無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「鹿の王 ユナと約束の旅」

2022-02-23 | 2022映画評


「鹿の王 ユナと約束の旅」 安藤雅司、宮地昌幸監督 ○

 2015年本屋大賞受賞の、上橋菜穂子原作のファンタジー小説をアニメ映画化しました。
 最強の戦士の頭ヴァン(声 堤真一)はツオルとの戦いに敗れ奴隷となり岩塩鉱で強制労働させられていました。そこへ山犬の群れが襲いヴァンも噛まれます。実はその山犬に噛まれると黒狼病になりほとんどの人が命を落とします。ところがヴァンは怪我だけですみ山犬が咥えていた子どものユナとともに逃げ出します。一方、ツオル国では黒狼病で多くの犠牲者が出ていて医師のホッセル(声 竹内涼真)は治療法の研究をしていました。噛まれても生きているヴァンの血から治療薬を作るためヴァンを探します。

 ヴァンが乗る鹿たちが食べる不思議な草が沖縄の長命草に似ていて「食と病」の関係が妙に納得してしまいました。ホッセルの「すべての命は関わり合っている」という研究と鹿の乳をはじめとする食物とそして流行病の結びつきをもう少し掘り下げるとコロナ下でもっと支持を集められたのではないかと思います。

 タバコは、なし。無煙です。


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「テレビで会えない芸人」

2022-02-22 | 2022映画評


「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督 ○ ☆

 かつてテレビでも活躍していましたがある時期から仕事はライブ活動のみにした芸人松元ヒロの姿を出身地の鹿児島テレビがドキュメンタリー映画にしました。
 学生時代にパントマイムに魅せられ研究所に通いその道を目指します。その後コミックバンドや「ニュースペーパー」などでテレビにも出ますが、演じられるネタの限界を感じ90年代末から舞台を活動拠点とします。名作「憲法くん」はじめ現在のテレビでは忖度され決して演じられない政治ネタで笑わせながら痛烈に社会批判をしています。

 今やライブのチケットは入手困難ですが、それも実は、堅実で厳しい妻の采配がある、というのは「週刊金曜日」での彼の連載を読んでいれば周知のことですがそれを含め松元自身の人間性がさまざまな場面に現れています。
このところ「テレビのお笑い芸人」は視聴者を笑わせるのではなく自分たちがお互いに笑い合っている「お笑い人」が席巻していて、その上権力者に迎合し疑惑の「お花見」に出席していながら平気でテレビに出ていたり彼らを出したり見ていたりしていることが結局はテレビ離れを助長していることに気がついていない・・・。テレビ界のみなさんにも是非見てほしい作品です。(☆)
できれば、ライブをそのまま上映してほしいものです。

タバコは、なし。無煙です。(○)


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「東洋の魔女」

2022-02-15 | 2022映画評


「東洋の魔女」 ジュリアン ファロ監督 仏 ○

 1964年の東京オリンピックで金メダルを取った「東洋の魔女」として恐れられていた女子バレーボール日本チームを描いたドキュメンタリーです。
 高度経済成長期の真っ只中、戦争で一度中止になった悲願のオリンピック東京大会が開催されます。柔道とバレーボールが新競技になり当然日本の活躍が期待されていました。一方、日紡貝塚チームはヨーロッパ遠征で各国を次々下し、「東洋の台風」から「東洋の魔女」と呼ばれるようになっていました。その陰には半日の勤務後、深夜まで続く「鬼の大松」監督の猛特訓が繰り返されていました。「負けたら日本にはいられない。」という悲壮な思いで決勝戦対ソ連に挑むのでした。

 あの瞬間を生で体験している世代としては感動もひとしおですが、それ以上に紡績工たちやさまざまな生産工場で働く労働者の姿などの映像が新鮮でした。
 「鬼の大松」監督が実はインパール作戦の生存者だったことも初めて知りました。勝ったときにベンチから立ち上がれなかった監督を見ると重圧から開放された安堵が伝わりました。
 現在も元気なメンバーの姿や当時人気だったアニメの映像、そして市川崑監督の記録映画「東京オリンピック」からの映像などの構成が巧みで魔女たちの本当の姿を知ることができました。

