「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオシステムの「お嫁入り」

2017年11月14日 | オーディオ談義

市内の北東部に位置し、小高い丘の上の150戸あまりの小さな団地に住み始めて40年近くになるが、その一角に毎回「市議会議員選挙」でトップ当選されている方が居住されている。仮に「I」さんとしておこう。

「I」さんはとても気さくで明るくて面倒見のいい方で人気抜群、道路補修や標識・街灯の設置など市当局へのパイプ役として地区にとってとてもありがたい存在である。

選挙事務所を兼ねた住宅には丘の斜面を利用して作った
地下に100坪ほどのホールがあり、各種の集会や地区の中高年層の主婦たち30名ほどが集って健康体操教室などが開催されている。

我が家のカミさんも週一回、1時間ほどの体操教室の一員として参加し、およそ半年あまりになるが、このほど彼女が言うのには「お父さん、Iさんのところのスピーカーは音が歪んでとてもひどい音なのよ。これまで我が家の音が当たり前だと思っていたけど、全然違うのよね。もし余っているシステムがあったら貸してあげたらどう~。」

「そりゃあ貸してあげてもいいけどすべて愛着のあるものばかりだしなあ・・。しかし、広いホールで聴いてみるのも魅力的だな~。よしっ、肝心のIさんが前向きの姿勢だったら考えてもいいぞ。」

家内を通じてこの話を聞かれた「I」さんは大乗り気で「それは願ってもない話です。ぜひよろしくお願いします。」

さあ幸か不幸か、いよいよ「嫁入支度」を本格的に考えなくてはいけなくなった(笑)。

いずれも手塩にかけた娘たちだが、どれを嫁に出そうかなあ。アンプなどは行ったり来たりで簡単に交換が利くが、スピーカーともなると図体の大きさも重さも並ではないので簡単に出戻りさせるというわけにもいかない。

悩みに悩んだ末に選んだのがフルレンジのフィリップスのユニット(口径30センチ、アルニコマグネット型)だった。

フルレンジを分けると口径30センチを境に大別できるが、それ未満だとツィーターが不要だが、それ以上となるとどうしても低音域との兼ね合いで高音不足になってツィーターが必要になる。

我が家では口径30センチを専ら愛用しており、JBLの「D123」やグッドマンの「AXIOM150 マーク2」、そして前述のフィリップスなどだが、このうち唯一ツィーターが不要なのが高音域のレンジがよく伸びたフィリップスである。

これをグッドマン指定の箱に納めてから、実際にIさんに来ていただき試聴していただくことにした。いわば、「お見合い」(笑)。

試聴盤は「フランク永井」だったが、幸いなことに「I」さんはオーディオが分かる方だった。

すっかり感動した面持ちで「これはすごく贅沢なことですね。」とのお言葉に即座に反応して「はい、精神的な贅沢の極みだと思いますよ。」

「この音でレイ・チャールズなんかを聴くといいでしょうねえ。今からワクワクしてまるで夢みたいです。」

こんなに手放しで喜んでいただけるのならオーディオ冥利に尽きるというもので、話がバタバタとまとまり「お嫁入り」は12日(日)の午後と決まった。

当方で準備したのは真空管式プリアンプ、パワーアンプ、スピーカー1ペア、接続コード、電源コード、ラックなど。

当日は加勢にみえたお一人を加えて3人で軽トラに詰め込み、3分ほどでIさん宅に到着してよっこらしょと専用の階段を降りながら地下室へ運び込んだ。

ホールの1/4ほどを占める大きな舞台の上に設置することにして、瞬く間にセッティングを終えハラハラ・ドキドキ・ワクワクしながら音出し~。試聴盤は「加藤登紀子ベスト」。

    

「知床旅情」が大きなホールの広い空間をゆったりと流れた。いい音だ。「素晴らしいです!」と感激のIさん。

しばらく聴いてから、今度はジャズを聴かせていただけませんかとのことなので、カウント・ベイシーの「ビッグ バンド」をかけてみたところ、ガラリと音が豹変した。

部屋の広さが違うと、こんなに音が変わるものか。

我が家で試聴したときは低音域が締まり気味でまとまりのいい音だと気に入っていたのだが、ここで聴くと低音域がボンつき気味だし、高音域はやや「しゃくれ上がり気味」で、俗にいうドンシャリ型に近い。

悪くはないんだけどちょっと元気が良すぎる音のように感じた。ジャズ好きと仰る「I」さんには丁度いいかもしれないが・・・。

広いホールというのはシステムの長所を伸ばすよりも、むしろちょっとした欠点をあからさまに暴き出す傾向があるようだ。

おそらく、これからこの場所でたくさんの人たちが集って音楽鑑賞会が開催されるだろうからやはりベストの音を目指したいものだ。自分の名折れにもなるしね~(笑)。

よし、ほかのパワーアンプを試聴してみよう。

そこで、翌日になって「71Aシングル」(インターステージ・トランス内蔵)を持参した。

「Iさん、違ったアンプを持ってきましたよ。どちらがお気に召すか比較してみましょう。どうかお好きな方のアンプを選んでください。」

    

「アンプを換えるだけでこんなに音が変わるんですか」と驚かれる「I」さん。

「ハイ、そこがオーディオの面白いところです。」と、返事したが、どうやら悪い方向に変わったようだ(笑)。

期待の「71Aアンプ」だったが、いかんせんパワーが足りなかった。

「この音はおとなしいですね。長時間聴いても聴き疲れはしないようですが、もっと元気が欲しいですね。」と、率直な「I」さん。

「そうですね。ちょっと躍動感が足りないようです。アンプは元のままにしておきましょう。」と、自分。

今後いついかなるときでも「ホールへの出入り自由」という特権をいただいたので、そのうち、今度はよりパワー感のある「71Aプッシュプルアンプ」を持って行ってみよう。

我が家のエース級アンプだが仕方がない。何だか益々深みにはまりそうだ(笑)。

最後に、現代は「マンション・オーディオ」が主流になったせいか大型スピーカーのお値段に昔日の面影はない。

オークションで買い叩かれているのをよく散見するが、これまで置き場所がないため切歯扼腕しながら見送ってきたが、Iさんから「どうぞ、どうぞ、大型スピーカーでもなんでもここに設置していただいて結構ですよ。」というお墨付きをいただいた。

どうやら明るい希望の光が見えてきたようだ(笑)。



 

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