無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「風よ あらしよ 劇場版」

2024-03-27 | 2024映画評


「風よ あらしよ 劇場版」 柳川強演出 ✗✗

 2022年NHKで放映されたテレビドラマの劇場版です。原作は村山由佳の同名評伝小説です。
 福岡の貧しい家に生まれた伊藤野枝(吉高由里子)は押し付けられた結婚から強引に逃げ出し上京、学生となり「原始 女性は実に太陽だった」という青鞜社の平塚らいてうの言葉を教えてくれた教師辻(稲垣吾郎)と暮らし始めます。辻は田舎の男と対して変わらず、青鞜社で働くようになって出会った大杉栄(永山瑛太)に惹かれ愛人のひとりになります。そして関東大震災が起きそのどさくさで中で憲兵大尉甘粕に殺されるのでした。

 女性解放の歴史に興味が多少でもあれば有名な話です。辻という平凡な男役の稲垣が「口だけ男」を好演していました。
 大逆事件とか大杉伊藤虐殺とか不当に殺された人々の名誉の回復と殺した側の贖罪は公になっているのでしょうか。過去を現在に活かすためにも「福田村事件」同様価値のある作品です。
 ただ、セリフが他の波の音などの効果音と重なり聞き取れないという映画としては致命的欠陥があることが大変残念です。
 何も知らない第三者に試写をしてもらって確認する作業くらいしてほしいものです。

 タバコは、大杉が喫煙者でした。また張り込みの刑事たちが喫煙したような吸い殻が映っていました。


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「落下の解剖学」

2024-03-08 | 2024映画評


「落下の解剖学」 ジュスティーヌ ドリエ監督 仏 ✗✗✗

 2023年第76回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作です。
雪深い山荘で父親が転落事故にあいます。すぐに駆けつけたのは視覚障害がある息子と愛犬でした。自殺か事故かそれとも殺人かと検証されます。そして同じ山荘の別の部屋にいた妻サンドラ(サンドラ ヒューラー)が疑われます。サンドラは古い友人に弁護を依頼します。裁判の過程で夫婦の関係が徐々に明らかにされるのでした。

 弁護士と検事との丁々発止のやりとりとその時の関係者の表情の微妙な変化が見どころです。タイトルのとおりどのように落下したのか詳しく「解剖」されていきます。それとともに息子が体験した数年前の事故をきっかけとした夫婦の心のすれ違いや仕事で成功している妻と仕事に不満を持つ夫との諍いが「解剖」されていくのでした。奇妙なタイトルでしたが観てみれば納得です。
 登場人物が競演していますが、もっとも名演していたのは犬でした。パルムドッグ賞ものです。ちょっとかわいそうな場面もありましたが動物愛護協会から苦情はなかったのかな。

 タバコは、喫煙者が多い作品でした。ただ、どの場面でも屋外で喫煙し、室内の場合は窓からタバコを持つ手だけ出して煙を外に吐き出していました。そこまで配慮するなら吸わなきゃいいのに、ですね。


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「52ヘルツのクジラたち」

2024-03-07 | 2024映画評


「52ヘルツのクジラたち」 成島出監督 △

 町田そのこ原作のベストセラー小説を実写映画化しました。
 貴瑚(杉咲花)は重い過去から逃れるため祖母が暮らしていた海辺の一軒家で暮らし始めます。そこで出会ったのは母親から虐待されムシと呼ばれている少年(桑名桃李)でした。言葉を発しない少年に52ヘルツのクジラの声を聞かせます。それは貴瑚自身がかつての恩人アンさん(志尊淳)に教えてもらい苦しい時すがって聴いていた声でした。

 原作ファンとして映画化が決まったときから楽しみでもあり2時間にどうやって収めるのか多少の不安もありました。切るところはバッサリ大胆にカットしそれでも原作の大枠を映像にした脚本(龍居由佳里)がお見事です。
 トランスジェンダーについて考えるひとつのきっかけにこの作品がなることでしょう。
 原作をぜひお読みください。

 タバコは、虐待をしている母親が喫煙し、吸い殻をポイ捨てする場面、また少年が言葉を発しない原因は母親がタバコを少年の舌に押し付けた、という非常にマイナスイメージが強いので△にしました。母親役(西野七瀬)には気の毒でした。


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