 タバコは、なし。無煙です。ただ、過去のフィルムでは映っていました。


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「ウエスト・サイド・ストーリー」

2022-02-14 | 2022映画評


「ウエスト・サイド・ストーリー」 スティーブン スピルバーグ監督 米 ✗
 
 1961年に公開されたミュージカル映画の金字塔「ウエストサイド物語」をリメイクしました。

 1950年代の発展著しいニューヨークのマンハッタン地区には夢と希望を求め多くの移民が暮らしていました。分断と差別で貧しい移民たちの中でもポーランド系「ジャッツ」とプエルトリコ系「シャークス」の若者たちは自分たちの生きる場を求め縄張り争いが激化していました。
 そんな折「ジャッツ」の元リーダー、トニー(アンセル エルゴート)が刑務所から出所両者の争いを沈静化させようとしますが、なんと「シャークス」のリーダーの妹マリア(レイチェル レグラー)と出会い恋に落ちてしまいます。禁断の恋は悲劇へと向かうのでした。

 楽曲がオリジナルとほとんど同じでダンスシーンも一見殆ど変わらずその上時代背景やストーリーも変わらず素人には「デジタルリマスター版か?」と思えてしまいます。
 子どもの頃この映画の影響で指鳴らしを練習した世代としてはオリジナルの衝撃を思い出させるだけの作品でした。
 スピルバーグは「僕にもできたよ」ってパパに褒めてほしかったのかな。

 タバコは、何人かが喫煙しました。この点でも時代性を感じさせませんでした。


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「大怪獣のあとしまつ」

2022-02-13 | 2022映画評


「大怪獣のあとしまつ」 三木聡監督 ✗

 大暴れした怪獣が死んだのは良かったけれど、残された死体をさてどうしよう、というすったもんだを描きました。
 怪獣が宇宙からの光のおかげで死んでホッとしたものの、死体は腐敗が始まり銀杏のような悪臭を放つようになりました。さてどうしたものかと総理大臣(西田敏行)はじめちょっと不真面目な内閣の面々は責任逃れや押し付けあい、その上いいとこ取りをしようとするばかりで死体からガスが出始め爆発することも予想されました。結局解決策を考えるのは特務隊員(山田涼介)とかつての隊員で今は環境大臣の秘書をしているユキノ(土屋太鳳)でした。

 物語の発想は大変面白いのに、おやじギャグ風の面白くもないセリフや妙に国防軍などの軍隊が目立ってしまい奇妙な内容になってしまいました。その上「選ばれし者」って宗教団体の宣伝映画かと思わせる展開でお金をかけたのが無駄だった作品になってしまいました。(観客には映画代が無駄・・・。)松竹と東映が組んだのが失敗だったのでは・・・。

 タバコは、これも妙なドレッドヘアの爆破の専門家役オダギリジョーが何回か喫煙しました。(✗)


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「前科者」

2022-02-11 | 2022映画評


「前科者」 PG12 岸善幸監督 ✗加熱式タバコ、コンビニのタバコ棚

 前科者の更生を助ける保護司の姿を描いた同名コミックを基にしたオリジナル脚本で実写映画化しました。
 保護司の阿川(有村架純)は殺人を犯した工藤誠(森田剛)を担当します。工藤は真面目に働き後少しで仮釈放の保護観察期限が終了するというときになって突然姿を消してしまいます。同じ頃連続殺人事件が起き工藤は警察から容疑者として追われるのですが。

 保護司とは、が冒頭で説明され無給の公務員という立場の説明があり、若い阿川がなぜ献身的な仕事をするのか、という疑問がわきます。刑事の一人として現れた滝本(磯村勇斗)との関係は?などミステリータッチで展開します。その上、工藤の子ども時代の過去はどこへ行っても安らぐことがない暗い話に終止します。そんな中、阿川の職場コンビニの店長(宇野祥平)との肩の力を抜いた会話と以前阿川が担当し今でも付き合いがあるみどり(石橋静河)たちとのやり取りが救いとなっています。

 タバコは、工藤の昔の知り合いが加熱式タバコを吸っていました。また、阿川の職場コンビニでのタバコの棚が目立っていました。


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「コーダ あいのうた」

2022-02-09 | 2022映画評


「コーダ あいのうた」 PG12 シアン ヘダー監督 米仏カナダ合作 ✗

 2014年フランス映画「エール!」のリメイクです。
 聾唖の両親と兄の一家でただひとり健聴者のルビー(エミリア ジョーンズ)は通訳として朝3時に起き一緒に船に乗って働いていました。新学期、ちょっとした成り行きで合唱クラブにはいったルビーは顧問の先生から才能を認められ音楽学校を勧められます。経済的にも困難でしたがそれ以上に耳が聞こえない両親は歌うことの意味や喜びがわからず戸惑います。その上ルビーが船に乗らずデートをしていたため父親の船は緊急連絡が受け取れず操業停止の処分を受けてしまいます。
 ルビーは自分の進路よりも家族を選びますが・・・。

