白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

悲観と楽観

2018年07月17日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は悲観楽観という2つの言葉についてお話ししたいと思います。
局後の感想などでよく目にする言葉ですね。
意味としては、世間一般で使われる時とほとんど同じです。
ただ、ニュアンスに若干の違いがあります。

「形勢を悲観して、無理手を打ってしまった」
「形勢を楽観していて、甘い手を打ってしまった」
このような使われ方をしますが、これらは単に良いと思った、悪いと思ったということではありません。
必ずと言って良いほど、「本来より」というニュアンスが入ってきます。
つまり、これらの例で言えば、
「後から考えれば無理をするほど悪い形勢ではないのに、判断を間違えてしまった」
「後から考えれば楽に勝てるほどの形勢ではないのに、判断を間違えてしまった」
ということなのです。
微妙なニュアンスの違いですが、これはプロの対局を理解する際には結構重要です。
対局者や解説者が悲観、楽観という言葉を使う際、大なり小なり判断ミスがあったことを示しています。

ちなみに、判断ミスがあるかどうかは別として、形勢判断によって着手を変えることは必ずしもおすすめしません。
一番大事なことは、自然な手を打つことです。
ですから、形勢判断よりも状況判断を大切にしたいですね。
それが上達への近道にもなるでしょう。

もっとも、実際にはプロもそこを間違えてしまいがちなのですが・・・。
プロは勝負に勝ちたいという思いがとても強い人種ですから、なかなか難しいところです。
コメント
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