「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~真空管の入れ替え~

2007年11月23日 | オーディオ談義

秋もいよいよ佳境に入り、過ごしやすい気候のもとで感性の方も何だか冴えてきたように思えて、音楽を聴くのにも熱が入る。

必然的にオーデイオ装置に対面している時間も長くなるが、そうなるとオーディオ愛好家特有のクセで、音に対する物足りなさ、或いはもっといい音になればなどと注文がつい増えてしまう。そういえばオーディオ友達のAさんも、Mさんもオーディオ装置の入れ替えや新製品の購入は秋の時季が多いようだ。

この自分もその例に漏れないひとり。現在、中域用(JBL375ドライバー)にイギリス製の真空菅PX25を使ったアンプを、そして高域用(JBL075)にはアメリカ製のWE300Bを使ったアンプをそれぞれ使用している。いずれも
1950年代製造の古典菅。


真空管特有の瑞々しくてコクのある音に大いに満足し、特に不満はないのだが、少しでも音がよくなる可能性があれば何でも試みるというのがオーディオ愛好家の宿命。

やや専門的で理屈っぽくなるので話を一部省略するが、接点(アッテネーター)を介在しないで済めばそれに越したことはないので、その手段の一つとしてWE300Bアンプの出力トランスの端子を8Ωから4Ωへとつなぎ変えて出力の能率を下げてみた。

これで、スピーカーの能率がらみでPX25アンプと同程度の出力となり、これまで2台使っていたアッテネーターが1台で済む皮算用となるが果たしてうまくいくだろうか。

このやり方でひとまず試聴してみると、たしかに音が一皮むけてクリヤーになったが、やや高域が強すぎてどうもPX25とWE300Bの相性がいまひとつピッタリとこなくなった。

PX25の音の傾向はたとえて言えばあくまでもいぶし銀のように渋い光沢を放ち噛めばかむほど味が出る感じ、一方WE300Bの方は派手で煌びやかで自己主張が強い印象がする。イギリスとアメリカの文化の違いとでもいうのだろうか、イギリス紳士とアメリカ紳士の差がモロに出てくる感じ。真空管を通じてお国柄が伺えるところが面白い。

そこで、まずコンデンサーを入れ替えて高域のクロスオーバーを6600ヘルツから8000ヘルツに上げてツィーターの受け持ち範囲を狭くしてみた。これで随分聴きやすくなったが、まだまだあと一息。

そこで次にモノは試しと以前購入しておいたCR4300BLXをWE300Bの代わりにアンプに差し込んでみた。

このCR4300BLXはずっと以前に投稿したブログ「WE300B」のところで悪口を書いたが、音が1枚ベールがかかったように聴こえ、価格もWE300Bの1/6なので価格相応の音と決め付けて物置の奥深くに仕舞い込んでいたもの。

あまり期待せずに耳を傾けたところ、これが水を得た魚のようにばっちりPX25と相性が合う。WE300Bに比べて音の抜けが悪い分、逆にうるさく感じないところがいい。50年代のジャズの雰囲気がモロに出てきていい感じ。音色もPX25と同じ傾向なので随分聴きやすい。4300Bという型番は300Bのヨーロッパ版で特性はあまり変わらないと聞いているが、微妙な差は当然あるはず。

これだから、オーディオ製品の真価は分からない。少し条件を変えてやるとばっちり変身する。あまりの嵌(はま)りように自然と嬉しさが込み上げてくる。やはり
”手放さなくて良かった!”と同時に軽々に製品の能力を決め付けるのは軽薄の謗りを免れないと痛感した。特性が悪くても製品同士の相性が良ければきちんと生きる術がある。価格による先入観も今後は御法度だ。

早速、ネットでCR4300BLXの予備を注文しようと検索したところ、残念なことに既に製造中止。
その代わり、GD4-300BCという真空管がテクソルという会社から販売されていた。あのマニア垂涎の的、STC4300Bと同等菅と記載してある。パソコンのホームページで所定の様式に必要記載事項を打ち込んで注文したところ、すぐに受付け確認のメールが届いた。価格は送料込みで1セット40,950円なり。

聞いたこともない会社なので心配になったが、行動あるのみと一応信用することにしてエイヤっと代金を11月16日の金曜日に振り込んだ。

その結果、間違いなく商品は21日午前11時に到着した。

午後からは、オーディオ仲間のMさんがたまたまお見えになったので早速、WE300Bオールド、CR4300BLX,GD4-300BCの3セットの真空管を差し替えて一緒に試聴に移った。テスト盤はグリミュオーの「モーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番第2楽章」

たかだかツィーター用の真空管を差し替えるだけなのに音楽の表情全体が一変するのが面白い。結果は、古い録音を聴くのであればGD4-300BC、新しい録音のCD盤を聴くのであればWE300Bオールドがいいということになった。

GD4-300BCは想像以上に音質がいいので驚いた。カーボン・プレートは振動が少ないことがメリットだそうで,、あとは耐久性の問題だけだろう。使っているうちにどれだけ性能が劣化するのか、こればかりは時間の経過を待たねばならない。しかし、300Bオールドに比べて価格は約5分の1なので劣化が少々早くても許せる。

なお、偶然11月20日に購入した
「菅球王国Vol.46」(Vol.1~Vol.46在庫中)に”300B現行真空管聴き比べ”の記事が掲載されており、この真空管の試聴結果が掲載(106頁)されていた。かなりのべた褒めで、音が柔らかい、潤いがある、「溜め」がある、落ち着いた、抑制がある、太く厚みがある、などの形容による好評価。自分の試聴結果も珍しくピタリと一致した。最近の真空管は随分良くなっているようだ。認識を新たにしたところ。

これでPX25の方も現在ストックが4本なのでいずれ補給せねばならず、KR製(チェコ)の近代菅PX25が楽しみになった。

                         
              GD4-300BC             菅球王国Vol.46




 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 釣り談義~釣りの楽しみ再発見~ | トップ | 釣り紀行♯23~出直し~ »
最新の画像もっと見る

オーディオ談義」カテゴリの最新記事