「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

独り言~N響アワーの改編~

2012年04月20日 | 独り言

これまで毎週チェックしながらも、気に入った内容のときだけ観ていた日曜日の夜9時からの定時番組「N響アワー」(NHK Eテレ)がこの4月から「ラララ♪クラシック」という番組に改編された。

従来は女性の司会者のもとクラシック評論家が曲目の紹介をして実演を放映するという決まりきったスタイルだったが、ややマンネリ化の印象が拭えなかったので今回の肩の凝らない印象を持たせる新しい趣向にはなかなか期待が持てる。

4月1日(日)の第一回目はベルリンフィルの第一コンマス(コンサ-トマスター)の「樫本大進」(33歳)さんが登場。ロンティボー・コンクールで史上最年少の17歳で優勝し、30歳で世界最高峰のオーケストラのコンマスに就任という日本が生んだ”とびっきり”のヴァイオリニストである。

そんな年少なのに周囲からのプレッシャーはないのですかという問いに対して、「ベルリンフィルには”いい音楽家か、悪い音楽家”という判断があるだけで年齢は関係ありません」という模範解答。

「マーラーとかブルックナーの曲目を演奏したくても彼らにはヴァイオリンの独奏曲がないので、ベルリンフィルで基本的な勉強をしようと思いました」との将来を見据えた発言が頼もしい。

たしかベルリンフィルの日本人のコンマスは「安永 徹」さん以来2人目である。

番組の中で「四季」(ヴィヴァルディ)や交響曲第5番(ショスタコーヴィッチ:佐渡 豊指揮)などの曲目が紹介されていたが、聴いている途中から樫本さんが弾いているヴァイオリンの由来を知りたくなった。とうとう最後まで番組の中で明かされることがなかったので、たしか以前のブログに登載したことがあったはずとバックナンバーを探してみると「ヴァイオリンあれこれ」というタイトルだった。

重複するが随分昔の記事なので一部を紹介すると次のとおり。

オーディオ装置の一部を入れ替えたときに、まず試聴するのはピアノ独奏、ヴァイオリン独奏、ヴォーカル、オーケストラでこれらが気持ちよく鳴ってくれると調整がうまくいっている証拠。

いずれのソースともそれぞれにクセがあってなかなか再生が難しいが、音色とともに情緒的な感性に訴えかけてくる点ではヴァイオリンという楽器に尽きるところがある。
 

以前のブログで「ヴァイオリンの魅力」を投稿したところ、呼応してS県のKさんから「ヴァイオリンあれこれ」と題したメールをいただいたので引用させてもらおう。(出典:「ヴァイオリンとチェロの名盤、本間ひろむ著、平凡社新書)

19世紀はじめに登場したパガニーニがヴァイオリン演奏に”超絶技巧”でもって人々を驚かせ、その後の1世紀はヴィルトオーゾがメインストリームを歩む時代になる。その中心にいたのがロシア楽派のヴァイオリニストたち。

エルマン、ハイフェッツ、ミルシテインといった巨匠たちからオイストラフへと受け継がれたロシア楽派の特徴は、運動量の多いボウイング(弓使い)によって豊かな音量を生みダイナミックな表現をするところにある。

しかし、現在ではロシア楽派のボウイングを採用するヴァイオリニストはごく少数で、フランコ=ベルギー楽派の”自然で合理的なボウイング(両手を含む体全体のバランスを重視する)が世界的な趨勢になっている。細かなニュアンスを表現するのに適したこの奏法は同時に美しい音色を生み出す。

さて、名手たちが使用しているヴァイオリンを調べてみると・・・・・。(ひとりでいくつもの名器を所有している場合があるので、これしかないということではない)。

アルトゥール・グリュミュオ-

ストラディヴァリを美しく歌わせたヴァイオリニストのひとり。彼の愛器は、「ジェネラル・デュポン」などストラディヴァリの名器だったが、年齢を重ねるとグァルネリ・デル・ジェスも弾くようになった。因みに彼の弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲4番と5番の第二楽章は霊妙な美しさを湛えていて聴くたびに胸が震える。コリン・デービス指揮のもとの古い録音だが間違いなく史上最高、いまだにこれを凌駕する演奏はないと思う。

ヨゼフ・スーク

1710年製のストラデヴァリの名器「レスリーテイト」

オーギュスタン・デュメイ

クライスラーの愛用した1721年製のストラディヴァリ

ナタン・ミルシテイン

1716年製のストラディヴァリ「マリア・テレサ」

ギドン・クレーメル

1730年製のグァルネリ「エクス・ダヴィッド」

マキシム・ヴェンゲーロフ

1727年製のストラデイヴァリ「クロイツェル」

千住真理子

ストラディヴァリの名器「デュランティ」

五嶋みどり

グァルネリ「ギブソン」

諏訪内晶子

ハイフェッツの愛器1714年製ストラディヴァリ「ドルフィン」

樫本大進

1722年製のストラディヴァリ「ジュピター」

神尾真由子(NHKBSハイ「強く、強く」より)
 

先般のチャイコフスキー・コンクール・ヴァイオリン部門の優勝者、1727年製のストラディヴァリ

ところで、あのパガニーニが持っていた1742年製グァルネリ・デル・ジェスの名器「カノン(大砲)」はパガニーニの死後故郷のジェノヴァの博物館に寄贈されて厳重に保管されている。

しかし、ヴァイオリンは適切な保存のために時折演奏されなければならない。20世紀に入ってからカノンは選ばれたクラシック演奏家が弾く栄誉を与えられてきたが、2002年、ジャズ・ヴァイオリニストとして初めて、レジーナ・カーターがジェノヴァ市の招聘によりカノンを弾いて録音したCDが生まれた。

「パガニーニ / 夢のあとで」がそれで、やはり名器の響きは素晴らしく、(カーターが)聴き惚れてしまったとのことだった。

            

ところで、今後「ベートーヴェンのソナタ全曲弾きたい」という樫本さんには年齢的にみても、まだまだ豊かな将来が待っていてどういう変貌を遂げるか楽しみ。抜群のテクニックなのはもう分かっているので、あとは「芸格」をどう向上させるかということだけだろう。

そして、「ラララ♪クラシック」の4月8日の第二回目は「天才モーツァルトの素顔」、第三回目の15日は「藝術の都 パリ」といずれも興味を引かれる内容だった。

テーマに統一性がないのが変化に富んでいそうで面白い。これからもすべて録画してずっと消さないでおく積もり。


 

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