無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「シー・セッド その名を暴け」 

2023-01-17 | 2023映画評


「シー・セッド その名を暴け」 マリア シュラーター監督 米 ○☆

 映画製作会社の大物プロデューサーが長い間繰り返していた性的暴行を告発した新聞記者の回顧録を基に映画化しました。
 ニューヨークタイムスの記者ミーガン(キャリー マリガン)とジョディ(ゾーイ カザン)は映画プロデューサーのハーヴェイ ワインスタインが関係者に性的暴行を行っていたことを記事にするため取材を始めますが、関係した女性たちは示談と引き換えに二度とこの件について話さないという制約を受けていました。その上取材していることに対しても記事を潰そうという動きまでありました。

 さまざまな葛藤の末証言をする被害者たちのつらい思いがよくわかる編集になっています。将来に希望をいだいて仕事についた女性たちを未来まで奪ってしまうような行為には腹が立ちます。しかし、さまざまな彼女たちの勇気のおかげで「#me too」運動が世界に広がりました。
 仕事をしている場面だけでなく育児鬱やパートナーが主体的に育児をする姿などが自然に描かれている働く女性応援映画でもあります。(☆)
 唯一気になったのは日本語字幕で白のバックに白の字体だと読みにくいのです。戸田奈津子さんだときちんと対応していましたが、担当した方もっと気を使ってね。

 タバコは、なし。無煙です。


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「天上の花」

2023-01-16 | 2023映画評


「天上の花」PG12 片嶋一貴(かたしまいっき)監督 ☓☓

 萩原朔太郎の娘葉子の小説「天上の花 三好達治抄」が原作です。
 日本が戦争への道を進みつつある頃詩人の萩原朔太郎(吹越満)のもとを若い三好達治(東出昌大)が訪れます。ちょうど娘の慶子(入山法子)が琴を奏でていました。三好は一目惚れしますが慶子はすでに佐藤春夫と結婚が決まっていました。十数年後佐藤が亡くなり三好は妻子と強引に別れ慶子を越前の田舎町に迎えます。戦局は泥沼に入り三好にろくな仕事はなく、貧しさを知らない慶子は不満を抱え一方三好は思うようにならない慶子に対し暴力をふるうようになるのでした。

 登場人物が文芸的なだけでいわゆる典型的なDVを描いています。こういう男に惚れられた女は不幸としか言えません。時代的にはしかたがなかったかもしれませんが近くにいる女性が加害者の男を庇うのもなんともやりきれません。「さっさとお逃げなさい。」となぜ言ってあげなかったのか。慶子が「戦争に負けて男尊女卑がなくなればいい。」という意味のセリフがありましたが、70年経っても残念ながらなかなかなくなりません。
 戦時下の文学についてもっと言及しても良かったのではないかと思いました。
名前を知らない俳優さんがいい演技を披露してくれました。 

 タバコは、東出が喫煙者でそのほかにも喫煙者が登場していましたが、さすがに吹越(1965年生)は手にしただけで吸いませんでした。


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「イチケイのカラス」

2023-01-15 | 2023映画評


「イチケイのカラス」 田中亮監督 ○

 浅見理都の同名コミックを原作にしたドラマの劇場版です。
 東京地方裁判所第3支部第1刑事部通称イチケイから岡山県の小さな町に移動した入間みちお(竹野内豊)はイージス艦と地元の貨物船との衝突事故に関連した事件を担当します。同じイチケイにいた坂間千鶴(黒木華)も偶然隣町で弁護士事務所を開き、小さな事件をきっかけに同じ街の人権派の弁護士月本(斎藤工)と出会います。
 国家権力と大企業を向こうにまわした戦いが始まるのでした。

 企業城下町特有の「会社があってこそ」というしがらみに巻き取られている地元の人々の苦悩、国家を相手にしたときの容赦のない仕打ちなどドキュメンタリー映画では重く辛い作品となるテーマを小ネタで笑わせながら娯楽映画にして一般化した功績は大きいと思います。
 ラストで裁判所は公平でなければならないというメッセージが現在の司法に届くことを願わずにはいられません。
 願うだけでなく権力側に立つ裁判官には国民審査で「☓」をつけ目を覚まさせてあげましょう。

 タバコは、なし。無煙です。

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「RRR (アール アール アール)」

2023-01-14 | 2023映画評


「RRR (アール アール アール)」 S.Sラージャマウリ監督 ☓ ☆

 あの「バーフバリ」の監督が1920年頃の英国植民地時代のインドを舞台にまたまた壮大なアクション作品を届けてくれました。
 横暴な英国人に大切な妹を拉致されたビーム(ラーマ ラオ Jr,)はなんとか救い出そうと英国軍の基地近くの街に潜伏します。一方ラーマ(ラーヌ チャラン)は英国軍に村人を虐殺されたため、「武器を用意する」目的で警察官となり出世を目指します。立場が異なる二人ですがひとりの少年を救ったことから真の目的を明かさないまま親友になります。しかし、時が過ぎ、二人は友情を選ぶかそれぞれの目的を達成させるか選択を迫られるのでした。

 「stoRy」「fiRe」「wateR」の「R」がタイトルです。
バックに流れるマハラジャ音楽に載せられ豪快なアクションが次々仕掛けられます。人口が世界一位のインドらしくエキストラも世界一でしょうか、とにかく桁違いです。
 ストレス発散には最適な爽快な作品です。(☆)

