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かぶれの世界(新)

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アメリカ離れ

2004-12-17 00:12:51 | 国際・政治
先月末にドル急落について「ドル資産離れ」が背景にあると報告した。その後ドル相場は小康を保っている。連銀はFOMCでFFレート(短期金利)を0.25%上げ、ブッシュ大統領は2度にわたり強いドルを強調したが為替相場は目立った反応をしていない。双子の赤字、特に過去最悪の経常収支赤字を背景に先行きドル安の傾向にあることに変わりは無い。モルガンスタンレーのS.ローチ氏はグローバル・エコノミーのバランスが変化の文脈の中でドル安の進行を捉えている。 実はドル資産離れ以外に「アメリカ離れ」現象が起こっているとD. Gross氏はSlate Magazineで下記のように報告している。

昨年8月に施行された通過乗客のセキュリティ強化を嫌い、日本からカナダ経由でブラジルに行く客が急増しエアカナダが受けに入っている。
米国に上場している欧州、特に独会社の大半は規制に対応するコストがかかり過ぎるとして本社をニューヨークから移そうとしている。(FT) 
2004年の海外からウォートン(ペンシルバニア大学経営大学院)への入学申請が24%減、総合して外国人のGMAT受験は2002年から27%減、調査した大学の74%が海外からの留学申請の数が減っていた。高スキルの労働ビザ(H1-B)発給枠削減のため高い技術を持った人材が米国で起業しようとしなくなった。(BW) 
台湾は米国向けの2倍を中国に輸出している。(NYT) 
中国は東南アジア10カ国と米国抜きでFTA交渉をしているとボーカス上院議員は嘆いている。(FT) 
ブッシュ大統領がチリのA-Pac会議に参加した時、瑚耀輝主席が中南米12カ国を回り数兆円の取引を纏めた時、ブッシュはコロンビア1カ国を訪問しただけだった。(LT) 

意訳すれば米国が馬鹿なことをしている間に、米国以外の国は元々米国が始めたやり方を真似てうまく立ち回るようになった。国内市場が小さく輸出に頼らざるを得ず、日本以上に教育熱心な韓国は機を見るに敏で子弟を中国に留学させ始めた。急成長を続ける中国といえども、貿易額は今年遂に日本を抜き去ったものの国内市場は日本の3分の1に過ぎず現実的な判断に迫られバランスをとっている。グローバル・エコノミーのリバランシングの結果どうなるか、決して日本に有利ではないと思われるが行く末を見守りたい。

注)FT:ファイナンシャルタイムズ、 BW:ビジネスウィーク、 NYT:ニューヨークタイムズ、 LT:ロンドンタイムズ、 GMAT:経営大学院受験の資格(大学卒業の学力)、 ウォートン(Wharton):ハーバードビジネススクール(HBS)を上回り米国一と評価される経営大学院の通称で、私の勤める会社に応募してきたとき新卒でも年収1千万以上を要求し、OKしても最終的に入社を断わられたことがある。


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念仏講

2004-12-12 18:06:19 | 日記・エッセイ・コラム
3日前に母に言われて念仏講に行くことになった。子供の頃の記憶では毎年持ち回りで個人の家で盛大にやったはずだが、20年位前からの集会所でやるようになったという。母は初めて参加する時は私にお酒を持たせるか迷ったが、近所のおじさんの助言で今回は母の名代で行くので手ぶらで行けばよいということになった。この夏ドブさらいでご近所デビューしていたが殆ど顔を覚えてなく知らない人ばかりなので、正直なところあまり気が進まず、ぐずぐずしているうちに開始時間の12時になり慌てて集会所に向かった。

集会所に近づくと念仏に合わせた鐘の音が聞こえてきて定刻どおりに始まったことがわかった。急いで集会所の戸を開けると同時に鐘が鳴り止んで何と念仏が終わってしまい、仕出し弁当やお酒の準備が始まった。準備を手伝いながら見渡すと30人から40人位の人達で年配の人が多いが私より若い人が3割位いた。男女6分4分の割合というところか。それから直ぐ乾杯で食事が始まった。遠慮して端に座ったつもりが区長さんの横に座ってしまった。しかしあまり気遣うことも無く次の地方選挙や台風の被害、人の噂話等をして小一時間経つと開きになった。

