白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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両セキ崩れ?

2016年04月28日 21時14分05秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は林海峰名誉天元との対局でした。
対局の模様は幽玄の間で中継されました。



私の白番です。
右上隅の味が悪そうです。
どこから手を付けますか?




予備知識です。
中央白1が気になる方も多いでしょうが、下辺と振り替わりになっては白損です。
しかしこの手があるので黒Aからの切断は心配いりません。




それでは本題に入ります。
まずは白1と押さえるのが急所です。
コスまれると生きてしまいますから、黒は取りに行くなら黒2しかありません。
さて、この後白はどうしますか?
ヒントはダメヅマリです。




白1から黒8まで、一本道です。
おや、黒のダメが詰まってきましたね?
白としてはここが重要な分岐点です。




白1のハネを考えられた方が多いと思います。
私も当初はその予定でした。
浮かんだ図の一例が黒12までのコウです。
まだ調べていないので双方最善の図はわかりませんが、少なくとも黒を無条件で取れるような事はないでしょう。




実戦では、白1とつなぐ手に気が付きました。
プロには盲点になる手ですが、実はこれで黒困っています。




黒1とダメを詰めると、Aのコウを狙って白4が先手になります。
そして白6と生きると、上辺の黒も生きなければなりません。
結果隅を先手で生きて白10に回っては大戦果です。




実戦は黒1でしたが、白2と下がられて困りました。
白を取れそうで取れない形になっています。




6子のダメを詰めていっても、セキの形になります。
お互いにセキの外側が生きておらず、両セキ崩れといった感じの形になっています。
しかし黒の方がダメの数が少なく、下方の黒は取られとなります。




隅の方に向かっても、やはり遠回りを強いられます。
最後は押す手なしとなり、白1手勝ちです。


今まで沢山碁を打ってきましたが、こんな形を見るのは初めてです。
発見できて幸運でした。
ここで勝勢になったものの、震えるあまりの1手パス等杜撰な着手が続きました。
最後は半目勝ちのようでしたが、負ける手順もあったかもしれません。
こういう碁を落とした事は過去に何度もあり、今回そうならなかったのもまた幸運でした。
反省、反省・・・。

最後に、私の対局をご覧になった方へちょっとした問題を出しておきます。
最終、黒が手を抜いてしまって終わりましたが、手を入れていたらどうなるでしょうか。
試しに最後まで想定図を作ってみたら黒半目勝ちになり、不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は意外な所に白から先手1目の手があって半目勝ちになります。
なお地味すぎる問題なので、回答はありません(笑)
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