 唯一欲を言えば、ラストのエンディングダンスでは敵役の俳優たちも一緒に楽しくマハラジャダンスを踊ってほしかったです。彼らが憎々しい演技をしてくれたおかげで盛り上がったわけですから、映画が終わればノーサイド、あの残酷なおばさんたちにもニコニコ笑って踊る姿が観たかったです。

 タバコは、英国人が葉巻を吸っていました。マイナスイメージでした。


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「かがみの孤城」

2023-01-13 | 2023映画評


「かがみの孤城」 原恵一監督 ○ ☆

 辻村深月のベストセラー小説をアニメーション映画にしました。
 ある理由があって学校に行けないこころ(声 当真あみ)は部屋に閉じこもっていましたがある時部屋にあるかがみが光を放ちその中へ吸い込まれるように入っていきます。かがみの中は大きなお城でそこにはこころのような中学生が6人と「オオカミさま」(声 芦田愛菜 うまい!)がいました。
 快適な空間と仲間が気に入り毎日のようにかがみの中で過ごすのですが・・・。

  こんな世界があったらいいな、と思う当事者は多いかもしれません。教育者や保護者等子どもに関わる人々に観てほしい作品です。
 音楽(富貴晴美)が上品で押し付けがましさがなく、それでいて魂の琴線に触れる効果を出しています。
 脚本の丸尾みほが文庫本2冊の物語をほぼ原作通りで2時間以内に収めた功績は大きいです。オオカミさまはじめキャラクターがイメージ通りでした。

 タバコは、なし。無煙です。


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「非常宣言」

2023-01-12 | 2023映画評


「非常宣言」 ハン ジェリム監督 韓国 △ ☆

 ウィルステロに襲われた飛行機内とそれに対応する人々を描いたパニックスリラーです。
 飛行機恐怖症のパク ジェヒョク(イ ビョンホン)は娘と共にハワイ行きの飛行機に乗り込みますが離陸後次々と乗客が血を流し倒れます。そういえば空港で娘におかしな振る舞いをした男が同乗していました。一方SNS上にテロの予告があることを知った刑事ク イノ(ソン ガンホ)は家族が同機に登場していたこともあり積極的な捜査に乗り出しますが・・・。

 主役二人の場面を交互に描く演出が巧みです。音楽(イ ビョンウ、チョン ジフン)がその変化をわかりやすく盛り上げています。
ウィルステロとわかるとアメリカや日本だけでなく自国民さえ着陸を拒否する態度に「非常宣言」ではなく「非情宣言」かと思うくらいです。
 対応にオタオタする政府関係者が描かれていますが、日本の政治家を見ていると現実に同じことが起きたらどうなるのか大変心配です。友好的な外交をお願いしたいものです。

 タバコは、刑事の仲間が喫煙する場面がありましたが、さすがにソン ガンホは喫煙していませんでした。


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「ファミリア」

2023-01-11 | 2023映画評


「ファミリア」 成島出監督 △

 山里で陶芸をしている誠司(役所広司)のもとにアルジェリアでプラントエンジニアをしている息子・学(吉沢亮)が現地で知り合った妻を伴って訪れます。学は父と妻と三人でここで暮らそうか、と考えますが「陶芸では食えない」と反対されアルジェリアへ戻ります。一方誠司は隣町の団地に住むブラジル人の青年を助けたことからブラジル人コミュニティと関係ができます。
 ところが、在日ブラジル人への強い憎悪を持つ地元のヤクザ(MIYABI)はブラジル人の青年たちを暴力的に執拗に追い詰めるのでした。
 そんな折アルジェリアに戻った学を悲劇が襲います。

 タイトルが示すように「家族」を問うドラマです。愛する家族の危機をさまざまな形でなんとかしてあげたいと奔走する姿を描きます。辛い現実を受け入れながらも国籍とか文化、環境を乗り越えて家族になろうという希望が見えてきます。

 半グレの男たちが喫煙する姿はありましたが、マイナスのイメージでした。


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「窓辺にて」

2023-01-06 | 2023映画評


「窓辺にて」 今泉力哉監督 ☓

 監督自身のオリジナル脚本による大人のラブストーリーです。
 フリーライターの市川(稲垣吾郎)はある文学賞の授賞式で高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)と出会います。受賞作「ラ・フランス」に対しての質問をきっかけに二人はその後も時折話をするようになります。実は市川は編集者をしている妻の紗衣(中村ゆり)が担当作家と浮気をしていることを知ったときに全く怒りがわかなかった自分に戸惑っていました。そこで久保の小説のモデルとなった何人かと話をするようになります。はたして市川の悩みは解決するのでしょうか。

 ワイワイガヤガヤの場面はなく落ち着いた喫茶店やラブホの一室などを舞台にして2,3人での会話を楽しむ作品です。笑顔はあったかもしれませんが笑い声はほとんどない静かな会話です。録音がよく聞き取れないセリフはひとつかふたつしかありませんでした。
 映画そのものとは関係がありませんが、小道具としてパフェが出てきて主人公の市川同様最近食べていないのでパフェを食べていた高校時代を懐かしく思い出しました。

タバコは、留亜の育ての親であるおじが喫煙者で「これ1本吸ってから話しますね。」とゆっくり吸っていました。

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