詰められます。すると「この子が吸っていたのを取り上げたんだよ」と言い逃れをする場面がありました。人のせいにするんじゃないよ、宮本くん。結構マイナスイメージでしたね。(✗)


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「ミナリ」 リー アイザック チョン監督 米 ✗✗

2021-03-27 | 2021映画評


「ミナリ」 リー アイザック チョン監督 米 ✗✗

 1980年代にアメリカのアーカンソー州に農業で一旗揚げようと移民してきた韓国系家族の姿を描きました。
 ジェイコブ(スティーブン ユアン)は妻モニカ(ハン イエリ)と娘、心臓が悪い息子デイビット(アラン キム)と新天地へやってきます。家はトレーラーハウスでとりあえずの仕事はヒヨコの雌雄の分別作業です。モニカは不満もありふたりはいつも喧嘩をしていました。子どもの世話をするため韓国からモニカの母親がやってきます。このハルモニが「おばあちゃんらしくなく」子どもたちには不評ですが、独特の人生哲学があり家族の緩衝帯となっていきます。
 農場は水不足や天候不良でなかなかうまくいきません。それでも逃げ出すことなくここでアメリカンドリームを叶えることができるのでしょか。

 キリスト教が一般的な韓国人なので教会ではすぐに受け入れられ、孤立はしません。もっと過激な(?)キリスト教徒も身近にいたり奇妙な水脈発見男がいたり不思議な世界でもあります。
 そんな中もっともしっかりしていたのはハルモニだったのかもしれません。彼女が持参した韓国人のソウルハーブ「ミナリ(芹)」が農場の奥の方で順調に育っていき彼らの未来を照らしていました。

 タバコは、父親のジェイコブが心臓が悪い子どもの前でも喫煙していました。いくら80年代とはいえちょっと問題です。(✗✗)



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「痛くない死に方」 高橋伴明監督 ✗

2021-03-26 | 2021映画評


「痛くない死に方」 高橋伴明監督 ✗

 原作は長尾和宏の「痛くない死に方」と「痛い在宅医」です。
 在宅医の河田(柄本佑)は末期の肺ガン患者井上を担当しますが、延命治療はせず、痛くない治療を娘の智美(坂井真紀)に依頼されます。しかし、結局井上は苦しみながら最後を迎えます。智美は自分の判断が間違っていたのではないかと苦しみます。河田は先輩の医師長野(奥田瑛二)に苦しい胸の内を相談します。しばらくして担当したのは末期肝ガンの本多(宇崎竜童)でした。介護する妻(大谷直子)と二人三脚で最後の日々を安らかに過ごせるよう助言するのでした。
 
 最後の時をどう迎えるか、という大きな命題に対するひとつの提案が描かれています。患者にとっては望まれる対応かもしれませんが、介護をする「娘」「妻」にとっては1ヶ月くらいならなんとかなっても長期になると結構負担になるのではないかと思います。ジェンダーの問題としても「男性」が「女性」の介護を受けるというありきたりの流れで現代性が感じられなかったことは大変残念です。

 タバコでは、大きな問題発言がありました。それは宇崎演ずる本多と河田が花火を見ていた晩に「一杯やりたいなあ」とお酒を欲し「いいですよ」と一緒に飲む場面の次に「(タバコを)一服するのはやっぱり無理だよな」と遠慮がちに喫煙を希望します。そこでビックリ発言「いいですよ」と吸わせてしまいます。
 死ぬことがわかっている患者の喫煙に対して看護界でも色々意見はあるようですが、筆者が思うに「人は最後まで人としての矜持を保つことこそが人の尊厳なのではないか。」と思います。簡単に言えば「死ぬ瞬間まで生きる努力をしよう」ということです。だからタバコなんてとんでもない。
そこでちょっと脚本を訂正してみました。

 <脚本の提案>
本多「先生タバコを吸いたいんだけど・・・。」
河田「1本吸えばそれだけ寿命は縮まります。私は本多さんに一分一秒長く生きてほしいからタバコは許可できません。代わりになるものもありますよ。」
本多「そうか、そうだな。生きるってそういうことか。代わりはいいや。やっと禁煙できたんだ、ずっとできなかったけど、やっとできた。自分をほめなくちゃな。」
妻「よくがんばったよね。」
花火の音と映像。

