「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

縁は異なもの味なもの

2015年02月13日 | オーディオ談義

「縁は異なもの味なもの」という諺がある。

広辞苑によると「男女の縁は不思議なものである」とある。まるで官僚答弁みたいな素っ気ない解説だ
(笑)。そこでググってみたらこうあった。現代では用語の意味はネットを利用する方が“微に入り細をうがつ”ようで著名な辞書ももはや形無しである。

「男女の結びつきはどこでどう結ばれるか分からず、非常に不思議で面白いものだということ。理屈では説明できない縁があるという意味。異性関係以外で使うのは本来は誤りだが、現在ではそれ以外の結びつきにも使われるようになっている。」

今回は(異性関係以外の意味で)実に「不思議な縁」に遭遇したので記してみよう。

昨年の10月にオークションで手に入れた念願のオリジナルユニット「AXIOM80」(最初期版)。既に復刻版を2セット持っていたが、こればかりは「似て非なるもので全然別物」との周囲の大合唱にとうとう根負けした(笑)。しかし、鳴らしはじめて4か月ほど経過したが、期待通り非の打ちどころがない音質に十分満足している。

購入当時、「これほどのユニットを手放す人はいったいどういう人なんだろう」と思ったが探る術(すべ)はまったくなかったし、送り主の住所氏名も心当たりがまったくなかった。まあ分かったとしても“詮無い”ことではある。ただ唯一の手がかリとなるオークションの解説文にはこうあった。

「オーディオマニアの叔父が使っていたもので定かではありませんが1940年代終わりか1950年の初めごろに購入されたと聞いております。GOODMANS社のAXIOM80の最初期タイプ保管品の出品です。目視チェックしたところコーン紙の状態は非常に良く破れや補修跡が無い備品状態です。

このような極上ユニットは今後出品されることはまずないと思います。ヴァイオリン、ピアノ、ボーカル、ジャズのピアノトリオはスピード感のあるこれ以上ないサウンドを聴かせてくれます。また、AXIOM80のレプリカユニットもありますが外観は同じでもオリジナルとは似ても似つかないサウンドですからレプリカをお持ちの方はぜひ最初期タイプのオリジナルユニットを落札して聴いてください。

2本で一セットになります。テスト試聴では2本とも問題ありませんでした。65年前のユニットですから写真を参考にしてノークレームノーリターンでお願いします。」

           

以上のとおりだが、
単なる遺品整理にしては随分と詳しい解説だと思ったことを記憶している。

オーディオ仲間に(ネットを)見てもらったら「これは紛れもなくコーン紙の色具合といい、カンチレバー(白色で囲んだ部分)といい、極めて珍しい最初期版のユニットです。当時は日本で発売されてなかったので熱心なマニアがイギリスからわざわざ直輸入したものでしょう。」と太鼓判を押してもらったので、「清水の舞台から飛び降りる」思いで購入した。

ところが、この出品者の素性がこのほどようやく判明したのである。

それは一通のメールからだった。(2月10日)

名古屋市にお住いのYさんは中部地区真空管アンプ研究会のお世話役として活躍されていてすでに存じあげている方である。「無線と実験」誌にその活動記録を掲載されるなどその筋では著名な方でもある。

一時ブログを通じて「吸音材に羽毛を使用する」などの情報交換をしていたが、自然消滅でこのところ3年余り音信不通でまったく忘却の彼方だった。なぜ今ごろになってメールがという思いだが、名管「PP5/400」真空管の愛好家なので、おそらくつい最近の当方のブログが偶然目に触れて思い出されたのだろう。

Yさんからのメールの中身は次のとおり。

「〇〇さん、お元気で何よりです。axiom80は名ユニットです。このユニットに関してキット屋の私のコラムに使いこなしを載せてあります。写真を見れば気が付くかも知れませんがこのユニットは私が出品したaxiom80ですよ、まさか〇〇様が落札とは不思議な縁ですね。
 
まだ手元に1セットありますからじっくりと調整しようと思って現在大阪のショップに点検中で送ってあります。私のシステムはCDPからPCオーディオに切り替えました、PCオーディオにトランスをかませますと音は激変します。CDとアナログを比較しましたらCDのがよりコクとふくよかさ細かいニュアンスが出ています。マスターテープを聴くような音です。ちなみにトランスはWEの618Bです。このトランスは最高のサウンドを聴かせてくれます。」

これを読んで、エ~ッとビックリ仰天。(送り主の名前が違っていたのでおそらく委託出品だったのだろう。)

「人生には上り坂と下り坂があるがもう一つ“まさか”という坂がある」とは、小泉元首相の弁だがその“まさか”である(笑)。

すぐに次のようなメールを送った。

「いやあ、驚きました!そうでしたか・・・。とても程度のいいAXIOM80を、しかも最初期版を手に入れて大喜びでしたが、まさかY様の出品とは想像もつきませんでした。改めてお礼申し上げます。実に不思議なご縁だと思います。こんなに程度のいいものを手離す出品者の気がしれませんでしたが、もう1セット持ってあるとお伺いして納得です。それにしても現用中のAXIOM80は実にいい音を出してます。ただし、お好みのロンドン・ウェスタンに近い音かどうかは定かではありませんが。」

すると、折り返しYさんから次のメールが到着。(2月11日)

「別府と名古屋は遠いですが何かの縁ですね、叔父が残した秘蔵品はまだありました、WEのVT52刻印が10本、WE-274B刻印それとWE-618B昇圧トランスがありました、まだ色々ありますが幻の名トランスWE-618Bは巷ではぺア80万円以上だそうです。このトランスを使いますと次元の違うサウンドに変身します。

axiom80が帰ってきしだいこのトランスでエージングします。凄い音になりそう、またWE-VT52のアンプも設計開始します。出力トランスはドイツのクラングフィルムがありますからこれを使って作ります。整流管は274B刻印を予定しています。
私もaxiom80の同好会に入れてください。同好会の一番下っ端の補欠でも良いですよ(笑)」

以上のとおりだが、何しろ「AXIOM80」のおかげで全国的に「交流の輪」が広がってまさに「オーディオ人生花盛り」である。オーディオは孤でやるよりも大勢でワイワイガヤガヤする方が絶対楽しいもんねえ~(笑)。


最後になったがYさんのサイト「キット屋のコラム」を紹介させていただこう。

「私のオーディオ人生~第35回・GOODMANS AXIOM80を鳴らす~」

 
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 久しぶりの試聴会 | トップ | 捕らぬ狸の皮算用 »
最新の画像もっと見る

オーディオ談義」カテゴリの最新記事