皆様こんばんは。
本日、第42期天元戦挑戦手合五番勝負第2局が行われました。
結果は、激しい戦いを制した一力七段が初勝利を挙げました!
それでは、早速振り返っていきましょう。
なお、この対局は幽玄の間にて、潘善琪八段の解説付きで中継されました。
1図(実戦黒11)
黒△までの進行は、名人戦第1局と同一の進行です。
名人戦では、まず白Aとカカり、後に白B、黒Cと進みました。
2図(実戦白12~黒21)
しかし、この碁では井山天元が先に白1とカケたため、黒2から変化しました。
右下の形が先に決まった事により、右上も白9に対して黒Aではなく、黒10と受ける事になりました。
このあたりの駆け引きについては、説明すると長くなるので割愛します。
ちょっとした手順の違いにより、全く違う局面になったという事だけご理解ください。
3図(実戦白22~黒23)
白1に対する黒2のツケは、ついこの間伊田篤史八段が打っていましたね。
井山名人や一力七段もよく打つ手です。
白A、黒B、白C、黒D、白Eと、隅の白をぺちゃんこにするのが狙いです。
ただし、その進行はプロの碁では滅多に見かけません。
4図(実戦白24~白32)
前図を避けて白1と変化し、白9までと進みました。
Aの所に穴が空いているので、黒はそのあたりをコウ立てとして、コウを仕掛ける作戦です。
5図(実戦黒33~白38)
黒1に白Aと受けると、黒Bのコウ立てができるので、そこで下辺のコウを決行する予定でしょう。
白はその意図を察し、白2から変化しました。
この形であれば、黒はコウに勝てません。
そこで実戦は・・・。
6図(実戦黒黒39~白42)
コウを睨みながら、手厚く黒1の曲げ!
こういう手は見た目に美しく、「気持ちの良い手」と表現されます。
白2も同様で、自分の形を整えながら黒を閉じ込めています。
黒3に受けるとコウ立てができてしまうので、受けずに白4と取り、コウ争いが始まりました。
7図(実戦黒43~白48)
白4のコウ立てに受けず、黒5と繋いでコウ争いが終わりました。
黒Aと生きて、白Bと中央を備える進行を予想していましたが・・・。
8図(実戦黒49~白50)
実戦は、なんと黒1の押し!
一力七段らしく、気合で要石を動き出しました。
白2と押さえられて、下辺黒の眼が無くなるのですが、黒AやBがあるので大丈夫と読んでいます。
正確な読みも一力七段の特徴です。
9図(実戦黒51~黒55)
一力七段、黒1~5までを用意していました!
次に白Aと切れば、黒Bのコウ立てができるので、黒Cからのコウを決行するつもりです。
それは白困るので・・・。
10図(実戦白56~黒63)
白1とコウを防ぎ、黒2と白4子を取る振り替わりになりました。
白3、5と右上を連打し、黒が4、8に回ったのも振り替わりです。
両者持ち時間の大半を使うほどの激戦は、一旦落ち着いたかのように見えました。
しかし、このまま白△が取られては大きいという事で・・・。
11図(実戦白64~黒65)
白1と逃げ出した所で、黒2が上手いカウンターパンチ!
白Aと逃げれば黒Bを先手で打ち、黒Cと止めて丸取りにしてしまおうというのです。
12図(実戦白66~白68)
という訳で、白3までと進みました。
この後黒Aと取り、再びコウ争いが始まりました!
13図(実戦黒95~黒97)
コウ争いの結果、黒が白△を抜き、右下の白が脱出する分かれになりました。
右下の白が生きておらず、形勢は黒が良さそうです。
そこで、黒1に対して手抜きで白2に回ったのが、井山天元の勝負手です!
普通は白Aと左下の白を生きておきますが、それでは勝ち目が薄いと判断しました。
黒3から眼を取られますが、凌ぎ勝負に持ち込む作戦です。
14図(実戦黒119)
しかし、右下の白も生きておらず、典型的な絡み攻めの状況に陥っています。
そして、黒△が強烈な一撃!
形は白Bと伸びる一手なのですが、すると黒Aと封鎖され、左下の白がピンチです。
これには白、しびれました。
まだ勝負は分からないでしょうが、この手を勝着としたいですね。
15図(実戦白120~黒129)
白1と、より危険な方の石を逃げましたが、黒2とぴったり押さえ込まれてしまいました。
そして、返す刀で黒8と、強烈なモタレ攻め!
ここを受けていると、左下の白を取りに行きますよと言っています。
16図(実戦白130~黒137)
白3と大石を逃げましたが、黒4の連打から黒6、8!
またもや激しく切り結びました。
やはり白の大石を狙っています。
碁はますます激しくなりました。
17図(実戦白162)
その後、白△までと進みました。
なんと黒△と白△の大振り替わりです!
しかも、まだ話は終わっていません。
18図(実戦黒163~白174)
黒1と、右下の白の眼も取りに行きました!
以下一本道で白12までと進み、Aの所のコウ争いです。
結果はこのコウに勝った黒が、勝負も制しました。
一力七段、第1局は読み負けでした。
しかし結果を引きずらず、本局でも正面からぶつかって行きました。
結果、見事に力勝負で上回ったと思います。
第3局以降も、素晴らしい戦いを見せてくれるでしょう!
第3局は、12月1日(木)に福岡県宗像市の「宗像ユリックス」で行われます。
お楽しみに!