脚本も高橋監督ですが、映画の中の河田が成長していくように高橋監督にも次回作を期待したいと思います。


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「れいこいるか」 いまおかしんじ監督 ✗✗

2021-03-20 | 2021映画評


「れいこいるか」 いまおかしんじ監督 ✗✗

 阪神大震災で娘を亡くした夫婦の別離と再生を、神戸を舞台に庶民の視線で描きました。

 伊智子(武田暁)と太助(河屋秀俊)は阪神大震災で娘を亡くします。その時浮気相手とラブホにいた伊智子は太助と離婚し実家の酒屋に戻ります。立呑もしている酒屋には個性的な人々が心の奥に震災の闇を抱えながらも面白おかしくやってくるのでした。伊智子は男を次々変え不謹慎ともとれる生活をしています。太助は人助けをしたために思わぬ罪を背負ってしまいます。
 
 神戸と聞くとお上品な雰囲気を思い浮かべますが登場する人々はなんだかみんな「だぼ(アホとかばかの意?)なやつらばかりでなんだか「宣伝文句」と違うなあと思いながら見ていました。なんとか最後までたどり着きイルカのショーだけは大変良かったです。

 タバコは、モクモクでタバコを吸わせるために撮った作品のようでした。


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「BOLT(ボルト)」 林海象(はやし かいぞう)監督 ✗

2021-03-18 | 2021映画評


「BOLT(ボルト)」 林海象(はやし かいぞう)監督 ✗

 2015年から17年に監督が永瀬正敏を主演に手掛けた「BOLT」「ライフ」「GOOD YEAR」の3つのエピソードから構成される長編映画です。
 あるところで、大地震が起きその揺れで原発から冷却水が漏れ始めました。「決死隊」が年齢の高い人から(永瀬、佐野史郎など)ボルトを締め直すために線量計がピーピー警告する中、防護服で身を包み酸素の量を測りながら必死に固まったボルトに挑戦しますが・・・。
 汚染され住民が避難する事故原発立地エリアで「住んでいないはずの男性」が孤独死します。後片付けの業者(永瀬、大西信満)が膨大なゴミなどの片付けをします。そこには描いていた絵や大切な写真、そして原発への恨みを書いたノートなどがありました。
 廃墟のようなガレージGOOD YEAR」で男(永瀬)はひとり原発の仕事を求め電話をかけますが放射線量の関係で断られます。モヤモヤとした男の元へタイヤをパンクさせ事故を起こした車が飛び込んでくるのでした。

 それぞれ、原発事故とそれが原因で人生を変えさせられたエピソードが描かれています。現実として今も福島原発では3000人の労働者が廃炉に向けての仕事をしていると聞きます。彼らがどんな思いで仕事を遂行しているのか考えさせられます。個人的には、原発さえなければもっと安全で社会の真に役に立つ仕事ができる人たちです。もったいないことだ、と思います。再稼働なんてとんでもない!

 タバコは、エピソード2と3で永瀬、大西が喫煙しました。(✗)永瀬さん顔色悪いのにタバコ吸わされていてお気の毒です。放射線も怖いけど紙巻きタバコは有害物質がポロニウム以外にもたくさん含まれていますよ。


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「野球少女」 チェ ユンテ監督 韓国 ○ ☆

2021-03-13 | 2021映画評


「野球少女」 チェ ユンテ監督 韓国 ○ ☆

 女子高生野球選手がいくつもの壁をクリアしながらプロ選手になろうと闘う姿を描きました。
 チェ スイン(イ ジュヨン)はリトルリーグから野球一筋にトレーニングに励んでいました。高校卒業を前に進路を決めなくてはなりません。学校側は「女子チーム」を勧めますがあくまでも「プロ野球選手」にこだわっていました。そんな折野球部のコーチとしてジンテ(イ ジュニョク)と出会います。彼も「ムリ、ムリ」という感じでしたが、指が血まみれになるほど練習し、諦めないスインを見ているうちに投手の価値は速球だけでなく「打たれないボールを投げる」ということをアドヴァイスするようになります。そしてスインはナックルで勝負するのでした。

