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鉱物の部屋へのいざない

8K「ルーブル永遠の美」

2016-11-15 14:30:43 | 日記・エッセイ・コラム
昨日の昼間、チョッと店を抜け出してNHK金沢放送局に行ってきました。その目的は昨日公開された「ルーブル永遠の美」(8K作品)を見る為でした。

自宅からNHKまでは自転車で行きました。NHKに着き駐輪場を探していると、警備のお仕事をしている知人のTさんからお声が掛かり、入り口付近に留めさせていただきました。今回の番組公開もTさんからの情報で知りましたので、Tさんに感謝です。Tさんは玄関横の特設会場に案内してくださり、そして最前列中央の席を勧めてくださりました。8Kの大画面では最前列でも走査線やドットを気にしないで見れますし、音響的にもその場所が最適だそうです。もっとも、平日の午後2時だったせいか、観客は誰もいなく、私ひとりの贅沢な貸し切り状態で番組を見る事ができました。

番組内容も非常に贅沢でした。ありえない誰もいないルーブル美術館でクレーンを使ったありえないアングルと移動撮影で、それも8Kの最高画質映像で人類の至宝の数々を独り占めできました。

その番組を見ているとその昔の「NHK特集ルーブル美術館」(1985年4月から1986年4月にかけてNHK総合で放送された)を思い出してしまいました。その番組はNTSC地上波アナログ放送でしたが、妙に高画質だったと思います。音楽もエンニオ・モリコーネの抒情的な曲が使用されており、今でも頭の中でそのメロディーが流れてきます。

さて、番組ではルーブル美術館の定番、サモトラケのニケやミロのヴィーナスが出てきます。(余談ですが、近鉄榊原温泉口駅前にあるルーブル彫刻美術館を思い出してしまいます。そこはB級スポット的なレプリカ展示美術館なのですが、ルーブル美術館に行った気になってしまう決して侮れない施設だったと思います。さらにそこに併設している宝珠山 大観音寺では驚異的な文様石の数々が楽しめたと思います。)

それとカノーヴァの「アモルの接吻でよみがえるプシュケ」も様々なアングルで登場しました。8KのHDR(ハイダイナミックレンジ)では立体的な臨場感も再現できていました。早く、自宅でも見れる時代が来て欲しい、と思います。

絵画ではフラ・アンジェリコの「聖母戴冠」やヤン・ファン・エイクの「宰相ロランの聖母」やフェルメールの「レースを編む女」などが紹介されました。肉眼を超える解像度の映像では、細かな金細工や背景に描かれた小さな遠くの人々や目では気付かない細い線の細部までが映し出され、作者の意図まで読み取ることができました。それは恐るべき高解像度だと思いました。

ただ、8K時代になるとその高解像度ならではの見え過ぎるという弊害も危惧されます。それは作品の経年劣化による汚れや修復の跡や傷やひびまでもが鮮明に映し出されます。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」などは番組の制作意図に反して余計なところが見え過ぎてしまうのです。もしかすると芸術的な感動は見え過ぎない方が良いのかもしれません。と、同時に、皮肉なことながら番組タイトルとは裏腹に「永遠の美」などは存在しないという事を悟ったような気がしてしまいました。

思うに、見え過ぎない方が良い場合もあるのです。芸術的感動は作品そのものにあるのではなく、鑑賞する側のイマジネーションの中にあるのです。

ところで、8Kの高解像度には顕微鏡的な機能があるような気がします。大画面で見る肉眼を超えた細部の映像には鉱物結晶をルーペや顕微鏡で見た時の驚きに近いものがあるような気がしました。

願わくば、「知られざる鉱物結晶の世界」(8K作品)というようなタイトルの番組を見てみたいと思います。それは小さな結晶世界をマクロ撮影して別世界にしてしまうマジックのような映像です。高解像度の大画面で見る結晶世界を想像するとワクワクしてしまいます。

誰か?そのような番組をつくって下さい。お願いします。



今日のブログの写真は「ミロのヴィーナス」のミニレプリカ(RMN フランス国公立美術館連合 制作)です。オリジナルの作品から型取りされ、細かなキズまで本物に忠実に再現されているものです。



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