無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

葡萄畑に帰ろう

2019-01-29 | 2019外国語映画


「葡萄畑に帰ろう」 エルダル シェンゲラヤ監督 ジョージア ☓☓

 権力の座につく時、振り落とされる時、それぞれの悲哀を描いた社会風刺コメディです。
 政府の重要ポストにいるギオルギ(ニカ タヴァゼ)は、心地よい権力の座を満喫していました。温室まである立派な邸宅に、運転手付きの車、そしてお部屋を飾る素敵な贈り物の数々・・・。残念なことに妻を2年ほど前に亡くしましたが、新しい恋人もいて息子も可愛く娘はちょっと問題あるけど一応自立していて悩みなんて縁がありませんでした。ところが、選挙で野党が勝ってしまいたちまちギオルギはすべてを失ってしまったのでした。
 「The Chair」という原題が物語をストレートに語っています。ラストで「椅子」が語るように古今東西つねに権力のもとで繰り返されてきた滑稽なドラマです。ただ、椅子が喋ったり置物が踊りだしたり、またオウムが先導したりとちょっとしたファンタジーを織り交ぜ楽しい作品となりました。
 権力の座にいる皆さんにはこの作品をしっかり鑑賞して「明日は我が身」となっても良いよう弱者に優しい政治をしてほしいものです。
 タバコは、ギアルグと同居している義理の姉が喫煙者で何回か喫煙。(☓)また、大臣を取材する記者が取材中に喫煙していました。(☓)


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いつか家族に

2019-01-28 | 2019外国語映画


「いつか家族に」 ハ ジョンウ監督 韓国 ◯

 中国のベストセラー作家ユイ ホアの「血を売る男」を1953年の朝鮮に舞台を移して映画化しました。
 日雇いでなんとか暮らしているホ サムグアン(ハ ジョンウ)はポップコーン売のオンナン(ハ ジウォン)に一目惚れ猛烈なアタックで結婚にこぎつけます。子どもを3人授かり貧しいながらも幸せな家庭生活を送っていました。ところが、長男のイルラク(ナム ダルム)が結婚当時オンナンと結婚の話があった男にそっくりだという噂が流れます。血液検査の結果自分の子どもではないことがわかるとサムグァンはオンナンとイルラクに冷たく当たるのでした。
 「血のつながり」が「家族」にとって大切な反面、「一緒に暮らすこと」はそれ以上に「家族」には大切ということがしみじみ伝わる作品です。
 物語のネタバレになってしまいますが親は自分の命まで子どもに捧げられることに感動します。
 また、「男の子」が当時の(今も?)中国や韓国では非常に大切な存在だったということが奇妙な祈祷師の言動などから推察できます。
 タバコは、なし。無煙です。


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十二人の死にたい子どもたち

2019-01-28 | 2019日本語映画


「十二人の死にたい子どもたち」 堤幸彦監督 ☓!!

 人気作家の冲方丁が現代を舞台に書いたミステリー小説が原作です。
 「死にたい子ども」があるサイトを見てみんなで安楽死をするために廃病院に集まります。ところが、彼らより先にひとりの遺体があったのです。この中に殺人犯がいる、と騒然となり犯人探しが始まります。参加者の中には警察官の子どもがいてさまざまに推理を展開していき、その証拠の検証などを手分けして行ううちにそれぞれの「死にたい理由」が明らかになっていくのでした。はたして犯人は?そして彼らの目的は遂げられるのでしょうか。
 「死にたい理由」で今の学校や社会が抱える問題を表面化しました。廃病院が舞台のせいか、効果的な音と音楽があるだけですが、ただ歩いているだけなのにサスペンス映像になっています。
 期待通りのラストですが、若手の俳優12人それぞれの演技の競演で結論を出すまでの経過を十分楽しませてくれます。エンディングの復習場面もおもしろいですね。
 タバコは、いろいろ問題のある作品です。小道具として使いすぎです。(☓)吸い殻捨てるな!ただ、ネタバレになりますが火災の原因にタバコという表現もありました。(!)
エンドロールのラストに「未成年の喫煙は法律で禁じられています」という言い訳あり。「将来がある俳優に喫煙させることは禁止してください。」と言いたいです。


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それだけが、僕の世界

2019-01-26 | 2019外国語映画


「それだけが、僕の世界」 チェ ソンヒョン監督 韓国 ☓☓!