 「コーダ」は「Children of Deaf Adults(耳が聞こえない両親に育てられた子)」 のことです。
 オリジナルの「エール!」も秀作でしたが、今作も漁業の問題も絡め冒頭で漁船の中で通信に応えたり一生懸命魚の仕分けをしたりするルビーの姿は感動です。クライマックスの発表会で突然映画の音が消えます。ルビーの家族が周囲の人達を見回し涙を流す人などを見てルビーの才能を確認する演出が素晴らしいです。そしてラストのオーディションは別の意味で感動的です。それは見てのお楽しみ。ルビーの歌声がこころに気持ちよく残ります。

 タバコは、父親がマリファナを吸っていました。(✗)オリジナルの「エール!」は無煙だったのでちょっと残念です。


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「こんにちは、私のお母さん」

2022-02-08 | 2022映画評


「こんにちは、私のお母さん」 ジア リン監督 中国 ✗

 監督のジア リンが自分自身の母親との関係をモデルにオリジナル脚本を書き主演もしたタイムスリップコメディです。
 学業も思わしくなく、体型もぽっちゃりで進路も思い通りにはいかない娘ですが、母親と交通事故に会いそれがきっかけで1981年にタイムスリップしてしまいます。工場で働く若い母親と出会い、遠くに住むいとこということで、母親の生活にあれこれ口出しをし、将来楽な生活ができるよう画策するのでした。

 多くの人が自分の両親にも青春時代があったことなど全く考えもしませんが、自分自身がシニアになってみたときに「ついこの間だった・・・。」ことに気が付かされます。
 両親が元気だったうちにもっと彼らの青春を(残念なことに戦争中とか戦後の混乱期だったかも知れませんが)聞いておけばよかったと思います。
 中国にとって80年代は日本の60年代の高度成長期同様懐かしい時代だったようで、監督とは世代は違いますが似たような感慨深さを感じました。
 テレビを手に入れる際に視覚障害者のふりをするのは賛成できません。

 タバコは、男性労働者や工場長などが喫煙していました。(✗)


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「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン 別冊」

2022-02-06 | 2022映画評


「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン 別冊」
            ウェス アンダーソン監督 米 ✗✗✗✗✗タバコ宣伝映画
 フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ誌」の支局で働く編集者たちのドタバタを監督らしい手法で描いています。
 国際問題からアート、グルメ、ファッションに至る総合雑誌の個性的な記者たちはあれこれネタを探し記事にして編集長のアーサーに見せています。あれこれ疑問に答え説明するのですが・・・。
 それぞれの記事をドラマにして見せてくれます。

 一つ一つは面白いのですが、登場人物がタバコを吸う人ばかりでそれもほとんど常に喫煙していてそればかりが気になって内容に集中できませんでした。
 日本の映画にも明らかにタバコ会社の宣伝映画を思わせる作品も毎年数本はありますが、ここまで俳優に健康被害を与えることはないと思います。
 この監督は何のために映画を撮っているのか理解に苦しみます。
 映画界のセクハラが大きな問題になっていますが、そろそろスモハラ(スモークハラスメント)も問題にしてほしいものです。

 タバコだらけ。

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「グンダ」

2022-02-05 | 2022映画評


「グンダ」 ビクトル コサコフスキー監督 ノルウェー米合作 ○

 農場に暮らす母豚グンダを中心に牛、鶏、などの姿を捉えたネイチャードキュメンタリー映画です。
 冒頭小屋の入り口にグンダこと豚の顔が見えます。結構長いこと変化はありませんが、「何がはじまるのかなあ」と不安になった頃合いになんと子豚が生まれて出てくるのです。それも次々と。そして彼らはミャーミャーと泣きながら必死におっぱいを探します。一方グンダのお腹からはまだまだ赤ちゃんが出てくるのです。場面が変わると鶏がケージから出てきます。その初めての環境をじっくりゆっくり観察しながら恐る恐る一歩ずつ出てきます。アップで足が映ると「ティラノサウルスの足」と言われればそう見えないこともありません。片足の鶏も羽毛がすっかり抜けちゃって痛々しい鶏もしっかり生きています。そうこうするうちに子豚たちは成長しグンダの後を追ってお散歩にも出かけます。牛たちも走っています。

 音楽、ナレーション、字幕などまったくなし、ヒトもなし。聞こえるのは鳥の声と彼らが出す鳴き声のみ。モノクロの映像は対象に集中させる効果があります。
 動物たちの生きる姿を見ているうちに自分が生きていることを再確認させられます。
 生まれてすぐグンダに踏まれて片足の動きがぎこちなくなってしまったあの子豚がどうなったのか気になります。

 タバコは、なし。無煙です。


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