無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「ハケンアニメ」

2022-05-30 | 2022映画評


「ハケンアニメ」 吉野耕平監督 ☓

 アニメ業界を描いた辻村深月の小説を映画化しました。
 憧れのアニメ監督になるため地方公務員の職を投げ売って、業界に飛び込んだ斉藤瞳(吉岡里帆)は初監督作品で、天才監督と言われている王子千晴(中村倫也)とアニメ業界の覇権をかけて闘うことになります。実は天才と言われてはいるものの王子はこだわりが強く、わがままで破天荒な行動が災いしこのところ仕事をしていませんでした。その王子をプロデューサーの有科(尾野真千子)は会社の上部を説得し復活させようとします。ところが王子は雲隠れしてしまいます。一方斎藤はくせ者プロデューサー行城(柄本佑)や周囲とぶつかり合いながらも自身の子どもの頃からの夢に向かいめげながらも王子との決戦に臨むのですが・・・。

 タイトルだけで予想したのはアニメ業界で働く派遣社員のブラック労働を描いているのかと勘違いしていましたが、覇権争いの話でしたよ。斎藤と行城、王子と有科の組み合わせが対照的で面白いです。ブルーとピンクの色使いもわかりやすかったです。細部を支えている人々を描いていることも評価できます。ポーカーフェイスの柄本がラストのおまけシーンで見せるあの動きが彼の人間性をよく表していました。クレジットが終わっても明るくなるまで席を立たないように!
 ただ、ラスト近くの王子と有科のタクシー内での会話はないほうがよかったかな。雰囲気だけで十分だったと思います。

 タバコは、ちょっといやなやつ二人が非常階段で喫煙しました。でも、漫画家全員喫煙者、の時代はすっかり様変わりしましたね。


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「ツユクサ」

2022-05-24 | 2022映画評


「ツユクサ」 平山秀幸監督 ○

 それぞれのわけがあって小さな海辺の街に移り住んだ中年男女の恋をあっさりと描きました。
 五十嵐芙美(小林聡美)は気心の知れた同世代の同僚と安らかに仕事や暮らしを営んでいます。一人暮らしで男の子の写真があり、地域の断酒会に通っています。仲のいい少年航平くんとは対等の関係で親友でもあります。夜時々訪れるバーでナポリタンを食べるのも楽しみです。ある夜朝のランニングで見かける男性(松重豊)がそのバーに現れ話をするようになりました。二人はその後どうなるのでしょうか。

 隕石が落ちて芙美の車にぶつかったことがきっかけで日常に変化が起こります。悪い人は登場しない安心して見ていられる作品です。でもある意味やっぱりファンタジードラマでしょう。現実にはこううまくはことは運ばない、のでは・・・。

 タバコは、バーのオーナー役の泉谷しげるがタバコを吸うような動きを見せましたがタバコを吸う場面は見せませんでした。泉谷の年齢では命がけの1本になるところでした。


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「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」

2022-05-23 | 2022映画評


「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」 フィリッポ メネゲッテイ監督 
                フランス、ルクセンブルク、ベルギー合作 ☓

 レズビアンであることを隠してアパートの隣り合った部屋に暮らしていたドイツ人とフランス人の恋人たちが老後は一緒に暮らそうとしていたところ一方が病に倒れてしまいます。
 マドレーヌ(マルティーヌ シュバリエ)は望まない結婚後二人の子どもを育て夫と死別、子どもたちもそれぞれ独立、ひとりで暮らしています。隣には実はずっと恋人同士だったニナ(バルバラ スコバ)が住んでいてお互いに行ったり来たりしていました。二人の夢は部屋を売ってローマで一緒に暮らすことでした。マドレーヌは子どもたちになかなかそのことを切り出せないまま話は進んでいきます。そんな折マドレーヌは病に倒れてしまうのでした。

 ふたりの関係を怪しまれニナは出入り禁止になりますが、なんとかマドレーヌのそばに行こうと夜中に忍び込んだり留守の間に部屋に入ったりそのあたりはサスペンス映画です。
 病気で倒れた後のマドレーヌの視線だけの演技がもう少し目の動きを緩慢にしたほうが自然だったかなと思いました。

 タバコは、マドレーヌと子どもたちが病院に行っている間合鍵でマドレーヌの部屋に入ったニナがタバコを吸っていると子どもたちが帰宅し慌ててタバコを消してドアの影に隠れましたがタバコのニオイで普通は「誰かいた?」って気がつくのではないでしょうか。ちょっとタバコの匂いに鈍感すぎました。
 

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「教育と愛国」

2022-05-23 | 2022映画評


「教育と愛国」 斉加尚代(さいか ひさよ)監督 ○

 2017年大阪毎日放送のドキュメンタリー番組としてギャラクシー賞受賞作を追加取材し劇場版にしました。
 戦前の軍国主義教育への反省から教育は政治から切り離されてきましたが、2006年に教育基本法が改訂され「愛国心」が教科書に載ることになりました。以降教科として「道徳」も加わります。教科書検定制度が目に見えない力を持つようになります。その結果最も採用されていた教科書会社が倒産してしまうのでした。それほどの力は一体どこにあるのでしょうか。

 教科書の執筆者や発行人などへのインタビューや加害の歴史を教える教師や研究者への嫌がらせを描きこれでは学校に行きたがらない子どもが増えるのも当然だと思えます。
 歴史から学ぼうとしない学者って学者と言えるのでしょうか。 育鵬社版歴史教科書の執筆者のひちりである東大の某教授はこんなことを言っています。教育の目的は「ちゃんとした日本人をつくること」。ちゃんとしたとは「左翼ではない」。「歴史に学ぶ必要はない」とまで言っています。
 教育に関わっていない人にも広く見て考えてほしい作品です。

 タバコは、なし。無煙です。


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「シン・ウルトラマン」

2022-05-20 | 2022映画評


「シン・ウルトラマン」 樋口真嗣監督 ☓

 日本を代表する特撮SFドラマ「ウルトラマン」を「シン・ゴジラ」の庵野秀明監督と樋口監督がタッグを組み現代のウルトラマンにしました。
 なぜか国土を荒らす巨大生物が日本だけに登場するため禍威獣(かいじゅう)と名付けられ対策本部「禍特対」が組織されました。ある時大気圏外から謎の巨人が現れ巨大生物と闘います。その巨人の謎を解明するため浅見(長澤まさみ)と神永(斎藤工)はバディとなり班長(西島秀俊)のもと分析を急ぐのでした。

 難しい用語が溢れたセリフを早口でしゃべるので、オンライン授業を三倍速で聞き慣れている学生ならいざ知らず一般には何言ってるのか理解どころか聞き取れない場面が多くありました。その上妙な小ネタギャグもありせめてアニメで補足するとか字幕を入れるとか工夫をしてほしかったです。
そのため同伴者は途中眠っていたそうです。ちなみに上映後退場のとき若い女性も「いやー寝た寝た」と言っていたので年齢のせいばかりではないようです。
 核廃棄物にちらっと触れただけで社会的な面では「ゴジラ」には全く及びませんでした。「シン・ゴジラ」の「蒲田くん」のようなかわいいキャラもなく印象に残る作品にはなりませんでした。ただ、ミニチュアを作った皆さんには「お疲れ様」と言いたい。

 タバコは、なぜか班長役の西島秀俊が吸い殻が山のようになった灰皿を前に喫煙する場面がありました。最近喫煙露出が多い俳優になってしまいました。


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