いつの頃からか念仏を上げる時間を短くし、の人達が集まって気楽に飲み食いする気分転換の行事になっていた。昔は殆どが農家だったが今では勤めに出る人が増え、夜から日曜日の昼ということになったらしい。お酒の量も減って大騒ぎにもならず、1時間あまりで正式なお開きの挨拶も無く参加者は三々五々に散っていった。なんともあっさりした念仏講であった。


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バブル再発か!(bubble redux!)

2004-12-11 11:36:21 | 国際・政治
米国経済が予想されたより堅調に推移している。GDPの70%を占める個人消費が強い為である。中でも長い間低金利で据え置かれて、住宅需要が極めて強く住宅価格が急上昇している。3Qの全米住宅価格統計によると前期比18.5%(年率換算、2Qは9.8%だった)、全年同期比13%上昇した。これはCPI(物価指数)の約5倍になり、モルガンスタンレーのS.ローチ氏によるとバブル的な特徴を示しているという。西海岸で不動産業に携わる友人はこのところの業績は計画を上回っているといっていた。9月に購入した不動産ファンドREITが約3ヶ月で9%上昇した。バブルが弾けると米国の景気が頼りの我が国に対しても深刻な影響が出るのは自明である。もう少し詳しく掘り下げてみる。

米国の個人貯蓄率は下がり続け9月に0.3%、10月に0.2%まで低下した。個人以外の活動を含めた国民純貯蓄率も2Qの1.2%から3Qは0.9%に低下した。現在の経済成長を維持する為には海外の貯蓄を取り込まなければならない構造になっている。上記のように低金利がバブルを誘発し、皮肉なことにバブル対策として利下げの手段を使い果たした格好になっている。友人は逆に最近のドル資産離れに対応し、長期金利があがると住宅ローン金利上昇をもたらし市場を冷やす事にならないか心配していた。

それでは何故貯蓄が殆ど無いのに、米国の消費は活発で住宅投資する事が出来るのだろうか。この辺にバブルの臭いがする訳である。三菱証券のアナリストレポートによると所得から税金を控除した可処分所得と消費との差分を貯蓄率の算出のベースにしている。つまり、生産活動の結果として生み出された取引を計上し、資産価格の変動によるキャピタルゲインを含んでいないのである。貯蓄率に株式のキャピタルゲインと住宅資産の現金化を含めると安定して7%台を維持しており、米国民はこれを消費に振り向けているのである。

住宅資産の現金化は、①キャッシュアウトと言って、借り入れ金額を増やして住宅ローンの借り換え一部現金化する、②ホームエクイティローンと言って、住宅のネット資産価値(住宅時価-住宅ローン)を担保に借金することである。いずれも消費者は住宅価格が上昇し続けることを前提として、キャッシュフローに合わせて消費を続けるという仕組みである。日本の土地バブルとは随分違うという気がするが、景気対策としてはじめた低金利が続き生じた過剰流動性から始まった。ローチ氏の報告は米国の専門誌だけでなく広く引用されており、強い関心を呼んでいるようである。見逃せない動向である。 


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Lenovo, IBMPC買収の別の意味

2004-12-09 13:37:18 | 国際・政治
IBMはPC事業を中国のトップPCサプライヤーLenovo(聯想集団有限公司)に17.5億ドルで売却することが決定した。 中国人民の驚きと誇りの表情が昨日のTVで放送されているのを見て感慨深いものがあった。バブル時代初期あるいはもう少し前だったかと思うが、日本がアメリカの象徴を買い始めた時のことを思い出す。その後何か変だなと思いながら何年も迷走したのだが。しかし、この買収は色々な可能性を秘めた興味深いものである。

