kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

富士通の本気

2016-10-14 15:50:37 | 日記
14日の東京市場は3営業日ぶりに反発し終値は前日比82円高の1万
6856円でした。もっとも週間ベースでは僅か4円の値下がりとなり1万
7000円台を維持できたのは3連休明けの11日だけでした。市場関係
者が期待するような1万7000円固めはなかなか厳しそうだというのが
現状でしょうか。

もっとも来期の純利益が急回復すると伝えられたファーストリテイリン
グとサウジの政府機関と大型の投資ファンドを設立すると伝えられた
ソフトバンクの2銘柄で日経平均を88円押し上げたとの指摘もあり相場
の手詰まり感は相変わらずです。SQ当日でも売買代金は2兆円を僅か
ですが下回り相場のエネルギー不足は深刻なようです。

2銘柄以外で市場の注目を集めたのが子会社ニフティの売却報道が
あった富士通です。9月にはカーナビゲーションを手がける富士通テン
をデンソーに売却することも決め、パソコン事業もレノボグループに事
実上売却すると伝わりました。長年ソフト・サービス事業に経営の軸足
を移すといいながらなかなか既存ハード事業が整理が進みませんでし
たが、矢継ぎ早の動きは市場から評価されたようです。

かねてか日本企業の選択と集中はスピードと大胆さにかけると指摘さ
れてきました。終身雇用を基本とする日本企業は売却先にも雇用の保
証を要求するなどハードルの高さから思い通りに事業売却が進まない
ケースが多かったようです。また黒字基調を続けている間は収益力が
低くてもなかなか売却という選択肢が出てきませんでした。

富士通以外でも多くの子会社を抱えている企業は沢山あります。本業
との相乗効果が薄く利益率の低い事業もかなり見受けられます。今回
矢継ぎ早に子会社の売却報道が続いた富士通ですが、筆頭株主で42
%出資している富士通ゼネラルとは相乗効果があるとは思えません。

富士通ゼネラルはエアコン事業に経営資源を集中したことが効果を生
み高収益体質に生まれ変わりました。その意味ではお荷物だったパソ
コン事業などとは違う存在なのかもしれませんが、富士通が本気で選
択と集中を考えているなら株価の高い今が売り時かもしれません。その
資金を上手に利用して本業との相乗効果が期待できる事業を手に入れ
るべきかもしれません。

日本の電機産業は地盤沈下が叫ばれて久しいですが、ソニーはゲーム
とCMOS半導体を軸に成長の足がかりを掴みました。東芝も世界第2位
のフラッシュメモリ事業と原子力事業を主軸に据えて再建を目指します。
日本の電機産業が世界市場を席巻した時代は既に過ぎ去り選択と集中
を進めなければ生き残ることさえ難しい時代になりました。富士通も日立
も遅ればせながらもう一段の選択に舵を切ったところです。しかし主力事
業の強化策はこれからです。

15日、16日の更新はお休みします。



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羹に懲りて膾を吹く

2016-10-14 07:59:49 | 日記
13日の東京市場は米国株が下げ止まり円相場も104円前半という流れを
受け再び1万7000円回復も期待されましたが、人民元ベースで中国の貿易
統計が前年同月比から減少するというニュースが伝わり中国景気懸念が
再び蒸し返され上昇して始まった東京市場は11過ぎにマイナスに沈みその
後も下値でもみ合う展開で終わりました。

海外短期筋の円買い、株売りが強まったことが下げの背景にあるようです
がそれだけ短期筋の売買動向に左右される相場であることを示しています。
結局今週も1万7000円を越えたのは1営業日だけとなりそうで1万6000円割
れという懸念も少ない代わりに1万7000円定着ということも容易いことでは
ないことを暗示しているようです。

今日のミニSQ前の最終売買日だったことも多少影響したのかもしれません
が、もともと秋には世界的な株価暴落が何度か発生し投資家心理を萎縮さ
せているという背景があります。10月の上昇も短期筋主導によるものだった
だけに11日の1万7000円回復で高値警戒感もあって投資家心理は僅かな悪
材料にも敏感に反応しやすいこともあったのでしょう。

振り返れば10月は歴史的に波乱相場のリスクが高まりやすい。世界大恐慌
(1929年)、ブラックマンデー(1987年)、米大手ヘッジファンドLTCM(ロング
ターム・キャピタル・マネジメント)の営破綻とロシア危機(1998年)などがあり
ましたが、その他にもギリシャ危機が発生したのが2009年10月、2010年には
危機はスペインやポルトガル、アイルランド、イタリアと欧州全体に広がりま
すが、やはりその時期は11月でした。

ドイツ銀行問題やBrexit問題など欧州には危機に繋がる懸案事項はまだ解
決の目処はたっていません。確かにリーマン・ショック以降国際的な政策協
調の枠組みが整い、極端な金融・財政システムの悪化リスクは後退してい
ます。それでも金融市場を揺さぶる諸問題はまだまだ出てきそうです。

現時点で日米の企業業績に大幅に明るい材料がある訳ではありません。
米国市場にしても夏1万8700ドルを越えるに株高が先行しましたが、株価
に連動するように業績がどこまで改善しているのか決算発表シーズン本
番を迎えて強弱感がでる局面です。日本株にしても昨年前半のように円
安進行とともに株高が進むといった相場環境ではありません。米国株との
連動性は再び強まっています。

市場が「羹に懲りて膾を吹く」ということで僅かな物音でも驚きが広がると
いう警戒心が高まるのも分からない話ではありません。終わってみれば
数々の懸念材料も杞憂だったと言われるかもしれませんが、長期投資家
不在の相場では日々相場の雰囲気が変わってしまうという神経質な展開
が続きそうです。


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