無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「福田村事件」

2023-10-29 | 2023映画評


「福田村事件」 PG12 森達也監督 ✗✗

 関東大震災の数日後、多くのデマにより朝鮮人労働者や社会主義者などが数千人虐殺されたという。この虐殺事件を題材にドキュメンタリー映画の森監督が長編劇映画にしました。
 1923年澤田夫妻(井浦新、田中麗奈)は朝鮮半島から故郷の福田村に引き上げてきました。軍国主義一色の地域でしたが同級生の市長田向(豊原功補)は澤田に教職についてくれないかと頼みます。しかし、澤田には妻にも言えない過去がありました。
 そんな折大地震が起き、冷遇されている朝鮮人が「火をつけた」「井戸に毒を入れた」など流言飛語が蔓延します。一方、讃岐から薬の行商に来ていた一行は言葉がおかしいなどの難癖をつけられ逆上した村の人々に取り囲まれてしまうのでした。

 さまざまなメディアで取り上げられている作品なので、多くの人に観てほしいとは思います。ただ、セリフが聞き取れない、聞き取りにくいという難がありました。この作品に限らずセリフがはっきりしないことをなんとも思っていない制作者が多いのか、せっかく練られた言葉が観客に伝わらないことにもっと真剣に対応してほしいと常々願っています。できれば、日本語字幕をすべての作品につけてほしいです。
 バリアフリーの観点からも文化をすべての人に楽しんでもらえるよう予算をつけてほしいですね。

 タバコは、残念ですがいくつかの場面で喫煙していました。「日本政府が国民の健康をないがしろにしている」という事実も制作者には考えてほしいものです。


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「キリエのうた」

2023-10-22 | 2023映画評


「キリエのうた」 岩井俊二監督 ✗

 岩井俊二のオリジナル作品です。
 歌うことはできても話すことがうまく出来ないストリートミュージシャンの自称キリエ(アイナ・ジ・エンド)は不思議な女性イッコ(広瀬すず)と出会います。二人はミュージシャンとして成功しようとオーディションを受け、一定の評価を受けます。一方キリエの過去が次第に明らかになっていくとともに本当のキリエの妹るかとイッコを結ぶ青年夏彦(松村北斗)との関係が明らかになっていくのですが・・・。

 叙情的な岩井監督らしい作品ですが、ちょっと長すぎです。繋がっていくいくつかの物語を一つにまとめているので長くなることは仕方がないかもしれませんがもうちょっとなんとかなるのではないでしょうか。また、以前からのファンとしては既視感がある場面がいくつかありました。
 311を作品に織り込むことには大賛成です。さまざまな形で語り継いで生きたいものです。

 タバコは、高校生当時のイッコの母親が経営するスナックで自ら喫煙していました。飲食店での喫煙はだめでしょう。


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「バッド・ランズ」

2023-10-21 | 2023映画評


「バッド・ランズ」 PG12 原田眞人監督 ✗

 黒川博行の小説「勁草」を映画化、特殊詐欺を仕切っている姉弟を主人公にしたクライムサスペンス作品です。
 大阪の貧困ビジネスの舞台になりそうな地域でネリ(安藤サクラ)は名簿屋の高城(生瀬勝久)をトップに高齢者を狙ったオレオレ詐欺を仕掛けていました。一方警察では特殊詐欺対策の班長日野(江口のりこ)の指揮で網を張っています。
ネリには子どもの頃の辛い過去があり血が繋がらない弟ジョー(山田涼介)とともに命がけで生きていました。
 ひょんなことから二人は3億円もの大金を手に入れヤクザや警察から追われますが・・・。

 詐欺師と警察の攻防が見どころの一つです。原作は読んでいませんが伏線の回収が見事です。
安藤を筆頭に江口など女性が映画を動かしているのも小気味よいです。天童よしみの役もご愛嬌でいいです。
 面白い作品なのに朝一番(8:20)の回は貸し切り状態でちょっともったいなかったな。

タバコは、生瀬(1960年生)が喫煙者役、撮影中倒れるなんてことがなくてよかったですね。賭場の参加者に喫煙者がいました。演出上必要なタバコはありましたがライターの火を点けただけでした。ヤクザと警察の映画でもタバコの場面は随分少なくなりました。スモークハラスメントが定着してきたかな。


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「ゆとりですが、なにか インターナショナル」

2023-10-20 | 2023映画評


「ゆとりですが、なにか インターナショナル」 水田伸生監督 ◯

 人気テレビドラマの劇場版です。
 「野心も競争意識も協調性もない」と揶揄される「ゆとり世代」も30代後半となりそれぞれ人生の岐路にいます。坂間(岡田将生)、夫婦仲と事業に苦戦、山路(松坂桃李)は相変わらず女性とうまくいかず、道上(柳楽優弥)は中国で失敗し今は無職・・・。その上時代は、働き方改革、テレワーク、多様性、グローバル化の波が次々押し寄せどちらを向いてもゆとりはありません。

 ドラマを見ていた人にはおなじみと思われるシーンが満載でちょっとにぎやかすぎる印象です。特に吉田鋼太郎が絡んだシーンをカットすると随分落ち着くかなとも思いました。(吉田さんが悪いわけではないけれど。)心に刺さる名台詞(脚本 宮藤官九郎)がにぎやかさに埋もれてしまったのが残念です。
安藤サクラが登場すると場面が一気に落ち着くのは名優だからかな。

 タバコは、なし。無煙です。

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