 今は落ちぶれたボクサーが自分を捨てた母親と再会し、サヴァン症候群の弟と3人で暮らし始めます。家族への思いを育む人間ドラマです。
 ジョハ(イ ビョンホン)は相手を叩きのめすことしか頭にないボクサーですが、そろそろ限界を迎えていました。そんな折、17年前に別れた母親と再会します。母親に誘われ家に行くとそこにはサヴァン症候群の弟ジンテ(パク ジョンミン)がいました。行く宛もなかったジョハは母親へのわだかまりを抱えながらも一緒に暮らすようになります。そしてジンテが天才的なピアニストであることを知ります。そして運命の出会いがふたりを待っているのでした。
 ピアノ演奏の場面が多いのですが、「天才ピアニスト」というジンテ役のパク ジョンミンが吹き替え無しで演奏したということに役者魂を感じます。素晴らしい!
 また、イ ビョンホンが自分を捨てた母親を少しずつ理解していく微妙な心情と弟の才能をなんとかして花開かせたいと願う兄の思いを絶妙な表情で演じていました。
 周囲の女性たちがそれぞれ異なる立場でふたりを応援する姿もさり気なくてよかったです。
 ただ、タバコは、その女性たちが喫煙者ばかりで、それも「パワーのある人が見せつけるように喫煙する」とか「思い悩むときにタバコに火をつける」とか、「仲間意識としてタバコを勧める」など、日本の映画界では古臭い演出で殆ど見られなくなった喫煙シーンが目立ちました。(☓☓)ラストでタバコを進められたジョハが口にしますが、咳き込んで「運動しているから」とタバコを消す場面が救いでした。(!)
 

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体操しようよ

2019-01-25 | 2019日本語映画


「体操しようよ」 菊地健雄監督 ◯ 東急レクリエーション

 超真面目なシングルファーザーの会社員が定年を迎え、娘から主夫業を言い渡されあたふたしながらも、ラジオ体操の仲間とのあれこれを通して成長する(?)姿をコメディタッチで描きました。
 道太郎(草刈正雄)は38年無遅刻無欠勤で勤め上げた会社を定年退職します。娘の弓子(木村文乃)から「主婦卒業宣言」され初めて家事をあたふたとすることになります。そんな折、地域のラジオ体操のグループに入ります。メンバーにはちょっと影のある女性のぞみ(和久井映見)がいたのです。道太郎の第2の人生はどう展開するのでしょうか。
 退職して地域に戻っても、会社人間のまま変わらない道太郎や元の役職にこだわる男性仲間には苦笑させられます。道太郎が再就職した便利屋で出会う人々を通して社会の問題をユーモアを交えながら描き作品に厚みを加えました。また、チョイ役にもベテラン俳優が起用され味のある演技をみせています。一方、先輩スタッフの青年薫(渡辺大知)が道太郎とは対極的な今の若者を好演しました。「親子とは?」「家族とは?」「仲間とは?」を考えさせられます。
 タバコは、なし。無煙です。


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夜明け

2019-01-24 | 2019日本語映画


「夜明け」 広瀬奈々子監督 ☓!