本日、第42期天元戦挑戦手合五番勝負第2局が行われました。
結果は、激しい戦いを制した一力七段が初勝利を挙げました!
それでは、早速振り返っていきましょう。
なお、この対局は幽玄の間にて、潘善琪八段の解説付きで中継されました。
1図(実戦黒11)
黒△までの進行は、名人戦第1局と同一の進行です。
名人戦では、まず白Aとカカり、後に白B、黒Cと進みました。
2図(実戦白12~黒21)
しかし、この碁では井山天元が先に白1とカケたため、黒2から変化しました。
右下の形が先に決まった事により、右上も白9に対して黒Aではなく、黒10と受ける事になりました。
このあたりの駆け引きについては、説明すると長くなるので割愛します。
ちょっとした手順の違いにより、全く違う局面になったという事だけご理解ください。
3図(実戦白22~黒23)
白1に対する黒2のツケは、ついこの間伊田篤史八段が打っていましたね。
井山名人や一力七段もよく打つ手です。
白A、黒B、白C、黒D、白Eと、隅の白をぺちゃんこにするのが狙いです。
ただし、その進行はプロの碁では滅多に見かけません。
4図(実戦白24~白32)
前図を避けて白1と変化し、白9までと進みました。
Aの所に穴が空いているので、黒はそのあたりをコウ立てとして、コウを仕掛ける作戦です。
5図(実戦黒33~白38)
黒1に白Aと受けると、黒Bのコウ立てができるので、そこで下辺のコウを決行する予定でしょう。
白はその意図を察し、白2から変化しました。
この形であれば、黒はコウに勝てません。
そこで実戦は・・・。
6図(実戦黒黒39~白42)
コウを睨みながら、手厚く黒1の曲げ!
こういう手は見た目に美しく、「気持ちの良い手」と表現されます。
白2も同様で、自分の形を整えながら黒を閉じ込めています。
黒3に受けるとコウ立てができてしまうので、受けずに白4と取り、コウ争いが始まりました。
7図(実戦黒43~白48)
白4のコウ立てに受けず、黒5と繋いでコウ争いが終わりました。
黒Aと生きて、白Bと中央を備える進行を予想していましたが・・・。
8図(実戦黒49~白50)
実戦は、なんと黒1の押し!
一力七段らしく、気合で要石を動き出しました。
白2と押さえられて、下辺黒の眼が無くなるのですが、黒AやBがあるので大丈夫と読んでいます。
正確な読みも一力七段の特徴です。
9図(実戦黒51~黒55)
一力七段、黒1~5までを用意していました!
次に白Aと切れば、黒Bのコウ立てができるので、黒Cからのコウを決行するつもりです。
それは白困るので・・・。
10図(実戦白56~黒63)
白1とコウを防ぎ、黒2と白4子を取る振り替わりになりました。
白3、5と右上を連打し、黒が4、8に回ったのも振り替わりです。
両者持ち時間の大半を使うほどの激戦は、一旦落ち着いたかのように見えました。
しかし、このまま白△が取られては大きいという事で・・・。
11図(実戦白64~黒65)
白1と逃げ出した所で、黒2が上手いカウンターパンチ!
白Aと逃げれば黒Bを先手で打ち、黒Cと止めて丸取りにしてしまおうというのです。
12図(実戦白66~白68)
という訳で、白3までと進みました。
この後黒Aと取り、再びコウ争いが始まりました!
13図(実戦黒95~黒97)
コウ争いの結果、黒が白△を抜き、右下の白が脱出する分かれになりました。
右下の白が生きておらず、形勢は黒が良さそうです。
そこで、黒1に対して手抜きで白2に回ったのが、井山天元の勝負手です!
普通は白Aと左下の白を生きておきますが、それでは勝ち目が薄いと判断しました。
黒3から眼を取られますが、凌ぎ勝負に持ち込む作戦です。
14図(実戦黒119)
しかし、右下の白も生きておらず、典型的な絡み攻めの状況に陥っています。
そして、黒△が強烈な一撃!
形は白Bと伸びる一手なのですが、すると黒Aと封鎖され、左下の白がピンチです。
これには白、しびれました。
まだ勝負は分からないでしょうが、この手を勝着としたいですね。
15図(実戦白120~黒129)
白1と、より危険な方の石を逃げましたが、黒2とぴったり押さえ込まれてしまいました。
そして、返す刀で黒8と、強烈なモタレ攻め!
ここを受けていると、左下の白を取りに行きますよと言っています。
16図(実戦白130~黒137)
白3と大石を逃げましたが、黒4の連打から黒6、8!
またもや激しく切り結びました。
やはり白の大石を狙っています。
碁はますます激しくなりました。
17図(実戦白162)
その後、白△までと進みました。
なんと黒△と白△の大振り替わりです!
しかも、まだ話は終わっていません。
18図(実戦黒163~白174)
黒1と、右下の白の眼も取りに行きました!
以下一本道で白12までと進み、Aの所のコウ争いです。
結果はこのコウに勝った黒が、勝負も制しました。
一力七段、第1局は読み負けでした。
しかし結果を引きずらず、本局でも正面からぶつかって行きました。
結果、見事に力勝負で上回ったと思います。
第3局以降も、素晴らしい戦いを見せてくれるでしょう!
第3局は、12月1日(木)に福岡県宗像市の「宗像ユリックス」で行われます。
お楽しみに!