白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

AlphaGo Lee対Zero 第20局

2018年01月22日 23時55分18秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は久しぶりの積雪でした。
大変ではありますが、この非日常感は結構好きだったりします。

さて、本日はAlphaGo Lee対Zeroシリーズの最終局です。
本局もZeroの特徴が色濃く出た内容でした。



1図(テーマ図)
Zeroの黒番、白△と打ったところです。
この構図を見た瞬間、黒石がずいぶん下に偏っているという印象を受けます。
即決でどちらかを選べと言われたら、迷わず白を持ちそうです。

具体的に見てみると、黒は2線に7手、1線にも2手打っています。
一方の白は2線に4手打ったのみですから、かなりの差がありますね。
2線以下に打つ手が全て悪手ではないとはいえ、私が黒ならあまり良い気分はしません。

しかし、Zeroの対局にはこういった打ち方が多いですね。
位が低くても強固な形を作っておき、相手の薄みを虎視眈々と狙います。
本局で言えばAやBの傷ですね。
実際、この後はそこを狙って黒△を動き出して・・・。





2図(実戦)
黒△までと進みました。
黒×と白×の攻め合いは黒勝ちです。
相手の石数の多い所で、むしり取ってしまいました。





3図(実戦)
白1と守った瞬間、黒2の切り!
黒6まで、今度は白×をむしり取っていきました。
さほど黒地が増えるわけではないので、これも私には違和感を覚える打ち方です。
白7に回られて、みすみす巨大な白模様を作らせてしまいました。
しかし、Aの傷ができたことに大きな意味があるのでしょうね。





4図(実戦)
そして、白模様の中心部に、黒1の切りからドカンと侵入!
これは消しという雰囲気ではなく、白模様を破壊する打ち方です。
周囲の白を攻めようかというぐらいの勢いです。
こうなった時、黒にはどこにも弱みが無いのが強みですね。





5図(実戦)
最終的には黒△まで、あれほど巨大だった白模様が跡形も無くなってしまいました。
その間に黒が失ったものは右下の黒地ぐらいのものです。

前にも書いたかと思いますが、こういった打ち方は趙治勲名誉名人を思わせます。
「地を取ることが厚い」というのは、こういうことでしょうか。
コメント
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