「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~「ちあきなおみ」はなぜ歌わない?~

2009年11月11日 | 音楽談義

10日(火曜日)の夕方、近所のM上さんから電話があった。14日と21日にNHKBS2で「ちあきなおみ特集」があるので是非録画して欲しいとのこと。

早速「月間TVガイド」で確認すると14日は19:45分からの「BSエンターテイメント」、21日は21時から「BS丸ごと大全集」でそれぞれプログラムが予定されている。

既に同じような番組を録画して保存しているものの、前回未公開だった映像素材やプライベート写真を公開と番組解説にあるのでこれは再度録画せねばなるまいと思っている。


さて、NHKでこうも再三再四「ちあきなおみ特集」を組んでいるところをみると彼女の人気がいまだなお衰えずということなんだろう。

ときどき「モーツァルトと並んで”ちあきなおみ”ですか?」なんて人から怪訝な顔をされていささか面映いときがあるが、好きなものは好きなんだからどうしようもない(笑)。

しかし、クラシックファンでありながら彼女が好きなのは何も自分ばかりではなくて、日頃「バッハ」に傾倒しているオーディオ仲間も彼女のファンだし歌唱力を高く評価しており、
彼女が第一線の表舞台から姿を消して随分経つ(16年間)のを今でも残念がっている。

自宅のオーディオ装置のどこかをいじるとまずテスト用に彼女のCD盤をかけて良し悪しを確認しているのだが、その度に「これほどの歌手を休業のまま放っておくのはホントに勿体ないよなあ~」といつも慨嘆している。

さて、彼女が歌手活動を断ったきっかけや理由についてはいまだに謎に包まれている部分が多いが、その真相に肉薄していると思える一冊の本がある。

「ちあきなおみ 喝采、蘇る」(2008.3、石田伸也著、徳間書店刊)                                                         

本書の中で、作曲家「鈴木淳」氏によると”ちあきなおみ”の最大の武器は声だという。張りがあって、ハスキーさがプラスされた独自の声。世界に二つとないようなヴァイオリンにも似た「名器」たる響きがあるという。

その声に加えて歌唱力が図抜けているのだから、復活を待望する声が絶えないのもよく分かる。

ここ数年、CDの売れ行きも好調だというが、それだけに
休業に至った経緯や再登板の可能性
を知りたい人が多いのも無理はない。

丹念に関係者に取材を重ね、大変な労作ともいえる本書を手がかりにその辺を探ってみよう。

 休業に至った経緯について

往年の日活俳優「宍戸錠」の実弟である「郷治」が肺ガンにより帰らぬ人となったのは、1992年の9月11日。享年55歳という早すぎる死はまだ44歳だった妻の”ちあきなおみ”から一切の歌手活動を奪った。

故人の強い希望により、皆様にはお知らせせずに身内だけで鎮かに送らせていただきました。主人の死を冷静に受け止めるにはまだ当分時間が必要かと思います。皆様には申し訳ございませんが、静かな時間を過ごさせて下さいます様、よろしくお願いします。ちあきなおみ


郷の死の直後、所属するレコード会社から代読されたコメントを最後に、ちあきは公式の場から姿を消す。

このコメントの
<まだ当分>
という言葉から、芸能界的な尺度で測れば半年、長くても1年、悲しみが癒えたころにはまた深みのある歌を歌ってくれるものと誰もが思っていた。

しかし、16年目の夫の命日を過ぎてもいまだに「生」で歌う日は訪れていない。”ちあきなおみ”はとうとう
62歳
という年齢を(2009.9.17)越えてしまった。

 「彼女が歌わない理由」について(類推)

 
母親がステージママで、4歳の頃から米軍キャンプ回りだった。母が喜んでくれるからとその一念で歌っていた。幼い頃は母親のためだけに、そして他界後は夫のためだけに歌っていただけで、もともと歌手稼業にはそれほど未練がなかった。

2 
夫の郷治が遺言のごとく「もう唄わなくていいんだよ」と告げたという説がある。兄の宍戸錠はこの説に否定的だが、ちあきは人前に身をさらさないことが「殉愛」と決めこんでいる節(ふし)がある。

 
前座歌手時代を含めて長いこと芸能の世界にいてその身勝手さや醜さにイヤ気がさした。

4 
本書の巻末にあるシングルCDのディスコグラフィによると、休業直前に発売されたCDがいずれも振るわず低迷。たとえば今となっては名曲といわれる「紅とんぼ」(1988:作曲 船村徹)は最高46位で売り上げがたったの6.6万枚。さらに「黄昏のビギン」(1991年:作曲 中村八大)に至ってはチャートインすら果たしていない。
快心の出来ともいえるこれらの曲を評価してくれない関係者や大衆にすっかり愛想が尽きてしまった。

以上4つの理由以外にもあるのかもしれないが、結局は”ちあき”だけがホントの理由
を知っている。

 
最後に、復帰の可能性について

2006年のこと。紅白を中心に、ちあきに表舞台復帰のラブコールを送り続けるNHKがより具体的なプランを描いていたという。

『BS放映による
「歌伝説 ちあきなおみの世界」は、再放送のたびに反響が大きくなっていった。その人気の高さに何としても”ちあき”を復活させたい。その手段としてたとえばアメリカのニューオリンズに何ヶ月でも滞在してもらってボイス・トレーニングをやってもらう。そして大丈夫となったら、そのまま現地で収録をしてもいい。』 

以上が、派手な演出や人前に出ることをためらう彼女にとってわずかに可能性を見出す復帰の
「お膳立て」
ではないかという。

さて、万一彼女のNHK紅白の出場が固まれば、それはそれは物凄い反響を呼ぶことだろう。そのときは自分もここ30年ほどこのかた一度も見たことがない「紅白」を絶対見る積もり~。

     

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