運命論的に言うと1981年IBMがPC事業に参入した時、今日の売却のレイルをIBM自身が敷いた。IBMの参入は玩具と見做されていたPCにお墨付きを与え企業が購入するきっかけとなった。IBMのPCアーキテクチャーはIntelのCPUとMicrosoftのOSをベースにして世界標準となり、誰でも容易にPC事業に参入できるビジネスモデルを作り上げた。IBMは参入を急ぐあまり付加価値の殆どをMicrosoftとIntelに与えた。結果として当時まだ弱小企業だった両社に力を与え、「ムーアの法則」を開発戦略に絶妙に組み込んだ鉄壁の「Wintel」ビジネスモデルが出来上がった。80年代は業界リーダとしてIBMブランドの付加価値を売りに出来たが、IBMといえどもこの余りにうまく出来たビジネスモデルの下から抜け出せず衰退が続き、サービス事業へ構造改革したIBMの撤退は時間の問題だった。

Lenovoは中国市場において常にシェアトップであったが、市場成長につれサービス戦略に優れるDellがシェアを上げ、ノートブックPCではIBMの急成長を横目にジリ貧状態にあった。報道によると買収後IBMのPC関係従業員約1万人と組織はそのまま新会社に移行するということで、Lenovoが欲しかったブランド、技術、品質管理、サービス、世界企業顧客などが手に入るようである。両社の文化の違いを克服し、夫々の特徴が生かした事業運営ができればこの買収は成功するであろう。

実は、私はこのニュースを知った時から別の視点で注目していた。それはIBMが所有する膨大な知的財産である。IBMは先進的な特許情報管理で知的財産を守りつつ、世界中の有力IT企業とクロスライセンス契約を結びトータルとして特許の有効活用を図る姿勢を貫いてきたと私は思う。私自身、個別案件でIBM特許を脅威に感じたことがあり、逆に直接このクロスライセンス契約の恩恵を被った事が何度かある。一方、中国企業は概して知的財産に対する認識が薄く(時に国家ぐるみで)、国内市場はさておき今後海外進出時の障害になることは間違いないと思っていた。報道では定かでないが買収の形態から推測するに、PC関連の特許は全て新会社に移行されるはずで、Lenovoは一気に免罪符を得たと思われる。国内市場では海外企業を含む競合に対し優位に立ち、海外市場では日本を含む海外企業とも対等な立場での知的財産に関する交渉が可能になったと考える。WTO加盟後知的財産権の保護強化を推進しなければならない立場にある中国政府の良い例になるはずである。知的財産の重石が取れることは新会社の運営にとって計り知れない効果をもたらす。1-2年後にはこの知的財産を見直し防御だけでなく攻撃的な戦略に転換する事もありうると考えられる。LenovoとIBMの合体が低価格PCの世界展開とだけ見ると誤る。今後の契約の詳細と新会社の動きを見守りたい。


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台風被害の実地検分

2004-12-08 21:26:19 | ニュース
今月6日に半年振りに愛媛県大洲市の田舎に帰った。松山空港に降り立った時から暖かかったが、伊予大洲駅に着くと一層暖かく感じた。数日前に東京が夏日になったように、今年は異様に暖かい。駅からタクシーに乗り最初の情報収集を始めた。

今年は台風が連続して上陸し故郷の大洲市の被害状況が二度もNHKで放送された。こんなことは記憶に無い。弘法大師が橋の下で一夜を過ごしたという伝説の十夜ヶ橋付近は床上浸水があり、どの店も相当被害があったという。この近辺は新興の商店街で大型の専門店やスーパー、ドラッグストア、シネコン、自動車販売ディーラ、大型パチンコ店等が立ち並び更に商圏の拡大を続け近隣の顧客を吸引している。ある電気専門店は賢明にもこの日を想定して1階を駐車場にしていたので被害を免れたが、殆どの店は床上か床下浸水の被害を受けたらしい。

この近辺で最大の会社である松下寿電気はこの前の水害の時にも被害を受けた為、工場の周りにごついセメント塀を作り今回被害を最小限にすることが出来たという。余談になるが、運転手さんは公表されていないけれど一本松の工場閉鎖に続き、1,2年のうちにリストラで閉鎖されるのは決定的であるという。こんな小さい町で失業者が一挙に増えて大変だろうと聞くと、既に正社員は800人程度に減らしているので天地がひっくり返る事にはならないだろうと言う。来年からは市町村合併が施行され新市制となるが、この税収減は厳しいだろう言うことで一致した。