 ジェンダーの話題が沸騰していますが、先陣を切ってプロ野球界に飛び込もうとするスインの姿はあっぱれです。また、少年っぽい顔立ちで野球のユニフォームが大変似合うジュヨンの魅力でゴテゴテのスポ根ものにならず爽やかな印象になりました。
 母親役のヨム ヘランが当初はグローブを燃やしてしまうほど反対していたのに娘の姿で気持ちが変わる役を好演しています。ジェンダーの変化はこういうところから始まるのでしょう。その点からもおすすめです。(☆)

 タバコは、なし。無煙です。喫煙者が多い日本の球界は恥ずかしい。なんとかしなさい!


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「生きろ 島田叡 ―戦中最後の沖縄県知事」 佐古忠彦監督 ○

2021-03-09 | 2021映画評


「生きろ 島田叡 ―戦中最後の沖縄県知事」 佐古忠彦監督 ○

 1945年、沖縄戦中にいきなり沖縄県知事として赴任した民主的文官の苦悩を、多くの証言でドキュメンタリー映画としてまとめました。
 アメリカからの空襲が激しくなる中、前任者が逃げるように職務から離れたがために家族と別れ単身赴任します。戦意高揚が叫ばれ、軍が牛耳る沖縄で当時としては珍しい民主的考え方だった島田叡(しまだあきら)は少しでも県民の命を守るために苦心します。しかし、軍の力が強く、できることはあまりありませんでした。戦時下の教育により、捕虜になるよりも自決や玉砕こそが美徳とされた時代、島田はそれに反し、周囲の若い人々に向かって「何があっても生き抜くのだ」と言い続けます。そして、自身は沖縄戦組織的戦闘終結直後、南部の摩文仁の軍医部壕を出てから消息を絶つのでした。

 東大野球部として活躍し、人柄も魅力的な有能な人物が「戦時下」という不条理な時代に翻弄され思うように力を発揮できず悔しい思いです。もう少し遅く生まれていたら社会のリーダーとして活躍できたであろうと思うと残念なことです。島田に限らず、多くの才能が戦火に散っていったことは大きな損失です。
 島田に関する資料は1枚の写真しかない、にもかかわらず証言のみで「人となり」を紹介できたことにこの作品の素晴らしさがあります。また、主題歌「生きろ」を作詞・作曲した小椋佳が力強く歌い上げます。

 佐古監督のドキュメンタリー映画としては、「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(2017)、「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」(2019)に続く第三作目。

 タバコは、なし。無煙です。


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「どん底作家の人生に幸あれ」 アーマンド イアヌッチ監督 英米合作 ○(おまけ)

2021-03-08 | 2021映画評


「どん底作家の人生に幸あれ」 アーマンド イアヌッチ監督 英米合作 ○(おまけ)

 イギリスの文豪ディケンズの名作「デイヴィッド コパフィールド」を実写映画化しました。
 デイヴィッドは名家に生まれ母や家政婦と楽しく暮らしていました。幼いときから気がついた「へんなこと」や「おかしなこと」を紙に書き残していました。幸せな日々は短く、富豪の母は暴力的な男と再婚、その男に都会の工場に売られてしまいます。過酷な日々からなんとか逃げ出し、裕福な叔母を頼ってなんとか名門(?)学校の学生となるのでした。ところが今度は貧しい使用人が財産を乗っ取ってしまうのでした。

 原作はかなりの長編でそれを2時間に収めようとし、たいへん慌ただしくとりあえず物語の大筋を知っていないと流れを把握するのが困難になりかねない内容です。ですが、主役のデブ パテル始め出演者が実力者揃いで、衣装や時代考証にもお金がかかっていてあまり深く考えずスクリーンを眺めているだけでも見ごたえがありました。
 俳優の中でもちょい悪の使用人を演じたベン ウイショーが成田凌によく似ていて登場するたびに「英語うまいね」と勘違いしそうでした。
 名家のマダムが黒人だったり、ボスが中華系だったり、人種的にもにぎやかで、ディケンズも「いい時代になったね。」と喜んでいるかも。

 タバコは、一瞬デイヴィッドがタバコのようなものを吸っているような場面がありましたがほんの一瞬だったのでおまけの(○)です。


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