三井記念美術館の『琵琶湖をめぐる近江路の神と仏 名宝展』を見て「そうだ、近江行こう」なんてつぶやいていたら、ほんとに近江に行くチャンスがやってきた。あそこも行きたい、いや、ここも、と迷う場所はたくさんあったのだけど、秋旅行はまず近江(滋賀県)から。
■西国第三十番 厳金山宝厳寺[竹生島](滋賀県東浅井郡)
前回は、ご本尊ご開帳中の2009年5月だったから3年半ぶり。月日の経つのは早いなあ。長浜港から、前回より1本遅い10:15発→10:45竹生島着、12:05竹生島発→12:35長浜着を利用した。平日(金曜日)だったので、往路は20人くらいしか乗っていなかったが、復路は今津港発の団体さんが乗ってきて、かなり混んだ。唐門と船廊下は、私の大好きな風景である。フェリーの中では、昨年の大河ドラマ『江』にからめて、竹生島と浅井家のゆかりを紹介するビデオが流れていたが、宝厳寺では、源平の人々と竹生島に焦点をあてた展示パネルを読み込む。平家物語の「平経正の竹生島詣」って、ヘンな話だなあ。何がしたかったんだ、竹生島の龍神は…。
■長浜城歴史博物館 特別展『湖北の観音-信仰文化の底流をさぐる-』(長浜会場、2012年9月7日~10月14日)
いろいろ迷ったけど行っておくか、くらいの気持ちで会場に入ったら、ズラリ居並んだ仏像に心拍数が上がる。しかも等身大を超える大型の仏像多し。本展は、湖北地方に伝わる観音像33体を展観する。うち24体が平安時代の木造仏という、古えの香りゆかしい展覧会である。
2階、会場冒頭の十一面観音立像(善隆寺/和蔵堂)はシャープで秀麗な顔立ち。寺の所在地を調べたら、西浅井郡=湖西線方面か~。いまだ行ってみようと思ったことのないエリアである。赤後寺の木造菩薩立像は、2010年の高月・観音の里ふるさとまつりで拝観している。充満寺の十一面観音立像も見覚えがあるのに、お寺の名前に記憶がなく、あとで西野薬師観音堂のことか!と解決した。堂々した厚みのある体躯に、細いウェストのプロポーションが私好み。来現寺の聖観音像の、強い呪力を感じさせる横顔もよかった。以上は、国の重文指定も受けている優品。
ほかは、素人目にも稚拙な修復の痕が見られたり、後補の持物や宝冠が不釣り合いな像もないではなかったが、そうしたことも含めて、地域の人々に尊崇され、大切に守られてきた歴史を感じさせる仏像が多かった。ここも展示ケースの奥行きが浅めなので、大きな仏像は、ぐいぐい寄って見られるのが嬉しい。背景に黒or紺の布を張っただけのシンプルな装飾が、展示品の雰囲気によく合っていた。
写真豊富な展示図録(制作=サンライズ出版)はお買い得だと思うが、表紙に赤後寺の千手観音と石道寺の十一面観音の写真を大きく掲載しちゃっているのは、いかがなものか。この二体は「参考」として図録に写真が掲載されているものの、原品は展覧会に出陳されていないのである。あとで誤解を招かないかなあ。
3階は文書資料など。5階、展望台から一望する琵琶湖の風景も面白かった。長浜から彦根や安土までの距離感がよく分かった。
■渡岸寺観音堂(向源寺)
引き続き、長浜で遊んでいくつもりだったが、高月会場でも『湖北の観音』展を開催中だと分かったので、時刻表を調べ、1時間に1本の列車をつかまえて、高月に北上する。午後4時閉門の渡岸寺観音堂(向源寺)を先に拝観。ううむ、やっぱり文句なくいい。拝観客が絶えないので「平日でもお客さんが多いんですね」と聞いたら「そんなことない。少ないよ。100人か90人くらい」とおっしゃっていた。忘れられがちだが、観音像の隣りの大きな木造大日如来坐像も好きだ。
■高月観音の里歴史民俗資料館 特別展『湖北の観音-観音の里のホトケたち-』(高月会場、2012年9月12日~10月21日)
たぶん、現在の建物に建て替わる前に、一度来たことがあるのではないかと思うのだが、ほぼ初訪問に等しい。パンフレットを見ると、通常は「高月の歴史と民俗」を常設している2階スペースが、全て今回の特別展に置き換わっている。約20件。ただし、高月所在の仏像でも優品は長浜会場で展示。また、ふだんはこの資料館に寄託されている横山神社の馬頭観音立像も長浜行き。したがって、高月会場の展示のほうが、うーん、と、表現が難しいが、鄙びている。目の覚めるような美形はいないが、純朴な微笑が愛らしい仏様もいらっしゃる。
以前、「観音の里ふるさとまつり」で拝観してびっくりした、正妙寺の千手千足観音立像もお出ましで、すごく近くでまじまじと見つめてしまった。
この『湖北の観音』展は、長浜と高月、二つの会場の連携によって行われており、面白い試みだなと思ったが、図録を見たら、両館の館長はおひとりの方が兼務しているようだ。そう言えば、高月町は、市町村合併で長浜市の一部になってしまったんだな。2010年、高月の「観音の里ふるさとまつり」で「ここ長浜市の…」と言われて、全くピンとこなかった記憶がある。
この日の観光はここまで。まだ日も高かったので、宿泊先の敦賀まで、余裕で移動できると思っていたら、まず高月で、次の列車まで40分待ち。やっと来た列車は途中の近江塩津止まりで、さらに乗り継ぎに30分待ち。しかし、人家の少ない北近江の風景には心癒された。特に余呉はよかったなー。また行ってみたい。