 事故で妻と息子を一度になくした父親が、自殺未遂の青年を助け家族関係を再現しようと苦悩する姿を描きました。是枝監督の弟子広瀬監督のオリジナル脚本です。
 木工所を経営する哲郎(小林薫)は川に打ち上げられていた青年(柳楽優弥)を自宅に連れていき介抱します。意識を取り戻してもシンイチと名乗っただけでした。息子を亡くしている哲郎はシンイチを木工所へ連れていき木工の仕事を教えます。はじめはやる気がなかった青年ですが、あれこれ探ってこない哲郎の思いやりに少しずつ仕事にも関心を持つようになるのでした。期待の膨らむ哲郎ですが、青年は何かを隠していてその重みに耐えかねていて打ち解けることを拒んでいました。はたして「父子ごっこ」にどんな「夜明け」が訪れるのでしょうか。
 公園での親子のボール蹴り、居酒屋の店長のパワハラ、パチンコ屋、それらを凝視する青年の佇まいに過去を想像させます。柳楽のセリフがない演技が生かされています。
 逆に過去を暴くスナックの女性のセリフなどいくつかの重要なセリフがきちんと聞き取れないという欠陥がありました。録音技師しっかりして!もしくはアフレコで誰でも聞き取れるよう工夫してください。スタッフは予め知っているから聞き取れなくても問題ないでしょうが、観客は初めてそれも一度しか聞けません。意味のあるセリフが聞き取れないのでは脚本が台無しでもったいないです。
 タバコは、重要な小道具となっています。哲郎役の小林が自宅で青年の前で初めてタバコに火を点けた時、青年が思わずのけぞります。あわてて「ごめんごめん」と窓を開け煙を出して対応しますが、実は青年は煙がいやなだけではなく、タバコに関するある過去があったのです。
 その他木工所のスタッフが喫煙していましたが、「木の香」を大切にしながら喫煙するのはおかしいし、燃えやすい物がたくさんある職場での喫煙習慣は火災の元なのでは。火災の原因のトップはタバコです。

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洗骨

2019-01-23 | 2019日本語映画


 「洗骨」 照屋年之監督 ◯ ☆ ファントム フィルム

 ガレッジセールのゴリが粟国島で行われている洗骨の儀式を通してバラバラになっていた家族が関係を取り戻す姿を描きました。
 妻が亡くなってから自分を失っていた父親信綱(奥田瑛二)が一人ですむ実家に、洗骨を行うため娘優子(水崎綾女)と兄の剛(筒井康隆)が帰ってきました。優子は結婚もしていないのになんと臨月のお腹でした。実は剛も家族の問題を抱えての帰郷でした。信綱は4年も経つのに妻の死を受け入れることができず酒で気持ちをごまかしていました。どうなることやら危機的な家族のもとに突然優子の相手の男性(鈴木Q太郎)が現れるのでした。はたして洗骨の儀式は無事行うことができるのでしょうか。
 洗骨という言葉から不気味なイメージを持ってしまいますが、笑いのネタが散りばめられ特に伯母役の大島蓉子と鈴木Q太郎の演技が笑いを誘っていました。
 また、古謝美佐子のテーマ曲はじめ各所で沖縄の音楽が生かされ、作品を通して沖縄のさまざまな民俗を紹介しました。笑いが加えられていることも魅力です。(☆)洗骨は究極の愛の姿です。
 タバコは、なし。無煙です。(◯)


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恐怖の報酬

2019-01-22 | 2019外国語映画


「恐怖の報酬」 ウィリアム フリードキン監督 米 ☓☓☓☓☓

 1952年にフランス映画として公開された同名映画を1977年にフリードキン監督によりリメイクされました。3大陸5カ国のロケと2000万ドルとも言われる経費と2年の歳月をかけたものの「スターウォーズ」旋風の中不振に終わりました。その上、会社が勝手に短縮版を制作したというトラブルの歴史を乗り越え、2013年監督自らデジタルリマスターの完全版を発表し、同年のヴェネチア映画祭でプレミア上映されました。
 本筋は、高額の報酬につられ、油田の火災を消すためのニトログリセリンをジャングルの道なき道を爆発させずにオンボロトラックで運ぶ4人の男たちの恐怖体験です。2台のトラックに分乗し次々起こる障害を知恵と経験でなんとか乗り越えて進むのですが・・・。
 前半は4人の男たちがそれぞれの国でいろいろ問題を起こし、そこにはいられなくなって南米の石油採掘現場にたどり着く経過が語られます。4人の物語を手を抜かず丁寧に描いているため本題に入るまでがちょっと長いと感じられます。トラックが走り出してからひとりひとりの物語に入ったほうが観客は理解しやすかったかもしれません。本筋に入ってからの演出は手に汗握る恐怖を観客も十分体験できます。
 タバコは、時代のせいかほとんどの場面にタバコが登場していました。


