白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の対局

2017年03月16日 23時24分13秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は第42期棋聖戦ファーストトーナメント予選の対局がありました。
実力者の河野貴至八段に苦戦しましたが、どうにか勝って枠抜けを決めました。
初のCリーグ入りです。



1図(実戦)
私の白番で、白△と抜いた所です。
左辺が大きな局面ですが、周囲には白石が多いので、黒Aとまともに入って行くと苦戦は確実です。





2図(実戦)
そこで実戦は黒1、さらに黒5と、ツケの連打で来ました。
捌きはツケからの格言通りです。
次に白Aと繋ぐのは、黒Bと簡単に治まられて面白くないので・・・。





3図(実戦)
白1、3と取って目を奪う強硬策に出ました。
この打ち方は石が下に行くので、大抵の場合良くありません。
しかし、この局面ではこう打つ所でしょう。
頭を出した黒はまだ弱いですし、場合によっては黒△との絡み攻めを狙えるかもしれません。
正直な所、こうなっては白が上手くやったと思っていたのですが・・・。





4図(実戦)
狭い所に黒1の押さえ込み!
これを軽視していました。
逆に白の根拠を脅かそうとしています。
何とかなるだろうと思っていたのですが、事態は深刻です。





5図(変化図)
白1と押さえれば黒2と渡って来ます。
白3(△の所)が手筋で白7までと進み、次に黒Aと取ってコウ争いになります。





6図(続・変化図)
黒1のコウ取りに対して、白2が大きなコウ立てです。
しかし、構わず黒3と繋がれてしまいます。
白△を丸飲みされてはいかにも大きく、一方黒△はAから生きる手が残っています。
これは白ダメそうです。





7図(実戦)
そこで、実戦は白1と下がって変化しました。
黒Aと伸びてくれば白Bで黒△を取りに行き、白△との振り替わりに持ち込む狙いです。





8図(実戦)
黒は振り替わりを避け、黒1と押しました。
白2と取って一息つきましたが、黒3も絶好の叩きで、左右が繋がって手厚くなりました。
打っている時は白が得をしたかと思っていましたが、錯覚だったかもしれません。
黒5に回られてみると形勢は少し悪そうです。

苦しい碁でしたが、相手にもミスが出て逆転する事ができました。
今期は何かとツキがありました。