■西国第三十番 厳金山宝厳寺[竹生島](滋賀県東浅井郡)
前回は、ご本尊ご開帳中の2009年5月だったから3年半ぶり。月日の経つのは早いなあ。長浜港から、前回より1本遅い10:15発→10:45竹生島着、12:05竹生島発→12:35長浜着を利用した。平日(金曜日)だったので、往路は20人くらいしか乗っていなかったが、復路は今津港発の団体さんが乗ってきて、かなり混んだ。唐門と船廊下は、私の大好きな風景である。フェリーの中では、昨年の大河ドラマ『江』にからめて、竹生島と浅井家のゆかりを紹介するビデオが流れていたが、宝厳寺では、源平の人々と竹生島に焦点をあてた展示パネルを読み込む。平家物語の「平経正の竹生島詣」って、ヘンな話だなあ。何がしたかったんだ、竹生島の龍神は…。
■長浜城歴史博物館 特別展『湖北の観音-信仰文化の底流をさぐる-』(長浜会場、2012年9月7日~10月14日)
いろいろ迷ったけど行っておくか、くらいの気持ちで会場に入ったら、ズラリ居並んだ仏像に心拍数が上がる。しかも等身大を超える大型の仏像多し。本展は、湖北地方に伝わる観音像33体を展観する。うち24体が平安時代の木造仏という、古えの香りゆかしい展覧会である。
2階、会場冒頭の十一面観音立像(善隆寺/和蔵堂)はシャープで秀麗な顔立ち。寺の所在地を調べたら、西浅井郡=湖西線方面か~。いまだ行ってみようと思ったことのないエリアである。赤後寺の木造菩薩立像は、2010年の高月・観音の里ふるさとまつりで拝観している。充満寺の十一面観音立像も見覚えがあるのに、お寺の名前に記憶がなく、あとで西野薬師観音堂のことか!と解決した。堂々した厚みのある体躯に、細いウェストのプロポーションが私好み。来現寺の聖観音像の、強い呪力を感じさせる横顔もよかった。以上は、国の重文指定も受けている優品。
ほかは、素人目にも稚拙な修復の痕が見られたり、後補の持物や宝冠が不釣り合いな像もないではなかったが、そうしたことも含めて、地域の人々に尊崇され、大切に守られてきた歴史を感じさせる仏像が多かった。ここも展示ケースの奥行きが浅めなので、大きな仏像は、ぐいぐい寄って見られるのが嬉しい。背景に黒or紺の布を張っただけのシンプルな装飾が、展示品の雰囲気によく合っていた。
写真豊富な展示図録(制作=サンライズ出版)はお買い得だと思うが、表紙に赤後寺の千手観音と石道寺の十一面観音の写真を大きく掲載しちゃっているのは、いかがなものか。この二体は「参考」として図録に写真が掲載されているものの、原品は展覧会に出陳されていないのである。あとで誤解を招かないかなあ。
3階は文書資料など。5階、展望台から一望する琵琶湖の風景も面白かった。長浜から彦根や安土までの距離感がよく分かった。
■渡岸寺観音堂(向源寺)
引き続き、長浜で遊んでいくつもりだったが、高月会場でも『湖北の観音』展を開催中だと分かったので、時刻表を調べ、1時間に1本の列車をつかまえて、高月に北上する。午後4時閉門の渡岸寺観音堂(向源寺)を先に拝観。ううむ、やっぱり文句なくいい。拝観客が絶えないので「平日でもお客さんが多いんですね」と聞いたら「そんなことない。少ないよ。100人か90人くらい」とおっしゃっていた。忘れられがちだが、観音像の隣りの大きな木造大日如来坐像も好きだ。
■高月観音の里歴史民俗資料館 特別展『湖北の観音-観音の里のホトケたち-』(高月会場、2012年9月12日~10月21日)
たぶん、現在の建物に建て替わる前に、一度来たことがあるのではないかと思うのだが、ほぼ初訪問に等しい。パンフレットを見ると、通常は「高月の歴史と民俗」を常設している2階スペースが、全て今回の特別展に置き換わっている。約20件。ただし、高月所在の仏像でも優品は長浜会場で展示。また、ふだんはこの資料館に寄託されている横山神社の馬頭観音立像も長浜行き。したがって、高月会場の展示のほうが、うーん、と、表現が難しいが、鄙びている。目の覚めるような美形はいないが、純朴な微笑が愛らしい仏様もいらっしゃる。
以前、「観音の里ふるさとまつり」で拝観してびっくりした、正妙寺の千手千足観音立像もお出ましで、すごく近くでまじまじと見つめてしまった。
この『湖北の観音』展は、長浜と高月、二つの会場の連携によって行われており、面白い試みだなと思ったが、図録を見たら、両館の館長はおひとりの方が兼務しているようだ。そう言えば、高月町は、市町村合併で長浜市の一部になってしまったんだな。2010年、高月の「観音の里ふるさとまつり」で「ここ長浜市の…」と言われて、全くピンとこなかった記憶がある。
この日の観光はここまで。まだ日も高かったので、宿泊先の敦賀まで、余裕で移動できると思っていたら、まず高月で、次の列車まで40分待ち。やっと来た列車は途中の近江塩津止まりで、さらに乗り継ぎに30分待ち。しかし、人家の少ない北近江の風景には心癒された。特に余呉はよかったなー。また行ってみたい。