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マスカレード・ホテル

2019-01-19 | 2019日本語映画


「マスカレード・ホテル」 鈴木雅之監督 ◯! ☆☆ 東宝

 東野圭吾のベストセラー小説を実写映画化しました。
 都内で奇妙な暗号を残す連続殺人が3件起き、4件目にホテル「コルテシア東京」が殺人現場として予告されます。警察は捜査官をホテル内にスタッフとして配置し、事件を未然に防ぐとともに犯人逮捕を狙います。刑事の新田(木村拓哉)はフロントに配属、教育係にはホテル側の山岸(長澤まさみ)が担当します。刑事の中でも態度が悪い新田は山岸から言葉使い、礼儀作法、そして「お客様がルールを作る」というホテルマンとしてのあり方を徹底的に指導されるのでした。ぶつかり合う二人ですが、さまざまな「お客様」の対応を重ねていくうちにそれぞれの能力を認め合うようになります。一方、捜査の方は情報が錯綜し、真犯人にはなかなかたどりつかないのでした。
 テンポが良く、場面展開が鮮やか、音楽も効果的、主演の二人も長澤がうまいのは当然ですが、木村も俳優らしくなってきました。(☆)娯楽映画としては大変面白い作品です。若者のホテルスタッフ志望が増えそうです。(☆)
 タバコは、無煙です(◯)がタバコ関連の小ネタがいくつかありました。冒頭での「さまざまなお客様」のひとりとして、部屋をわざとタバコ臭くして部屋のグレードアップをさせる場面がありました。(常習犯らしい位置づけ)
現実的にタバコ臭い部屋は困ります。最近ではタバコの臭いを消すために芳香剤などを撒きますが、「香害」と言われているように化学的な匂いでごまかすことはやめてほしいです。
 新田の上司役の渡部篤郎がタバコを吸おうとし「全館禁煙です!」のひとことでタバコをしまう場面あり。また、従業員用の喫煙室らしいドアが映りました。
 

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おかえり、ブルゴーニュへ

2019-01-17 | 2019外国語映画


「おかえり、ブルゴーニュへ」 PG12 セドリック クラビッシュ監督 仏 ☓

 10年ぶりにブルゴーニュの実家に戻った長男と妹、弟、それぞれの問題を解決していく姿をぶどう畑の美しい景色とともに描きました。
 ジャン(ピオ マルマイ)は父親が重病になり、実家に帰ってきます。驚いて迎える妹ジュリエット(アナ ジラルド)と弟のジェレミー(フランソワ シビル)ですが、5年前に母親が亡くなったときに帰ってこなかったジャンを責めます。妹はずっと父親とドメーヌ(ぶどう畑とワイン製造)を切り盛りしてきました。弟は大きなドメーヌの婿になり、義父からあれこれ指導を受けていました。ジャンには息子がいますが、妻とはうまくいっていないようでした。3人それぞれ問題を抱えながらもぶどうは育ち収穫の時期を迎えるのでした。
 オープニングのぶどう畑の四季折々の映像が美しいです。人間ドラマはよくある展開ですが、ぶどう畑の場面では、収穫時の季節労働者の労働形態、冬季の大胆な剪定、農薬散布を巡るトラブルなど勉強になりました。ガスマスクと宇宙服のような防護服で農薬を散布する隣の農家に「安全だと言うならマスクを外しなさい。」と詰め寄る姿には拍手!
 タバコは、妹が喫煙者で、ぶどう畑でも室内でも(窓を開けて)喫煙していました。ワインのテイスティングの訓練に子どもの頃から目隠しして味覚を鍛えている一方で味蕾を傷つけるタバコを吸っていてはお話しにならないのではないでしょうか。隣家の農薬には抗議するのに自ら畑で喫煙して畑にニコチンを散布しているのもちぐはぐです。
 ちなみに邦画でワイン作りがテーマの「ウスケボーイズ」は無煙でした。これならば国産オーガニックワインを飲むことをお薦めします。


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