今回起こった洪水は過去のものとはいささか様子が違うようである。かつて氾濫が起こった肱川とその支流の矢落川の堤防が強化され決壊しなかったが、逆流を防ぐ為その他の支流の水門は閉じられた。これら支流の水源の保水力が土砂崩れ防止工事などにより低下し、さらに相次ぐ台風により山林の水分保持力が飽和していた為、降雨がそのまま一挙に下流に流れ、水門が閉じられていた為洪水になったらしい。確かに山に接する我が家の周りの小川も全てコンクリートが打たれ雨が降るとあっという間に下流に流れていく。市の全地域がそういう環境になっており、短時間に効率よく雨水を川に流し込むシステムになっていると考えられる。

翌日母と裏山に登り倒れた木の状態を調べに行った。母は山に入るときは何があるかわからないから必ず鎌を持って山に入れとの父の教えを守って私にも鎌を持たせた。取り付きは20-30年前に植えた檜で私の所有ではなく倒木も無いが、少し急坂を上がっていくとやがて間伐されてやや明るくなった樹齢80年程度の檜の林になり、根元から倒れた木が見られるようになった。谷沿いの道を挟んで我が家の斜面と、別の所有者の斜面があり、差別なく両方の木が倒れている。例外なく根元から倒れており、その多くは根が50cm以下で浅く地表に沿って根が円形に開いているようにみえる。普段から湿度が高く根を深く張らなくとも栄養分の吸収に困らなかったということだろう。ワシントン州オリンピック公園の風で倒れた大木を思い出した。殆どは樹齢80年程度だが、樹齢120程度と思われるやや大きめの檜が数本倒れており、根が岩を抱えて1m以上深いものもあった。母によると樹齢が進むと木の大きさは余り変わらなくなるという。

更に観察を続けると、1本だけ倒れるのでなく斜面に沿って縦に並んで7、8本が纏まって直滑降するように倒れている。気のせいか木が倒れた辺りが若干窪んでいる様にも見え、雨が谷に流れ落ちるルートになって小規模の土砂崩れが起こったようである。谷の両側の斜面の木が同じように谷に向かって倒れている。どうも風ではなく地盤の緩みが原因で倒れたと結論付けてよいだろう。倒木は30本以下で母は間伐したと思えばいいと言い、当面なにもせず、森林組合の助言を待って対処を決めようという結論となった。 

次に隣の山に行き被害状況を見た。此方は樹齢30‐35年程度で、子供の頃植林しているのを見た記憶がある。 我が家の地権にあたる部分は5-6本が裏山と同じモードで根元から倒れた他に被害は殆ど無かった。しかしそこから100m位下って畑や住宅地に隣接した山林は様子が全く違っていた。木の半数は倒れているように見え、大きな被害を受けていた。幅100m、高さ30m程度の狭い山林で、樹齢40年程度だが場所のせいか良く育った木がなぎ倒されている感じである。隣接する住宅の金網塀が大きく捻じ曲がったままになっており、倒木があった痕が残っていた。住人は、その夜強風と凄まじい木の音で怖くて眠れなかったそうである。木の倒れ方が裏山とは明らかに違い、斜面に沿って水平方向に倒れている。地形に関係して流体力学的に非常に強い風が吹いた結果、全ての木が同じ方向に倒れたようである。大雨で地盤は緩んでいたが、山というより低い丘程度で上から流れ落ちる水量が一次原因ではなかったと思われる。

母によると近所のお年寄りも台風による田畑や家屋の大きな被害は何度も経験しているが、山林にこれだけ被害が出た経験は無いという。水害原因については多少人災的な要素があるように思うが、山林被害の原因は歴史的な数の台風日本上陸以外思いつかない。機会があれば倒木の処分を兼ねて森林組合に聞いてみようと思う。


コメント (2)
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